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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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56/90

56 偽物が出ました

 領主館にサチコさんが訪ねて来た。


「アンタにはお礼を言っておかないとね」


 というのも、あまり乗り気ではなかったサチコさんやエルフたちだったが、コラボ企画で大儲けしているのだ。世界樹の葉から作ったハイポーションを「エリスのポーション」として、かなりの高額で売り出したのだが、飛ぶように売れている。


「あの馬鹿女神を許したわけじゃないけど、多少は感謝しているよ」


 エルフたちだけでなく、冒険者ギルドも恩恵を受けている。

 冒険者ギルドに併設している酒場兼食堂では、「エリス定食」なるものが売られており、夜間になると「エリスおつまみセット」も売られている。ドワーフの酒と簡単なおつまみだけなのだが、かなりの売り上げを上げているという。

 また、教会でお祈りした回数や寄付の額が一定数を越えれば、割引特典が受けられる制度も作っていた。

 教会もお祈りに来る人が増え、冒険者ギルドも儲かるという相乗効果が生まれている。この世界に無かったスタンプカードも登場している。


 一頻りサチコさんと雑談した後、サチコさんは言った。


「そろそろ国に帰るよ。あっちの世界樹も心配だからね。これからもちょくちょく様子は見に来るよ」

「ありがとうございます。お元気で」

「それと、これからは偽物が出るだろうね。その対策をしないと逆に馬鹿女神の評判が落ちるよ。まあ、馬鹿女神がどうなろうと私は関係ないけどね」


 しばらくして、サチコさんの予想は当たることになった。



 ★★★


 その日、俺とカヨさんはグレーテルお嬢様から呼び出しを受けた。


「実は国内で偽物のエリス商品が多数出回っており、大変な事態になっておる。そのほとんどが粗悪品じゃ。それにこれは、我が国だけではないようじゃ。早急に何とかせねばならん」


 やはりそうなったか・・・

 著作権法がある日本でも、こういった商品は続々と登場する。

 著作権法のないこの世界なら、やりたい放題だ。


 カヨさんが言う。


「ライセンス制にすれば、どうでしょうか?この町が認めた物しか、正規の商品ではないとお触れを出すんです」


 グレーテルお嬢様がまた、悪い顔をしている。


「となると利権が生まれるな・・・我が国だけで独占するのは・・・この際、各国を巻き込むか・・・」



 こうして、エリス商品を巡って、国際会議が開かれることになってしまった。

 問題は、認定を誰がするかだ。レンブラント辺境伯なんかは、すぐにグレーテルお嬢様に打診してきたという。

 認定権限を持っていれば、賄賂なんて貰い放題だからな。


 カヨさんが続けて意見を言う。


「こちらで分析したところ、「エリスポーション」やドワーフが作ったお酒などは、ほとんど類似商品が出ていません。だって真似できませんからね。一番被害を受けているのは、サクラさん考案の「エリスうどん」ですね。こちらは、簡単に真似ができてしまいますから・・・」


 俺は思いついた意見を言う。


「だったら、誰にも真似できないロゴを入れるとかはどうですか?」


「それはいい案じゃ。そちら方面なら伝手はある」


 ロゴについては、ステラ王女を通じてフラレンス王国に頼むことになった。専門の技術者を派遣してくれるという。フラレンス王国なら安心だ。この件でちょっかいを掛けてくるとしたら、ティーラム帝国だが、フラレンス王国は何かとティーラム帝国に対抗心を持っているので、圧力に屈することはないしな。


「後は認定方法じゃが・・・」


 これについては、各国で一時審査をしてもらい、最終的にはこの町の神官であるマリアさんが最終決定を下すことになった。


「最終審査がしっかりとしておれば、そう問題は起きんじゃろう。一次審査権は各国に任せることになるが、これで一儲けできそうじゃな・・・」


 各国の王家が一次審査権を獲得する中、帝国での一時審査権を勝ち取ったのは、レンブラント辺境伯だった。まあ、裏で何かあったのだろうけど、詳しくは聞かないことにした。



 ★★★


 教会のほうはというと人の出入りが、かなり増えた。

 マリアさんが言う。


「獣人や亜人の方も、私たちの話を聞いてくれるようになりました。ただ、商人さんの中には、商売の神様だと勘違いされている方が大勢いらっしゃるのが、不満ではありますが・・・」


 それはそうだろう。

 エリスのロゴがあるだけで、売り上げが全く変わってしまうからな。


「それは仕方がないことですよ。根気強く教えを説けば、自然と解決すると思います」

「そうですね。私も頑張らないと」



 これで一応の決着にはなったと思っていたが、また大問題が浮上した。

 帝都の教会本部が文句をつけてきた。


「最終認定権を渡せですって!?」

「そうなんです。そうしないと、私たちを破門すると」


 カヨさんが怒る。


「なんて酷いことを考えるんでしょうか?私たちが頑張ってここまでやって来たのに、それを掠め取るなんて・・・」


 それはそう思う。

 だが、どうすればいいんだ?


 とりあえず、グレーテルお嬢様に相談だな・・・

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