アップルパイ
食堂につくと、騎士団の人たちが何人か休憩をしているようだった。
見回りが終わって、休憩をしている人たちだ。
その中に――
「ルシアン先生!」
「おや。アシェくんにノーマン館長。
こんにちは」
「医務室の番人と食堂で遭遇出来るなんてのう」
「腹が減ったのでね。昼食です」
ノーマン館長と一緒にルシアン先生の側に行く。昼食といってももうおやつの時間だ。
ルシアン先生のご飯の時間はとっても不規則なんだ。
テーブルにはシチューとサラダ、食べかけのパンが置かれていた。
「ぼく。ノーマン館長とおやつ食べに来たんだ」
「おやつか。いいね」
ノーマン館長と一緒にルシアン先生の隣に座り、ルシアン先生をじっとみつめる。
「僕がヴァルドくんに怒られるよ」
ルシアン先生は困ったようにぼくをみつめた。
どうして怒られるんだろう。
理由を聞こうとしたらキッチンの方から声をかけられる。
「アシェくん!」
「料理長さん」
キッチンから出てきて、料理長はこちらに向かってきてくれていた。
「アップルパイ出来たよ。食べて行かないか?」
「た、食べたい!」
「アップルパイなんてメニューにあったかのう?」
首を傾げるノーマン館長にヴァルドさんが、もらってきたりんごのことを伝える。
「第三騎士団を出迎えに行った際、アシェくんが何か受け取っているなと思ったが……りんごを受け取っていたのか。いいのうアップルパイ!ホイップクリームものせてもらえるかのう?」
「ノーマン館長の頼みとなれば仕方ない。
今用意するから待っていてくれ。
……3つでいいのか?」
僕も?とルシアン先生は言っていたけど、食べるって言ってくれた。
「ヴァルドさんと……約束してたエレナさんの分もいいですか?」
「5個だな。みんなに宣伝しておいてくれよ!
限定メニューだが、評判が良ければ材料の入荷を検討しよう」
「はい!」
料理長はキッチンへと戻っていった。
アップルパイ楽しみだな。
りんごもあんなにつやつやで美味しそうだった。きっともっと美味しくなる気がする。
「楽しみじゃのう!」
ノーマン館長はもっとウキウキと言葉を弾ませていた。
____
「待たせたな。限定のアップルパイだ」
ことりとテーブルに置かれる。
アップルパイにホイップクリームがちいさく飾り付けられている。焼き立てなのか、香ばしい匂いが漂っていた。
「いい匂い……!美味しそう!
ありがとうございます」
「ゆっくり食べてくれよ」
料理長は嬉しそうに見ながら、キッチンの方へと戻っていった。
フォークを手に持ち、アップルパイに突き刺す。
サクリと音がなって、中に入っていたりんごとクリームが少しだけ飛び出してくる。
ドキドキしながらアップルパイを食べてみる。
「ん……!」
「こりゃあ、美味いのう。
絶品じゃ」
「焼き立てなのがたまらないね」
美味しくて美味しくて、言葉が出なかった。
焼き立てアップルパイはさくさくで甘くて、口の中がすごく幸せな気分になった。
食べてしまうのが勿体無くて、フォークを持つ手が止まってしまう。
「アシェくん?」
「ヴァルドさんにも早く、食べてもらいたいな」
ノーマン館長はホイップクリームと一緒に食べていたアップルパイを、ごくんと飲み込む。
「そうじゃな。今ヴァルドくんとエレナくんの分も作ってくれてるようじゃ。
出来たら持って行ってやりなさい」
「はい!」
食堂には香ばしい匂いがふわふわと漂っていた。




