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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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41 アースドラゴン

 この世界でも、ドラゴンは珍しい。

 遭遇すること自体が稀で、出現するだけで国家存亡の危機だ。大昔の討伐記録でも騎士団総出で、多大な犠牲を払って討伐したようだしな。


 俺たちは戦闘体制を整えて、アースドラゴンの発見現場に向かう。

 しばらくして、アースドラゴンに遭遇した。アースドラゴンは体長が10メートルくらい、緑色の鱗で鋭い爪を持っている。地球で言うところの、ティラノサウルスに近いのだろう。まあ、実物は見たことはないけど。


 セーラさんが言う。


「作戦どおり、私たちが最強魔法を撃ち込む。それで討伐できればいいけど、できなければ・・・」


 カールさんが引き継ぐ。


「撤退しながら、罠に嵌める。それで討伐できればいいが、駄目なら潔く逃げるぞ。接近戦はなしだ」


 俺も許可を出す。


「ではやりましょう」


 俺の合図で、早速「魔道女子会」のメンバーが揃って詠唱を始める。このパーティーの最大の特徴は、四人揃って集団魔法という強力な魔法を撃てることだ。四人とも優秀な魔導士なので、かなりの高威力だ。ただ、発動までにかなりの時間を要するのが弱点だ。


 しばらくして、アースドラゴンの周りに魔法陣が現れ、大爆発が起き、ドカーン!!という轟音が響き渡った。周囲に煙が立ち込める。煙が消えて、確認するとアースドラゴンは、まだ立っていた。


「流石に一撃じゃ無理か・・・だが、ダメージは入っているようだし、罠に嵌めるぞ」


 カールさんともう一人のパーティーメンバーがアースドラゴンに向かって行く。叫び声を上げて、怒り狂ったアースドラゴンが二人に突進を始めた。これを二人は上手く躱し、スキルで作った落とし穴にアースドラゴンを誘い込んだ。

 アースドラゴンは、ものの見事に落とし穴に嵌り、もがいている。


「今度こそ、決めるわ!!」


 セーラさんの合図で、再び「魔道女子会」のメンバーが詠唱を始める。そして、再び大爆発が起きた。


「今度こそ・・・駄目だ。ダメージは入っているが、ダメージを受けた側から傷が塞がっていく。あの回復力は脅威だ。もう一度同じことをやるぞ」


 カールさんは、そう言ってアースドラゴンに向かって行く。攻撃を躱しながら、罠を設置するが、今度はアースドラゴンは罠に嵌らない。そこそこ知能は高いようだ。


「すまん!!足止めができない!!一旦、引くぞ!!」


 アースドラゴンはこちらに向かってくる。「魔道女子会」のメンバーは詠唱中で、かなり無防備だ。今攻撃されると、かなり危ない。そんな時、カヨさんがアースドラゴンに向かって行く。


「私が足止めをします。これでもワイバーンの討伐経験がありますからね」

「ちょっと!!奥様!!っていうか・・・ワイバーンを討伐したことがあるのか?」


 カールさんが驚いている。

 そういえば、エルフの国でワイバーンを討伐したんだったな。


 カヨさんは奮闘していた。

 アースドラゴンの攻撃を上手く躱し、的確にダメージを与えている。しばらくして、「魔道女子会」の詠唱が完了したことを確認したカヨさんは、一旦離脱した。

 帰ってきたカヨさんに尋ねる。


「どうでした?」

「動きはそこまで速くないですし、ダメージも入ります。ただ、回復力が尋常じゃないですね。時間を掛ければ、いつかは討伐できるとは思いますが、体力がもつかどうか・・・」

「そうですね。それにここで、すべてを出し切って討伐しても、新たな強敵が現れた場合、対処できませんからね」

「だったら撤退ですか?」

「その前に少し試させてください」


 そんな会話をしていると、「魔道女子会」の集団魔法が炸裂する。今回もダメージは入っているが、どんどんと回復していっている。

 カールさんが叫ぶ。


「領主様、もう無理だ!!撤退を進言する」

「分かりました。その前に私の最大火力で攻撃をさせてください。失敗しても足止めくらいにはなると思います」

「分かった。こっちは撤退準備をするぜ」


「出でよ!!先割れスプーン!!」


 いつも通りに俺は、無数の巨大な先割れスプーンをアースドラゴンの上空に出現させた。ただ、スキルレベルがかなり上がったようなので、大きさも5トントラックくらいの大きさにできるし、材質もこの世界で最高強度のアダマンタイトにした。


 結果はというと・・・


「ケイスケさん・・・やり過ぎです・・・」


 砂煙が収まり、確認するとそこにドラゴンがいたのが嘘のように血肉が飛び散っていた。冒険者たちも驚愕し、セーラさんは魔力を大量に使ったことも相まって、尻もちをついてしまっていた。


「おいおい・・・アンタらの護衛なんて必要あるのか?」

「噂には聞いていたけど、これ程とは・・・」


 カヨさんが言う。


「アースドラゴンの素材なんて、そうそう採取できるものじゃないのに・・・」

「すみません・・・」


 それから全員で、採取できそうな素材を採取することになった。

 辛うじて、爪と分かる部分や牙を中心に採取したし、特大の魔石も採取できたのだが、それでも微妙な雰囲気になってしまった。


 みんなに労いの言葉を掛ける。


「皆さんお疲れさまでした。これで私たちもドラゴンスレイヤーですね?」


 カールさんが言う。


「そうだが・・・なんか複雑な気分だな」


 拠点となりそうな場所は確保したし、よかったと思おう。

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