表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
58/90

58 宗教対立2

 マリアさんの話では、かなり信仰心が集まったという。

 俺たちの頑張りもあるが、それ以上に教会の自滅も大きい。


 ここで少し、面白いエピソードを紹介しよう。

 予想通り、偽物の偽物が登場した。「天国に行けるお札」の偽物を販売している者を教会関係者が見つけ、咎めたという。その時、咎められた者はこう言ったそうだ。


「だったら、証拠をみせてみろ。それにそちらが、本物だという証拠もな」


 教会関係者は、答えに窮したという。

 だって、自分たちも偽物だからな。


 それに比べて、正規のエリスブランドの商品を販売している商会は大繁盛だ。

 そもそもの話、商品の質が違うからな。

 そして、その商会などを通じて、正規のエリスブランド以外の商品は買わないように客に注意喚起する。


 そんなことが続き、教会は偽物の販売を中止してしまった。


 そんな中、教会の関係者が、町にやって来た。

 代表者はフランシスという、引き締まった体をした30代の男性だった。聖職者というよりは、騎士に近い雰囲気がある。

 武力を背景に認定権を奪い取りに来たのでは?と思い、マリアさんと共に応対することにした。


 マリアさんがフランシスに言う。


「今日は、どういったご用件で?」

「こちらの聖水の認定を受けに来た」


 フランシスが差し出した聖水を確認する。

 鑑定スキルを持っている商人を呼び出して、鑑定してもらった。


「聖水の中では、優良品ですね。ほとんどのアンデッドに効果があります。普通に私どもが仕入れたいレベルですね」


 フランシスが言う。


「最近の我が教会の蛮行は目に余る。それで、教会に対する信頼も失われてしまった。信頼回復のために、門外不出のこの聖水を割安で販売しようと考えたのだ」


「それは、教会全体の総意ですか?」


 フランシスは、言葉に詰まりながら言う。


「総意ではない。我の独断に近いな・・・」


 マリアさんがこっちを見てくる。

 俺に意見を求めているのだ。


「商品自体に問題はありません。教会の現状を少し教えてもらえませんか?」


 何事も情報収集は大事だ。


 フランシスが言うには、主流派も分裂の危機にあるという。

 流石に主流派の中にも「天国に行けるお札」などの販売は、賛否があったらしい。主流派も完全な拝金主義者ばかりではないようだ。


「マリア殿のように真理の探究のみに特化することはできないが、今回の件は、やり過ぎだ。何事もバランスが大事だからな。それで神官騎士を中心に少しでも信頼回復をしようということになり、高位貴族に高額で売るくらいしかしていなかった聖水を冒険者にも手の届く価格で売ろうと思ったのだ」


 ここまで話を聞いて、フランシスは誠実な人物だと思う。

 しかし、俺だけでは判断できない案件だ。


「少しお時間をください。検討してみます」



 ★★★


 グレーテルお嬢様に相談した。


「難しい問題じゃのう。信じてよいものかどうか・・・」

「認定だけもらって、中身をすり替えるとかも考えられますからね」


 カヨさんが言う。


「それについて、対策がありますよ。商品を一度こちらに持って来させて、こちらが指定した鑑定士が鑑定して初めて、認定証を貼付するんです」

「それなら、大丈夫そうですね。後はこの条件を呑むかどうかですね」


 マリアさんを通じて確認を取ったところ、それでも構わないとのことだった。


「だったら断る理由はないのう。とりあえず、帝国でのみ販売してみるかのう・・・」


 帝国での販売となると、話を通すのは、レンブラント辺境伯だ。


「な、なんと・・・それは是非、販売致しましょう。このレンブラントに任せていただければ、大量に売りさばいてみせます」


 結局、聖水の販売はレンブラント辺境伯に一任することにした。

 しかし、また被害者が生まれることになる。



 ★★★


 ここは、帝国東部の中堅都市だ。

 俺たちは今、販売促進会の視察に来ている。


 ネーラちゃんに乗ったアイーシャ皇女が地上に舞い降りる。


「皆さま、聖水を持ってきました。よろしければ・・・」


 アイーシャ皇女の声がかき消されるくらいの大歓声が上がる。


 レンブラント辺境伯が行ったのは、アイーシャ皇女の人気を利用することだった。

 更に、母のノワールさんも降り立つ。


「もし、偽物を売ったら、我が食い殺すぞ!!」


 場が凍りついた。

 レンブラント辺境伯は、ノワールさんも手懐けているようだ。

 火酒の入った樽をこっそり渡していたしな。


 レンブラント辺境伯が説明してくれる。


「聖水だけでなく、様々なエリスブランドを売っているんですよ。アイーシャ皇女の名声も高まり、売り上げも上がる。一石二鳥ですね」


 本当に商魂逞しい。

 レンブラント辺境伯は、日本でも一流の商人になれるだろう。


 一方のアイーシャ皇女だが・・・


「正直辛いです。大した実力もないのに肩書きだけ増えて・・・」


 グレーテルお嬢様が言う。


「これも試練じゃ。堂々としておれ」


「はい・・・」


 可哀想だが、仕方がない。

 グレーテルお嬢様が言うには、これもアイーシャ皇女を守るためだという。


「アイーシャ皇女は気づいてはおらんが、アイーシャ皇女のお蔭で、レンブラント辺境伯領の領民は喜んでおるし、獣人たちも喜んでおる。ただ、与えられた役割をこなすだけじゃが、誰にでもできることではない。アイーシャ皇女を害そうとすれば、彼等が必死に守るじゃろうしな」



 こうして、エリスブランドの偽物は、駆逐されることになったのだった。

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ