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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第一章 勇者として

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10 思わぬ再会

 思わぬ再会をした俺が驚いているところで、ギルマスのスタンリーさんが言う。


「これからパーティーになるんだ。面接を兼ねて、下の酒場で飲んで来い」


 俺がキョトンとしていると、更に続ける。


「金のことは気にするな。それに個室も用意しているからな」


 カヨさんが続く。


「ケイスケさん、とりあえず行きましょう。こちらも事情がありますので」


 カヨさんに連れられて、俺は1階の酒場に向かった。

 個室に入るとすぐに料理とお酒が運ばれてきた。


「お久ぶりです、ケイスケさん」

「久しぶりですね。カヨさんもショウタ君も元気でしたか?」

「俺は元気だよ。それに結婚もしたんだ・・・」


 そこから二人の近況を聞いた。

 二人は王都周辺に転移されたようで、王都で冒険者として活動してきたそうだ。それぞれ神器の「聖なるフォーク」と「聖なるステーキナイフ」を使って、瞬く間にCランク冒険者になったようだ。

 因みに冒険者はA~Fのランクがあり、Cランクはかなりの実力者として扱われ、ギルドから様々な特典が与えられるという。


「Cランクになると、ギルドから毎月金貨5枚が支給されるんだ。凄いでしょ?」

「そ、そうだね・・・凄いね・・・」


 雰囲気的に金貨200枚貰っているとは言いづらかった。

 話題を変えてみる。


「それで、お二人で活動を共にするうちに惹かれ合って、結婚されたんですね?」


 微妙な雰囲気になった。

 あれ?聞いてはいけないことだったのか?


「ケイスケさん、ショウタ君が結婚したのは私じゃないんです。それはまた今度、説明します。それよりも、こちらの要望をお伝えしてもいいでしょうか?」


 カヨさんによると、二人はどうしても俺とパーティーを組みたいようだ。

 これには冒険者ギルドの意向が大きいそうだ。


「国が指定した勇者パーティーのメンバーに冒険者ギルドの関係者がいないのは、面子が立たないそうです。私もショウタ君もギルドから圧力が掛かっているんですよ」

「頼むよケイスケさん。パーティーメンバーになったら、ギルドから金貨10枚が支給されるんだ」


 少し考えて、答えた。


「お二人が正直に事情を話されたことに感謝します。どうせなら、お二人とパーティーを組みたいと思っています。それにここに来るまでに騎士団や有力貴族からの斡旋があったと聞いていますしね」


「ありがとうございます。ギルドの意向だけでなく、私もショウタ君もケイスケさんのパーティーに入りたいと思っていました。冒険者の仕事は不安定で危険が伴います。それに比べて、勇者パーティーになれば、それなりの固定給をいただけると聞いたもので・・・」

「ところでさあ、勇者って、一体いくら貰えるんだよ?」


 仕方なく、本当のことを言う。


「き、金貨200枚!!」

「それは凄いですね・・・命懸けで高ランクの魔物を討伐しても金貨50枚貰えればいいほうですからね。今でこそ、そこそこ稼げるようになりましたが、最初は地獄でしたよ」


 二人の話だと、冒険者は危険と隣り合わせの辛い仕事のようだった。

 今でこそスキルレベルが上がり、それなりに戦えているが、それでも最初は苦労したという。女神に貰った金貨10枚が無ければ、やっていけなかったようだ。


「ところで、ケイスケさんも最初は苦労されたんじゃないんですか?」

「そ、それが・・・転移して3日目から、金貨50枚を・・・」


 二人に俺のこれまでの状況を話すと、かなり驚かれた。


「スプーン曲げだけで、ここまでやってきたってことですか?」

「スプーン曲げだけではありませんが、業務の半分はスプーン曲げですね。後は文官的な仕事を少々。定期的に訓練は受けていますが、本格的な戦闘はこの前一度経験しただけです」

「それで、勇者ですか・・・」

「ええ、自分でも驚いています」


 それからは雑談が続いた。

 二人は期待の若手で、二つ名も持っているそうだ。カヨさんは、「殲滅の三又槍トライデント」、ショウタ君は「解体王」らしい。

 二人に他の転移者について聞いてみたが、出会ったことがないとのことだった。普通に考えて、凄い神器を持った奴らの噂くらいは聞いてもおかしくないと思うけど、そんな噂も聞かないそうだ。


「私たちも情報収集に努めていますが、神器を持った人の情報は全くないんですよ。冒険者ギルドは全世界に支部があるんですが、ギルドの職員さんに聞いても、そんな話は聞いたことがないとのことでした」

「まあ「高枝切りバサミ」の女性や「聖なる鉄パイプ」の女性が活躍しているとは思いませんが、それでも凄い武器を持った人は10人以上いたんですけどね・・・彼らに早く「大いなる悪」を打ち倒してもらいたいものです」


 久しぶりの再会で、盛り上がっていたところにギルマスとグレーテルお嬢様がやって来た。


「ケイスケ、どうじゃ?」

「とりあえず、このお二人とパーティーを組むことにします」

「分かった。二人の待遇についてじゃが、当面は仮採用とする。報酬は月に金貨30枚、本採用になれば金貨50枚を支給しよう。その後の活躍によっては報酬を更に上げても良いことになっておる」


 ショウタ君が大喜びする。


「やったあ!!俺、頑張るよ!!」


「それで、住居もこちらで斡旋することができるがどうする?」


 この提案にカヨさんは二つ返事で承諾した。

 俺と同じく、王城に部屋を用意してくれるようだ。一方のショウタ君だが、奥さんがいる関係で、これは辞退していた。


「今日はこのまま、旧交を温めてくれ。本格的な活動は明日からにする。討伐する魔物もこちらで選定しておいたからのう」


 こうして、勇者パーティーは結成されたのだった。

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