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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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43 住民の受け入れ

 とうとう住民がやって来た。

 アイーシャ皇女に率いられた亜人と獣人の集団は約300名。それに護衛と商隊が同行している。早速、アイーシャ皇女と打ち合わせを行う。


「この短期間で、ここまでのことをしていただけるなんて・・・」


 アイーシャ皇女は驚いていた。

 冒険者の協力もあり、仮設住宅程度だが、雨風が凌げる家は用意している。


「気にしないでください。それよりも、多くの商人が同行されていますね?」

「そうなんです。これはレンブラント辺境伯の強い意向で・・・」


 アイーシャ皇女が言うには、レンブラント辺境伯はこの開発計画が成功する可能性はそれほど高くないと思っているそうだ。だが、全く支援しないのでは恰好がつかない。それに成功してしまった場合、発言権を失ってしまう。そこで考えたのが、商人たちを派遣することだったという。

 商人たちにこの開拓地に商隊を派遣すれば、税制面で優遇するとの施策を打ち出した。それで多くの商人がやって来たというわけだ。


「やはりレンブラント辺境伯は食わせ者ですね。上手くいかなかったところで、大して損害はないし、上手くいった場合、こちらがお礼を言わないわけにはいかないですよね」

「形だけでも支援してくれたことは、有難いと思いましょう」


 そんなこんなで、住民も揃ったし、ここからが真のスタートだ。


 ★★★


 住民が到着して二日後、第一回の全体会議を招集することになった。

 出席者はティーラム帝国の代表としてアイーシャ皇女、シェーンブルグ王国の代表として俺とカヨさん、冒険者ギルドのギルマスと商人の代表者、そして3人の住民の代表者だ。俺は領主ということになっているが、すべてを一人で決められない。これはアイーシャ皇女も同じだ。前世でいうと議員みたいなものだけど、こちらの世界に議員何ていう職業はないから、国の役職としては領主ということになる。


 最初に俺から、今後の方針を発表する。


「この地は魔物は強力ですが、多くの貴重な素材が採取できます。また、未調査の場所も多くあり、冒険者心をくすぐります。なので、住民からも冒険者に適性のある者は、冒険者になることを奨励しようと思います」


 ギルマスのスタンリーさんが言う。


「いい案だと思う。獣人は戦闘力が高い奴や隠密行動が優れた奴が多いから、こちらとしては大歓迎だ」


 商人の代表者も続く。


「採取した素材の流通は任せてください。かなりの儲けになると思います。それで得た儲けで、食料や必要資材を揃えていくのがいい方法だと考えます。因みに必要資材の購入につきましては、我々を利用していただけましたら、幸いです」


 商人の代表はちゃっかりしてるな。


 カヨさんが続く。


「冒険者以外の住民で、主に草原を中心に農業や放牧をして、食料を自給していこうと考えてます。こちらは収益化ではなく、食料の確保ですね」


 第一回目の会議は、問題なく終了した。

 この環境を生かして、冒険者の町として発展させていこうという方針は承認された。まあ、それ以外にないんだけどな・・・


 会議が問題なく終了したのは、もめる要素がなかったのもある。

 グレーテルお嬢様が言うには、軌道に乗り、利権が生まれれば、問題もいずれ起きるとのことだった。


「その頃にはわらわも行くから心配せんでもよい。まずは、しっかりと足場を固めるのじゃ」


 頼もしい上司だ。


 それからは、住民の中で冒険者希望の者を選抜し、研修などを行った。

 中にはすでにBランク相当の実力を持つ者もいて、スタンリーさんは大喜びだった。


「これで調査は進むぞ。調査が進めば、もっと儲けられる」


 その言葉どおり、冒険者の活躍は顕著だった。

 次々と新しい素材を採取してくる。それを商人たちが各地で売りさばき、かなりの収益を上げることができた。現金なもので、早速レンブラント辺境伯が挨拶にやって来た。


「多くの者が反対する中、私は反対を押し切り、多大な支援を致しました。そのことをどうかお忘れなく・・・」


 支援もした。反対もあった。

 これは事実だ。


 でも、失敗しても痛くない程度の支援しかしていないのに、大層なことだ。

 まあ、支援をしてくれただけマシだし、それにこれからは追加で支援もしてくれるようなので、大人の礼儀として、愛想笑いでお礼を述べた。


「ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします」



 ★★★


 冒険者や奴隷たちの他にも移住者がやって来た。

 最初にやって来たのは、ドワーフの国の住民だ。開発支援もあるが、こちらに移住したい者も多くいるらしい。それにマナミさんも同行している。


「マナミさんも来ていただけたんですね」

「実は、開発のお手伝いだけではないんですよ。私にはどうしてもやりたいことがありまして・・・」


 マナミさんのやりたい事とは、日本酒づくりだった。


「お米は手に入れました。しかし、ドワーフの国では栽培に適しません。調査したところ、こちらには大規模な湿地がありますよね?そこでお米を栽培したいんですよ」

「私もカヨさんもお米が食べたいですから、協力しますよ。ただ、大規模な調査が必要なので、冒険者ギルドに話を通さないといけませんが・・・」


 すぐにギルマスのスタンリーさんに相談する。


「湿地の調査か・・・いいだろう。ただ、未知の領域だから調査料は5割増しだな」

「ありがとうございます。こちらも財政状況がいいですし、支援金もまだ残っていますから、大丈夫ですよ。それに湿地が開発できるとなれば、大儲けですからね」

「だったら、こちらもサービスしてやろう。「疾風団」と「魔道女子会」を派遣してやる。それも一般料金でだ」


 この時は、俺もスタンリーさんも明るい未来しか見えていなかった。

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