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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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59/90

59 ついにきた・・・

 マリアさんが領主館にやって来た。

 用件を聞いて驚いた。


「信仰心が溜まったので、女神降臨が可能になったのですね?」

「そうなのです。それで、どういった形で、女神様にご降臨いただくか、相談に来たのです」


 少し考える。

 大勢の前で、女神に降臨してたもらったほうがいい。そして、教会の関係者や帝国の関係者にも来てもらって、世界平和、多種族の共存を説いてもらえれば、これ以上ないくらい効果があるだろう。


 しかし、あの馬鹿女神のことだ。

 ぶっつけ本番でやると、絶対トラブルを起こす気がする。となると、一度打ち合わせをしたいところではあるが・・・


 そう思っていたところ、カヨさんも同じ考えだったようで、マリアさんに質問する。


「大勢の前で降臨させる前に、事前に降臨させて、お話を聞くのは可能でしょうか?」

「そうですね・・・このままのペースで信仰心が集まるのなら、半年後には再度降臨していただくことも可能です。ご降臨されたと噂になれば、もっと早く信仰心が集まるかもしれませんが・・・」


 半年くらいなら、別に構わない。

 俺はすぐに意向をマリアさんに伝えた。



 ★★★


 町の重要人物とグレーテルお嬢様にだけ、こっそりとこのことを伝えた。


「今度は創造神様を降臨させるのか・・・もう理解の限界を超えておる。好きにするがよい。それで、半年後は正式に式典を開こう。まずは、創造神様といい話にしてくれ」


 早速、3日後に召喚の儀式が始まる。

 参加するのは、勇者である俺とカヨさんとショウタ君、教会からはマリアさんと助手の男性司祭、帝国からはアイーシャ皇女と護衛のバスラさんだ。他の勇者は、「女神に会ったところで・・・」という意見が大半を占め、サチコさんにあっては「絶対に喧嘩になる」という理由で、参加を辞退した。


 儀式は大聖堂の隠し部屋で行われた。

 既に魔法陣が描かれており、マリアさんが魔道具をセットして、魔法を唱え始めた。


 30分くらいそうしていただろうか、突然魔法陣が光り輝いた。

 そして、魔法陣の中から馬鹿女神が登場する。


「私を呼んだのは、貴方方ですか?って・・・勇者たちじゃないですか!?」


 呆気に取られている他のメンバーを差し置いて、すぐに女神に声を掛ける。会話の主導権を握るためだ。


「お久しぶりです、エリス様。実は皆、どうしてもエリス様にお会いしたいと強く願い、一生懸命に信仰心を集めていたのです」


 馬鹿女神は、今までにないくらいの笑顔を見せる。


「それでですか・・・ここのところ、私への信仰心ポイントが急激に高まりまして、表彰を受けたのです。貴方たちのお蔭だったとは、流石は私が見込んだ勇者ですね」


 神様界隈にもノルマのようなポイント制度があることにドン引きだ。

 それにしても、勇者という設定は最初はなかったし、選んだも何も、適当に見繕っただけだろうが!!


 そう心の中でツッコミを入れながらも、冷静に話をする。


「こちらのマリアが、どうしてもエリス様とお話がしたいとのことです。お話を聞いてもらえますでしょうか?」

「いいですよ。何でも聞いてください」


 感激して、涙を浮かべていたマリアさんが、深呼吸して、馬鹿女神に話し掛ける。


「まずは多種族の共存についてです。以前エリス様がご降臨なされた際に他種族を排斥する教えを説かれたとのことですが、それは本当でしょうか?」

「そんなことを言った覚えはないですね・・・みんな仲良くすればいいんじゃないですか?」


 詳しく聞いてみると、矢継ぎ早に長時間質問され、最後のほうは適当に答えていたということだった。


 神様なんだから、ちゃんと回答しろよ!!

 それで、多くの人が不幸になるんだぞ!!


 まあ、言えないけどな・・・


 そこからはマリアさんの質問が続く。

 マニアック過ぎて、正直ついていけない。マリアさんの助手の司祭に聞いたところ、学術的には、かなり価値のある質問らしい。

 馬鹿女神はというと、時々入るマリアさんの称賛の言葉に気分が良くなって、饒舌になる。


「マリアさん、貴方は本当に分かっているわね。祝福をあげようかと思うくらいよ」

「ありがとうございます。今日、エリス様にお会いできたことが、人生最大の幸福です」


 俺は営業のトークとして、お世辞を言っているが、マリアさんは本心からだろう。


 マリアさんと馬鹿女神の会話が少し途切れたところで、俺も質問する。


「ところで、神器を持った最後の一人は見つかったのでしょうか?」

「神器?最後の一人?」


 転移者だよ!!忘れてたのか!?


「あっ・・・ああ・・・一生懸命に探しているのですが、未だに発見できていません・・・」


 絶対に忘れていたよな!!


 馬鹿女神は強引に話題を変える。


「それはそうと、信仰心の集め方について、詳しく教えてください。レポートにまとめて、報告すれば更にポイントがもらえますのでね・・・」


 俺は仕方なく、やったことを説明した。

 参考で、コラボグッズを数点持ってきてもらった。


「なるほど、コラボですか・・・でも少し不満がありますね。まずは私の姿絵ですが・・・」


 馬鹿女神はクレーマーばりに文句をつけてきた。

 

 胸をもっと強調しろ!!

 なぜ私のほうが神獣よりも小さいんだ?

 もう少し、私の魅力を引き出せ!!


 丁寧な言葉を使っていたが、内容はこんな感じだ。

 一体、俺たちがどれだけ苦労したと思っているんだよ!!


 収集がつかなくなりそうだったので、こっちも話題を変え、半年後の降臨祭の打ち合わせをすることにした。ここでも、「もっと演出を工夫しろ」と言われたが、笑顔で受け流す。


「皆さんに会えて、本当に有意義でした。こちらの商品は後学のため、持ち帰らせてもらいますね」


 チュウハイとハイボール、うどんを中心に大量に持って帰りやがった。


 こうして、またまた俺たちは降臨祭の準備に追われることになったのだった。

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