第22話:硝煙と氷の鎮魂歌
雪崩の轟音が収まり、静寂が訪れるまでわずか数分。
しかし、その短い時間で街道の景色は一変していた。
数千の兵が雪の下に埋もれ、あるいは凍りついた地面に叩きつけられ、折り重なっている。
そこへ、九戸軍の放つ鉄砲の一斉射撃が、容赦なく降り注いだ。
「撃て! 休むな! 弾丸が尽きるまで、そこを地獄へ変えるんだ!」
俺の命に応じ、城壁のあちこちから火花が散る。
近代的な火薬の調合により、この時代のものよりも遥かに遠くまで飛ぶ弾丸が、混乱する敵兵を正確に射抜いていく。
雪原はたちまち、黒い硝煙と赤い返り血で汚染されていった。
「ひ、卑怯だ……! まともに刃を交えることもできんのかーーー!」
雪の中から這い出した一人の武将が、剣を掲げて叫ぶ。
だが、その声は凍てつく風に遮られ、次の瞬間には銃声によって途切れた。
俺は冷たい眼差しで、その様子を城の上から見下ろしていた。
卑怯? そんな言葉は、最初からここにはない。
あるのは、生き残るか、消されるかの二択だけだ。
「氏郷、長政……お前たちの戦術や武勇など、ここではただの『重石』でしかない。この雪と氷と、俺の知恵。これこそが、貴様らを殺す牙だ」
煙の中で、蒲生の旗印が泥に塗れ、倒れゆくのが見えた。
天下の精鋭といえど、自然と理の前では等しく無力だ。
俺は次の指示を出すべく、冷たく凍りついた銃身に手を添えた。




