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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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62 天使と神様

 降臨祭の後も大変だった。

 多くの国の代表が、すぐに帰ってくれなかった。ほとんどが予定よりも大幅に滞在期間を延ばした。滞在が延びれば延びるほど、お金を落してくれるので、有難いことではあるのだが・・・


 一番の問題は、馬鹿女神の発言を受けて、どう対応していくかだ。

 特にティーラム帝国と教会は大きな影響を受けた。自分たちが推し進めてきた政策が間違っていたと公にされたからだ。

 ここで各国が、ティーラム帝国と教会を断罪しても、いい話にはならない。下手をすると馬鹿女神を偽物だと主張するかもしれない。


 なので、ある程度間違いは指摘するが、あまり追い詰めないような対応を取る。難しいところだ。


 結局、帝国と教会が出した結論は、教会の一部の者の所為にすることだった。

 教皇以下の現教会の首脳陣に帝国も一般の信者も騙されていたという被害者ポジションを取ることにしたのだ。

 帝国の強かなところは、アイーシャ皇女とマリアさんを全面的に使い、最初から現教会の不正を正そうとしていたとまで主張し始めた。


 みんな、心の中では「何を勝手なことを!!」と思っていたが、言い出さなかった。

 これで、益々アイーシャ皇女の影響力が高まったので、グレーテルお嬢様も納得していた。


「これで、アイーシャ皇女は帝国の重要人物となった。帝国の面子も守ってやったし、今回はこれでよしとしておこう」


 やはり、国と国とのやり取りになると、真実よりも大人の事情が優先されるんだよな・・・



 ★★★


 それから1週間が経った。

 各国の首脳たちが町を去ったのだが、驚きの人物が訪ねて来た。

 馬鹿女神の秘書で、天使のルシルさんだ。


「追加の調査が必要になりまして、できれば転移者を集めていただきたいのですが・・・」


 転移者は全員、まだ国には帰っていなかったので、すぐに集められた。


 ルシルさんがそれぞれに質問を始める。


「転移してから、これまでの状況を教えてください。レポートにまとめなければならないんです」


 順番に話始める。

 俺とカヨさんとショウタ君の話には驚いていたし、サチコさんには同情していた。


「なるほど・・・」


 サチコさんが言う。


「今でも腹が立つよ。ちゃんと説明が欲しかったし、神器ももっと考えてくれればと思ったよ。まあ、今ではこの神器でよかったとは思うけどね」


「・・・不満はあるが、本人たちの努力で、何とかなっている・・・」


 ルシルさんは仕切りにメモをしていた。


「今後の目標について、教えてください」


 これは、各自バラバラだった。

 もっとうどんの売り上げを伸ばすとか、新酒を開発するなど、多岐に渡った。ショウタ君は、家族を守っていくと答え、カヨさんは日々を一生懸命に生きると答えていた。


 俺はというと、のんびりだらだら生きたいとは言えないので、それっぽいことを言った。


「この町の住民が安心して暮らせるように、頑張って行きたいと思います。それと、まだ見つかっていない転移者の情報を集め、困っているようなら、助けてあげたいと思っています」


 ルシルさんの表情が変わる。


「見つかっていない転移者?」

「エリス様に聞いていませんか?この世界のどこかにいるという転移者です。エリス様が仰るには、まだ神器が手元に帰って来ていないようなので、この世界のどこかにいるのではないかとのことです」

「その転移者はどんな方なのですか?」

「どんな方なのか、またどんな神器を持っているのかも分かりません」


 ルシルさんが落ち込んで言う。


「そうですか・・・少しこちらで調べてみます」

「お願いしますね。何かできることがあれば、協力しますよ」

「ありがとうございます」


 そんな感じで、生活のことなどを中心に聞かれた。

 特に問題はなく、ルシルさんが言うには、この件をレポートにまとめて提出すれば、ポイントがもらえるらしい。その仕事をあの馬鹿女神はルシルさんに丸投げしたようだった。


 サチコさんが言う。


「上司かもしれないけど、間違ったことや理不尽なことを言ってきたら、言い返さないと駄目だよ。もっと上の神様に報告するとかね」


「ありがとうございます。もう少し頑張ろうと思います」


 そんな話をしているところに日本酒が運ばれてきた。

 カヨさんが言う。


「折角みんなが集まったのですから、新酒の日本酒を飲みましょうよ。マナミさんも太鼓判を押すできですからね。ルシルさんは、お酒は?」


「いただきます。是非」


 こうして、ルシルさんを交えて、交流会が始まった。


 ルシルさんは少し酔いが回ったのか、馬鹿女神の愚痴を言っていた。


「言ってることがコロコロと変わるんです。それに手柄は横取りするくせに、失敗は私になすりつけて・・・でも天使は神様には逆らえないから・・・」


 ルシルさんも苦労しているようだ。



 その後、ルシルさんはちょくちょく勇者の町にやって来るようになった。

 それ以来、みんながルシルさんに優しくなったのは、言うまでもない。

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