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倉庫





教会の十字架を目指して2人で歩いていく。

魔石がなくてちょっと怖いけど、2人なら頑張れる。そんな気がした。


ふと視界の隅で何かが動く。

魔物かと思って、身を構える。

けどよく見たらぼくらと同じ人間だった。


ほっと息を吐く。男の人3人。

笑いながら、倉庫の中を指さして入って行った。ここは避難区域って言ってたのに、どうして逃げないで倉庫の中に?

それに、なんだか嬉しそうに。


「シリル。あの……」


シリルに3人の男の人が避難せずに、倉庫に入って行ったことを説明した。


「……怪しいな」


「え?」


「怪しいだろ。こんな状態で避難もせず。

魔物が怖くないんだろう。

きっと今回の件に何か関わっている!」


シリルが走り出して、男の人たちが入って行った倉庫に向かっていた。でも――


「ま、待って!」


もし本当に怪しい人だったら、怖い目に遭うかもしれない。


シリルの腕を掴んで止める。

シリルは今魔力が回復してない。

ぼくなんか――魔力なし。何もできない。


「危ないから、教会に行って、第二騎士団の人に伝えた方が……」


「でもそんなの待ってたら、逃げられる!」


ぼくたちが言い争っている時だった。

ばたばたと慌ただしくこちらに向かって走ってくる音。びっくりしてそちらに眼を向ける。


「えっ。き、君は避難したんじゃなかったんですか!?どうしよう。それに知らない子供も増えてる……!僕が魔物討伐している間に、住人が避難出来ていなかったなんて……どうしたら……!」


頭を抱えるのは、あの時、魔石を渡して勇敢に魔物討伐をしに行った、ユージンさんだった。


「ユージンさん!さっき、あの倉庫の中に、避難出来てない人が、3人いました!」


「ええっ!」


あの時頑張って魔物討伐してくれた、ユージンさんの判断なら、頼りになるかもしれない。


あの3人が怪しい人なのかはわからない。

魔物が来たことを知らない人だったら、教えてあげないと。


ぼくたちはユージンさんの手を引っ張り、倉庫の方へと向かった。



____




「な、なるほど。3人嬉しそうに……。

魔物が来てることを知らない可能性がありますね。ま、任せてください。

さ、先ほど魔石を他の第二騎士団の方から受け取りました。何で持ってないんだと叱られましたが……。

ともかく、一緒に避難してもらいましょう」


倉庫の近くでこっそり3人で話し合い。

ユージンさんはポケットから魔石を取り出す。


「き、君たちも結界の範囲にいて下さいね。

ぼ、僕に任せて下さい」


「はい」


「なんだか頼りねえなあ」


急いでシリルの口を塞ぐ。

でも、大丈夫かな。ちょっとだけ心配だ。


「し、失礼ですね。

先ほどの魔物だって、剣だけではなく、この魔道具を使いこなして、討伐しました。

き、君たちにも僕の魔道具、見せてあげましょう」


ユージンさんが魔道具を見せてくれる。

カッコいいな。本に載っていて、読んだ時から、ぼくも使ってみたいと思っていた。


これは魔道具自身に魔力が入っているから、ぼくでも使えるのだ。


「かっこいい……」


「俺の家にもあったかも」


ユージンさんは自慢げに使い方を教えてくれた。ぼくもセリカを貯めて、買ってみたいなって思ったんだ。



____





ぼくたち2人は結界の範囲に入り、ユージンさんの後ろに並ぶ。


「後ろにいて下さいね」


「はい」


シリルもこくりと頷く。

ユージンさんは倉庫の扉を丁寧にノックしてから、ドアを開けた。


「失礼します。こ、こちら避難区域に指定されています。魔石がありますので、安心してついて来て下さ……ええっ!?」


ユージンさんの叫び声に、ぼくたちは扉の隙間から様子を見てみる。


無理やりこじ開けられた木箱が、床にいくつも転がっている。

その前で、男たちはしゃがみ込み、宝石をひとつひとつ袋へと詰め込んでいる最中だった。

赤や青に光る石がランプの灯りを反射して、きらきらと怪しく輝く。


「あ、あなたたち、今、指名手配中の窃盗団――」


「動くな」


低い声が背後から聞こえて、身体が硬直する。

ぼくは肩を掴まれ、頭にコツンと何か当てられている。


「あ、アシェ……」


シリルが顔を真っ青にして、こちらを見ている。今当てられているものって、もしかして――


「念の為見張っておいて正解だったな。

魔物騒動を引き起こして、もぬけの殻になったところに忍び込めばバレねえと思ってたけど、まさか見られるとはなあ」


ぼくの背後にいる男の人は、魔法銃を突きつけていた。



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