45 激闘
本格的な戦闘に突入する。
シールドラゴンは、水流ブレスを撃ってこなければ、然程怖い相手ではない。四本の足による攻撃や踏みつけ攻撃もあるが、ある程度のランクの冒険者であれば、十分に躱せる。
近接攻撃隊は勇猛果敢に攻撃を加えていく。
戦況を見つめていたカヨさんが言う。
「ダメージは入ってますが、回復力が半端ないですね・・・」
「そうですね。どんどん傷が塞がっています」
スタンリーさんが言う。
「だからこその数に任せた力押しだ。とりあえずは、アイツらを信じよう」
みんな必死で攻撃している。
そんな中、「魔道女子会」のセーラさんが叫ぶ。
「魔力を探知したわ!!水流ブレスが来るわよ!!」
スタンリーさんが叫ぶ。
「退避だ!!早くスプーンに隠れろ!!」
近接攻撃隊が一斉に退避してくる。すぐに強力な水流ブレスが吐き出された。
★★★
もう1時間近く、同じようなことをしている。
近接攻撃隊が攻撃を加え、水流ブレスが来ると退避する。回復力が高いので、ダメージは入っているが、その都度回復されるので、討伐には至っていない。ほぼ全員が疲弊している。
「埒が明きませんね・・・ここは私が・・・」
言い掛けたところで、カヨさんに遮られた。
「それは最後の手段です。今、ケイスケさんがやってしまうと、みんな「俺たちって、一体!?」みたいな感じになってしまいます。だったら、私とショウタ君でなんとかしますよ」
カヨさんの作戦はこうだった。
文献によると、シールドラゴンの弱点は頭部だ。ならば最初から狙えばいいのでは?と思うのだが、そうはいかない。水流ブレスを撃つまでは、基本的に甲羅の中にあるし、水流ブレスを撃っている時に近づくなんて、自殺行為だ。
そのことは、カヨさんも十分に分かっているはずだ。
「つまり、水流ブレスの発射直後を狙うんです。私たちならできますよね?」
「私は大丈夫です。カヨさんとショウタ君が危険では?」
「大丈夫だよ。カヨさんに頭の動きを止めてもらえば、なんとでもなるよ」
そして、この作戦は決行されることになった。
タイミングを見計らい、水流ブレスを撃っているところに突っ込んでいく。スプーンはアダマンタイト製なので、水流ブレスは全く効かなかった。十分に近づき、水流ブレスが少し弱まったところで、カヨさんが飛び出した。
そして、神器のフォークでシールドラゴンの頭部を串刺しにした。鼓膜が裂けそうになるくらいに大きな悲鳴が聞こえてくる。
首の付近に何本かフォークを串刺しにしたので、甲羅の中に頭部を引っ込められないでいる。
そこにショウタ君が飛び出していく。
特大のステーキナイフを両手に持ち、一気に斬り掛かった。そして、シールドラゴンの頭部が地面に落下する。
しばらくして、シールドラゴンが崩れ落ちた。
大歓声が上がる。
「やったぞ!!シールドラゴンを倒した!!」
「これで俺たちもドラゴンスレイヤーだ!!」
「騎士として、誇りに思う・・・」
★★★
上手く討伐はできたのだが、問題が起きた。どうやって持って帰るかという問題だった。
ショウタ君が言う。
「ここで解体してもいいけど、流石の俺でも2~3日は掛かるな。それに保存のこととかを考えると、持って帰りたいんだけどな・・・」
確かにそうだ。
アースドラゴンの時は、ミンチにしてしまったから、解体どころではなかったしな。
スタンリーさんが言う。
「とりあえず、引っ張ってみるか?おい!!冒険者ども、ロープを引っ掛けろ」
こちらも力業だった。しかし、戦闘でかなり体力を消耗している冒険者だけでは、ほとんど進むことができず、ドワーフやオーベルト男爵領の領兵も手伝うが、あまり速度は上がらなかった。
スタンリーさんが言う。
「これじゃあ、帰還するまでに3日は掛かるぞ・・・」
ここで俺は閃いた。
「これからスプーンを出すので、スプーンにシールドラゴンを括り付けてください」
何をしたかというと、スプーンごとシールドラゴンを運ぶことにした。スキルレベルが上がったので、スプーンを自在に操ることができるからな。
この作戦は上手くいった。
普通に搬送できている。冒険者や領兵たちは、目を丸くして驚いていた。
「領主様って、半端ねえな・・・」
「そうだな・・・水流ブレスを弾き飛ばしたり・・・人間じゃねえぞ」
そんな時、カヨさんから衝撃的なことを言われた。
「思ったのですが・・・その能力があれば、もっと楽に戦えたんじゃないかと・・・いつものように大量の先割れスプーンを出すのではなくて、1本ずつ、ピンポイントで先割れスプーンを飛ばせばよかったのでは?」
「そ、そうですね・・・気づきませんでした」
言われてみればそうだ。
実際に実戦で使ったことはないが、理論的には可能だろう。これからは、出したスプーンを自在に操る訓練をしていこう。
拠点に帰り着くと、住民からは大歓声で迎えられた。
それに戦闘に参加しなかったアイーシャ皇女からも労いの言葉をいただく。
「よくぞご無事で・・・これでまた、開発できる土地が増えます。本当にありがとうございました」
そこからは、ショウタ君が中心となってシールドラゴンを解体し、全員分の肉を確保したところで、宴会が始まってしまった。宴会では、冒険者やオーベルト男爵領の領兵だけでなく、商人たちが大勢、俺のところにやって来た。
商人たちは、シールドラゴンの素材を是非譲ってほしいという話がメインだった。
確約はしなかったけどな。
次の日、通信の魔道具でグレーテルお嬢様に報告する。グレーテルお嬢様もかなり驚いていた。
「アースドラゴンの時と同じように大きな竜核も取れましたよ。それに今度は素材も奇麗ですから、大きな利益が見込めるでしょう」
「今度はそっちの問題が出てきたか・・・よし、妾もそちらに出向く。それまでは、商人たちの要望は、のらりくらりと躱せ。これは後々大きな問題となるからのう・・・」
素材を巡ってそんなことになるのか?
まあ、のらりくらりと躱すだけなら、何とかなるだろうけど・・・
気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!




