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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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45/90

45 激闘

 本格的な戦闘に突入する。

 シールドラゴンは、水流ブレスを撃ってこなければ、然程怖い相手ではない。四本の足による攻撃や踏みつけ攻撃もあるが、ある程度のランクの冒険者であれば、十分に躱せる。

 近接攻撃隊は勇猛果敢に攻撃を加えていく。


 戦況を見つめていたカヨさんが言う。


「ダメージは入ってますが、回復力が半端ないですね・・・」

「そうですね。どんどん傷が塞がっています」


 スタンリーさんが言う。


「だからこその数に任せた力押しだ。とりあえずは、アイツらを信じよう」


 みんな必死で攻撃している。

 そんな中、「魔道女子会」のセーラさんが叫ぶ。


「魔力を探知したわ!!水流ブレスが来るわよ!!」


 スタンリーさんが叫ぶ。


「退避だ!!早くスプーンに隠れろ!!」


 近接攻撃隊が一斉に退避してくる。すぐに強力な水流ブレスが吐き出された。



 ★★★


 もう1時間近く、同じようなことをしている。

 近接攻撃隊が攻撃を加え、水流ブレスが来ると退避する。回復力が高いので、ダメージは入っているが、その都度回復されるので、討伐には至っていない。ほぼ全員が疲弊している。


「埒が明きませんね・・・ここは私が・・・」


 言い掛けたところで、カヨさんに遮られた。


「それは最後の手段です。今、ケイスケさんがやってしまうと、みんな「俺たちって、一体!?」みたいな感じになってしまいます。だったら、私とショウタ君でなんとかしますよ」


 カヨさんの作戦はこうだった。

 文献によると、シールドラゴンの弱点は頭部だ。ならば最初から狙えばいいのでは?と思うのだが、そうはいかない。水流ブレスを撃つまでは、基本的に甲羅の中にあるし、水流ブレスを撃っている時に近づくなんて、自殺行為だ。

 そのことは、カヨさんも十分に分かっているはずだ。


「つまり、水流ブレスの発射直後を狙うんです。私たちならできますよね?」

「私は大丈夫です。カヨさんとショウタ君が危険では?」

「大丈夫だよ。カヨさんに頭の動きを止めてもらえば、なんとでもなるよ」


 そして、この作戦は決行されることになった。

 タイミングを見計らい、水流ブレスを撃っているところに突っ込んでいく。スプーンはアダマンタイト製なので、水流ブレスは全く効かなかった。十分に近づき、水流ブレスが少し弱まったところで、カヨさんが飛び出した。


 そして、神器のフォークでシールドラゴンの頭部を串刺しにした。鼓膜が裂けそうになるくらいに大きな悲鳴が聞こえてくる。

 首の付近に何本かフォークを串刺しにしたので、甲羅の中に頭部を引っ込められないでいる。


 そこにショウタ君が飛び出していく。

 特大のステーキナイフを両手に持ち、一気に斬り掛かった。そして、シールドラゴンの頭部が地面に落下する。

 しばらくして、シールドラゴンが崩れ落ちた。


 大歓声が上がる。


「やったぞ!!シールドラゴンを倒した!!」

「これで俺たちもドラゴンスレイヤーだ!!」

「騎士として、誇りに思う・・・」



 ★★★


 上手く討伐はできたのだが、問題が起きた。どうやって持って帰るかという問題だった。

 ショウタ君が言う。


「ここで解体してもいいけど、流石の俺でも2~3日は掛かるな。それに保存のこととかを考えると、持って帰りたいんだけどな・・・」


 確かにそうだ。

 アースドラゴンの時は、ミンチにしてしまったから、解体どころではなかったしな。


 スタンリーさんが言う。


「とりあえず、引っ張ってみるか?おい!!冒険者ども、ロープを引っ掛けろ」


 こちらも力業だった。しかし、戦闘でかなり体力を消耗している冒険者だけでは、ほとんど進むことができず、ドワーフやオーベルト男爵領の領兵も手伝うが、あまり速度は上がらなかった。

 スタンリーさんが言う。


「これじゃあ、帰還するまでに3日は掛かるぞ・・・」


 ここで俺は閃いた。


「これからスプーンを出すので、スプーンにシールドラゴンを括り付けてください」


 何をしたかというと、スプーンごとシールドラゴンを運ぶことにした。スキルレベルが上がったので、スプーンを自在に操ることができるからな。


 この作戦は上手くいった。

 普通に搬送できている。冒険者や領兵たちは、目を丸くして驚いていた。


「領主様って、半端ねえな・・・」

「そうだな・・・水流ブレスを弾き飛ばしたり・・・人間じゃねえぞ」


 そんな時、カヨさんから衝撃的なことを言われた。


「思ったのですが・・・その能力があれば、もっと楽に戦えたんじゃないかと・・・いつものように大量の先割れスプーンを出すのではなくて、1本ずつ、ピンポイントで先割れスプーンを飛ばせばよかったのでは?」


「そ、そうですね・・・気づきませんでした」


 言われてみればそうだ。

 実際に実戦で使ったことはないが、理論的には可能だろう。これからは、出したスプーンを自在に操る訓練をしていこう。



 拠点に帰り着くと、住民からは大歓声で迎えられた。

 それに戦闘に参加しなかったアイーシャ皇女からも労いの言葉をいただく。


「よくぞご無事で・・・これでまた、開発できる土地が増えます。本当にありがとうございました」


 そこからは、ショウタ君が中心となってシールドラゴンを解体し、全員分の肉を確保したところで、宴会が始まってしまった。宴会では、冒険者やオーベルト男爵領の領兵だけでなく、商人たちが大勢、俺のところにやって来た。

 商人たちは、シールドラゴンの素材を是非譲ってほしいという話がメインだった。

 確約はしなかったけどな。


 次の日、通信の魔道具でグレーテルお嬢様に報告する。グレーテルお嬢様もかなり驚いていた。


「アースドラゴンの時と同じように大きな竜核も取れましたよ。それに今度は素材も奇麗ですから、大きな利益が見込めるでしょう」

「今度はそっちの問題が出てきたか・・・よし、わらわもそちらに出向く。それまでは、商人たちの要望は、のらりくらりと躱せ。これは後々大きな問題となるからのう・・・」


 素材を巡ってそんなことになるのか?


 まあ、のらりくらりと躱すだけなら、何とかなるだろうけど・・・

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