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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第一章 勇者として

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14 神聖な鉄パイプ

 女神との面談を終えた俺たちは、国王陛下をはじめとした国の重要人物への説明に追われた。

 女神が言ったことをすべて話すことはできないので、要点だけ掻い摘んで説明した。女神のミスで大量に転移者が死んだことや俺たちが転移者であることなどは、言わないほうがいいだろうしな。


 話を聞いていたグレーテルお嬢様が言う。


「つまり、勇者が8名いて、その力を結集するため、勇者を探せということじゃな?」

「そのとおりです。現在すぐに分かるのは2名だけです。一人はエルフの国、もう一人はこの国にいるようです」


 これには、国の要人たちが騒ぎ出す。

 俺と同じような能力を持つ者が、この国にいると分かったからだ。国王陛下が指示を出す。


「最優先で接触してくれ。必要経費はこちらで用意する。それで、どのような人物なのだ?」

「それが場所は分かるのですが、どんな人物かまでは分かりません。顔を見れば分かるのですが・・・」


 女神に貰ったリストは欠陥品もいいところだった。

 神器の使用歴が記載されているだけで、場所と日時しか記載されていない。ただ、その神器が「神聖な鉄パイプ」だったので、顔を見れば分かる。朧気ながら記憶にあるからな。

 だって、30歳前後の女性で人目を惹く美しさだったからだ。雰囲気はキャバ嬢ぽかった。


 カヨさんが言う。


「よく覚えてますね?」

「そ、そうですね・・・珍しい神器だったので・・・」


 奇麗な女性だったから覚えていたとは言いづらい。


「分かった。それでは明日にでも出発してくれ。領主には我が書状を用意する。グレーテルよ。領主の対応は任せたぞ」

「御意」



 ★★★


 王都を経って3日後、オーベルト男爵領の領都ザクセンに着いた。

 使用歴を見るかぎり、このザクセンでずっと使われている。


「まずは領主のオーベルト男爵に挨拶じゃな。オーベルト男爵領は急速に発展しておる。領主は若く、真面目で国王陛下の書状もあるから、心配はせんでいい」


 グレーテルお嬢様の事前調査では、オーベルト男爵領に目ぼしい冒険者や武術の達人はいないそうだ。ただ、どう見ても現代日本の知識で作ったとしか思えない商品が市場に並んでいる。

 食べ物で言えば、うどんやお好み焼き、化粧品なんかも販売されている。


 カヨさんが言う。


「これなら案外すぐに見つかるかもしれませんね」

「そう思います。まずは領主様にご挨拶しなければなりませんから、その時に聞いてみればいいかもしれませんね」


 そんな会話をしながら領主館に向かう。

 町の発展に比べて、領主館はこじんまりしていて、ちょっとボロい。

 グレーテルお嬢様が解説してくれる。


「調査によると、オーベルト男爵領が発展したのは、ここ半年程のことらしい。領主館の修繕を後回しにする姿勢は好感が持てるな」


 この国の貴族は、悪い奴もいるけど領民思いの貴族も多い。グレーテルお嬢様を筆頭にな。


 領主館で門番に事情を説明すると、すぐに面会の許可が出た。

 執務室に案内される。応対してくれたのは、オーベルト男爵その人だった。30過ぎの引き締まった体をした好青年で、金髪青目のイケメンだった。

 グレーテルお嬢様が事情を説明し、オーベルト男爵が国王陛下の書状を確認する。


「なるほど・・・勇者様ですか・・・生憎心当たりはありません。領兵に指示をして捜索はさせます。結果は保証できませんが・・・」

「気にすることはない。わらわたちに捜索する許可を与えてくれたら、それで構わん」

「そうですか。許可はもちろんします。長旅でお疲れでしょうから、こちらで宿を用意します。それに夕食も準備致しますよ。大した物はお出しできませんが、こちらの名産品をご馳走します」


 特にトラブルもなく、挨拶は終了した。

 宛がわれた部屋に荷物を置くと、すぐに食堂に案内された。夕食に並んだのは、何の変哲もない《《うどん》》とお好み焼きだった。何の変哲もないけど、この世界にうどんとお好み焼きがあること自体に違和感がある。


 早速食べてみると、素朴だが温かく、優しい味だった。

 グレーテルお嬢様も絶賛する。


「素朴じゃが、なかなかの味じゃな。コシのある麺が温かいスープと相性がいい」

「そうでしょう?材料費が安い割に美味しいんですよ。ゆくゆくは王都にも出店を考えてますので、グレーテル様のお力添えをお願いしますね」

「その際はわらわが全面的に協力しよう」


 オーベルト男爵は商売上手なようだ。

 それはそうと、これは絶対に日本人が作ったとしか思えない。それとなく、オーベルト男爵に聞いてみる。


「本当に美味しいですね。是非、作った料理人を紹介していただきたい。直接、言葉を掛けたいですからね」

「そうか!!勇者殿も気に入ってくれたか!!実は、この料理は私の妻が作ったものだ。紹介してもいいが、妻は美人で気立てもいいから、惚れないでくれよ」


 オーベルト男爵は愛妻家でもあるようだ。

 しばらくして、料理を作ったオーベルト男爵の奥さんがやって来た。


「あ、あれは・・・」


 黒髪の30歳前後の色っぽい女性、俺たちが探し求めた転移者だった。

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