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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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44 湿地に潜む強敵

 湿地の調査は順調に進んでいた。今日、報告を受けるまでは・・・

 冒険者ギルドに顔を出したところ、「疾風団」のカールさんが駆け込んできた。


「ギルマス、領主様!!大変だ。出やがったSランクの魔物だ。それもシールドラゴンだ」


 シールドラゴン?


 シールドラゴンとは、巨大な竜種で、アースドラゴンと同じく、Sランクの魔物のようだ。

 スタンリーさんが言う。


「それは厄介だな・・・それにしても、カールたちは、よく生きて帰ってこれたな?」

「シールドラゴンは、アースドラゴンほど素早くはないからな。逃げるだけなら何とでもなる。俺としては、しばらく湿地を出入り禁止にすることを進言するぜ」


 ということは、湿地の開発は諦めろということだろうか?


 でもそう簡単には諦められない。日本酒もそうだが、米は絶対に食べたいからな。


「私が戦っても無理でしょうか?」

「そ、そうだな・・・だが、折角の素材が台無しになるから、苦渋の決断だな・・・」


 スタンリーさんが言う。


「多分、ケイスケ殿なら大丈夫だろう。しかし、そうなると冒険者の立場がなくなるからな・・・できれば普通に討伐したいのだが・・・」


 どうやら、俺は普通ではないようだ・・・



 ★★★


 早速、有力者を集めて対策会議を行うことになった。

 出席者は俺とカヨさん、スタンリーさんに加えて、「疾風団」と「魔道女子会」のメンバー、それに助っ人のショウタ君、サクラさん、マナミさん、オーベルト男爵だ。サクラさんとマナミさんは結構スキルレベルが上がっているので、戦闘にも使える実力だという。実戦も経験しており、並みの冒険者よりも強いらしい。また、旦那さんのオーベルト男爵もかなりの武人だしな。


 スタンリーさんの仕切りで会議が始まる。


「まずシールドラゴンだが、一言で言えば巨大な亀だ。動きは然程速くはない。しかし、水流ブレスを吐いてくるし、甲羅に閉じこもってしまえば、ほとんど攻撃が通らない」


 ショウタ君が言う。


「だったら、ケイスケさんが瞬殺すればいいんだよ」

「それは最後の手段だ。できれば素材も採取したいし、今後のことを考えるとケイスケ殿抜きで討伐したい」

「だったら、俺に任せろよ」


 カヨさんが言う。


「アースドラゴンを討伐した時にも思いましたが、巨大な竜種は相当な回復力をしています。だから、絶え間なく高火力のダメージを与え続けないといけないので、一人では無理ですね」

「じゃあ、俺とカヨさんで交代でやるしかないか・・・」


 ここでサクラさんが言う。


「だったら、私もマナミさんも手伝えると思うわ。直接戦闘に加われないけど、武器くらいは用意できるからね」


 スタンリーさんが何かを思い付いたように言った。


「人海戦術が使えるってことだな?だったら、何とかなりそうだ。後は水流ブレスだけだな・・・」



 ★★★


 3日後、俺たちは大部隊を率いて、湿地までやって来た。

「疾風団」と獣人の斥候職たちが中心となり、シールドラゴンを捜索する。湿地に到着して1時間程で、シールドラゴンを発見した。情報通り、かなり大きな亀だ。体長は10メートル程で、緑の甲羅を背負っている。


 スタンリーさんが指示をする。


「まず気をつけるべきは、水流ブレスだ。水流ブレスを撃とうとしたら、すぐにスプーンのシェルターに退避してくれ。水流ブレスは一度撃つとクールタイムがある。その間に何とか、甲羅を叩き割るんだ!!」

「オオオー!!」


 まず、「疾風団」が囮になる。

 シールドラゴンの正面に立ち挑発する。最初、シールドラゴンは前足で払いのけようとしたのだが、カールさんたちが上手く躱している。堪り兼ねたシールドラゴンが水流ブレスを吐き出す。


 轟音と共に、大量の水が吐き出される。水流が収まると、地面は激しくえぐれていた。まともに当たれば、即死だ。でもスプーンで十分に防げることが分かった。「疾風団」に危険なことをしてもらったのも、水流ブレスが防げるかどうかを確認するためだった。


 スタンリーさんが声を上げる。


「ケイスケ殿頼む!!近接部隊はスプーンに隠れながら前進!!」


 実は最近、出現させたスプーンを自由自在に操れるようになった。せっせとスプーン曲げをしているが、ドワーフにスコップとして貸し出しているのも大きいのだろう。

 話は逸れたが、要は巨大なスプーンを楯代わりに部隊が前進するというわけだ。


 シールドラゴンが水流ブレスを撃ってくるが、すべてスプーンで防ぎきる。冒険者たちが声を上げる。


「あのブレスをものともしねえなんて・・・」

「この楯を突き破れる奴なんているのか?」


 スタンリーさんが言う。


「余計なことは言わずに集中しろ!!そろそろブレスがやむ頃だ。近接攻撃部隊は、戦闘準備!!」


 しばらくして、情報どおりにブレスはやんだ。

 近接攻撃部隊が突撃して行く。


「旨いの酒のために命を懸けるぞ!!このハンマーに誓え!!」


 最初に駆け出したのは、ドワーフの部隊だった。続いて、オーベルト男爵領の領兵が続く。


「こっちには、奥様の鉄パイプがあるんだ。負けるはずがない!!」


 ドワーフはマナミさんの神器であるハンマー、オーベルト男爵領の領兵はサクラさんの鉄パイプを持っている。人海戦術による力業で、硬い甲羅を叩き割る作戦だ。


 冒険者も続く。


「おい!!ドワーフや騎士様に後れを取るな!!冒険者の意地を見せてやれ」


 こうして、本格的な戦闘に突入したのだった。

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