心配
「おら!大人しく倉庫に入りな。
このガキの頭を吹き飛ばされたくなかったらな」
首に手を回されて、頭に魔法銃を突きつけられる。ぬいぐるみを持つ手が小さく震える。
「アシェ……」
「そ、その子は、関係ないので、離してあげて下さ……」
「早く入れ!」
男の人に怒鳴られて、ユージンさんとシリルは急いで倉庫に入る。中にいる男の人たちは、楽しそうにこちらを見ていた。
「人質の前では何もできないよなあ。
滑稽だな。第二騎士団よ。
さて、どうやって遊んでやろうかな。
こんなぬいぐるみなんて持って。
……ガキがよぉ!」
ぬいぐるみの頭を掴まれる。
これは、ヴァルドさんがくれた物だ。
「や、やめて!」
ぬいぐるみを取られたくない。
けどぬいぐるみを引きちぎられそうになって、思わず手を離してしまう。
「大人しく――っな!?」
ぬいぐるみの後ろに隠していた魔道具が見つかってしまった。
「アシェくん!」
ユージンさんの合図で作動させる。
もし、相手が悪い人だった場合。
みんなに一つずつ魔道具を渡しておいて、使おうと相談していたのだ。
ぼくに渡されたこの魔道具は、対象者に一定時間視界を奪うものだ。スイッチを押す。
「み、見えねえ!!」
宝石を袋に詰めていた男の人たちは、両手で顔を押さえている。
「シリルくん!」
ユージンさんの合図で、シリルは持っていた魔道具を発動させて、近くにいた宝石を詰めていた男の人たちの動きを止めた。
「く、クソ……っ!!」
魔法銃を突きつけていた男の人は、あまりの眩しさに手を覆った。
手が緩んだので、急いで逃げ出す。
しかし。
何も視界が見えない中、男の人はぼくに向けて魔法銃を突きつけていた。
「や、やめろ!」
ユージンさんが剣を抜く。
銃口が目の前に向けられて、怖くて動けない。
う、撃たれ――
「アシェ!!」
ザッと風を切る音がして、次の瞬間、ぼくに向けられていた魔法銃が空高く飛ばされていた。
男の人はそのまま蹴り飛ばされて、勢いよく倉庫の壁へとぶつかった。
そして、視線の先に立っていたのは――真っ黒い服に剣を携え、まるで本の中の英雄のような、ぼくの憧れの人。
ぼくはふわりと肩を抱かれて、そのまま胸元に身体を押し付けられる。
「わ」
無言でぎゅうっと抱かれて顔を上げる。
陽だまりに似た、この安心する匂い――
「ヴァルドさん……!」
「アシェ!心配したぞ!
なんでこんなところに……」
ヴァルドさんの腕に力強く抱きしめられる。温かさと安心感が一気に流れ込む。
泣いちゃダメだ。ヴァルドさんを困らせてしまう。優しい人だから、きっと困ってしまう。
ぼくなんか、心配、させちゃ――
「ヴァルドさん。……ご、ごめんなさ……わあああん!!」
怖かった気持ちが一気に溢れてきて、ぼくは涙を抑えられずに、わあっと泣いてしまった。




