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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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40 現地調査

 現地に着いて、びっくりした。

 予想以上だ。辺境というか魔境だ。俺とカヨさんに同行する冒険者パーティーは2組、いずれもAランクパーティーだ。百戦錬磨の彼らでも、この環境は厳しいようだ。冒険者パーティー「疾風団」のリーダーのカールさんが悪態をつく。


「かなり寒いと思って着込んだら、今度は砂漠化かよ。ダンジョンじゃあるまいし・・・」


 これに「魔道女子会」のリーダーのセーラさんが答える。


「ここまで酷いのは、ダンジョンでもないよ。普通のダンジョンなら、ある程度コンセプトが分かるんだけど、ここは全くそれもない。ダンジョンなら誰も来ないレベルだね」

「それはそうだな・・・」


「疾風団」はリーダーのカールさんを中心として、斥候2人、軽戦士1名、回復術師1名の男性4人のパーティーで、「魔道女子会」は女性魔導士4人のパーティーだ。彼らを選んだのは実力もそうだが、素行が良く、俺とカヨさんに不足している探索活動と魔法での支援を補うためでもある。このパーティーを選んでくれたギルマスには感謝しているのだが、環境が環境だけに不安しかない。


 カールさんが尋ねてくる。


「ところで領主様。まずはどうするんだい?」


 領主様?

 あっ、俺のことか・・・


「とりあえず、拠点にできそうな場所を確保して、そこを中心に探索をしてみましょう」

「それしかないな・・・流石に砂漠や雪山を拠点にはできんしな」


 何とか納得してもらったようだ。


 ★★★


 草原地帯に入った。

 ここは急に自然環境が変わる。一体どういった原理なのだろうか?


 地球であれば緯度や標高、付近を流れる海流、大きな山脈などによって気候が変化する。一般的に緯度が高くなればなるほど気温は低くなり、また標高が高くなるほど気温が低くなる。

 この世界でも、概ねこれは当てはまっているが、この場所だけは、なぜか当てはまらない。


 セーラさんが言う。


「古い言い伝えには、この地で大規模な戦争があったそうよ。それで大量の魔法や禁忌と言われる魔法が使われたみたいで、魔力の流れがおかしくなって、こうなったというのが定説ね。本当かどうかは分からないけどね」


 魔力か・・・だったら原因は分からないな。

 でも、何とかここを人が住めるようにしないといけない。


 幸い、草原地帯は過ごしやすい気候だった。

 川もあり、水の確保もできる。


「ここなら大丈夫そうですね。でもなぜ、ここすらも開発できなかったのでしょうか?」


 カールさんが言う。


「魔物が強力なんだとよ。まあ、俺らクラスなら何とかなるが、駆出しの冒険者や一般人には厳しいんじゃないのか?」


 確かに魔物は強い。

 一番弱い魔物でもBランクはある。

 カヨさんが言う。


「でも、国が本気になって、騎士団を派遣したり、高ランクの冒険者を雇用したりすれば、何とかなったんじゃないでしょうか?」

「それもそうですよね。文献にはSランクの魔物が出たという記録はありますが・・・」


 カールさんが言う。


「一時的な難民キャンプならすぐに作れるんじゃないか?実力のある冒険者が必要だろうけど、俺たち冒険者にしてみれば、食い扶持が増えて嬉しいかぎりだ。それに魔物は強いけど、いい素材も取れるしな。報酬次第では、しばらく居てやるぜ」


 報酬次第か・・・

「疾風団」と「魔道女子会」の費用は、シェーンブルグ王国から出ている。ずっと出し続けてもらうわけにはいかないだろうし・・・


 そんなことを考えていたら、それどころではない事態が、起きてしまった。

 急に偵察に出ていた「疾風団」のメンバーが駆け込んできた。


「た、大変だ!!で、出やがった・・・すぐに逃げないと・・・」


 カールさんが注意する。


「おい!!落ち着け。何が出たんだ?詳しく言え」


 報告を聞いて、騒然となる。


「アースドラゴンだと!?」

「ああ、俺も初めて見るが、間違いねえ。10メートル以上の大物だ。俺たち「疾風団」とは相性が悪すぎる」

「それはそうだな。Aランクといっても俺たちは、探索や奇襲がメインだしな。セーラ、お前のところはどうだ?」

「ドラゴンを倒せばドラゴンスレイヤーだけど・・・流石に厳しいかもね。足止めくらいはできるとは思うけど」


 状況を把握すると、凄く危険なドラゴンが付近にいるようだ。因みにドラゴンはSランクの魔物だ。その昔に討伐された記録はあるが、大昔のことで、詳しいことは分からない。


「領主様、どうする?」


 俺が決めるのか?

 まあ、領主だからな・・・


「皆さんのご意見は?」

「俺は逃げるに一票だ。またあの砂漠を越えるのは、気が進まないがな」

「私も逃げることには賛成だけど、情報は必要でしょ?少し、戦闘してみるのもいいかもしれないわね」


 カヨさんが言う。


「砂漠や寒冷地に町を作ることはできません。本格的な討伐を考えるにしても、情報は必要だと思います。私はセーラさんの意見に賛成です」


 多数決では、「一度戦闘する」だな・・・


「分かりました。では一度戦闘を行い、危険な状態になったら、すぐに撤退しますね。それでいいですか、カールさん?」

「構わないぜ。逃げるだけなら、何とでもなるしな」


 ドラゴンか・・・俺たちに倒せるだろうか?

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