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渋谷少女A―続編・山倉タクシー  作者: 多谷昇太
第二章 デュランス河のほとりで

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現れたストーカー

狸穴荘には幾許もなく着いた。しかし2階に上る階段にかけた足が重い。先ほどの女の子のことが気にかかるせいもあるが、実は山倉には話さなかったが2F奥の私の部屋の隣にここ2、3週間ほど前から新たな隣人が越して来ていたのだ。それも特異な形で。特異というのはしかし私にとってはちっとも特異ではなくて、どういうことかと云うと、部屋を又借りして新たな店子が住み出したということだ。それがすぐに分かるわけは階段脇の共同ポストの名前が前の住人のままだし、何より、又借りして入り込んだこの住人〝ら〟が転居早々壁越しに「プータ」と馴染みの声音で罵ったからだ。さらに「まだ居るよ」「まだ生きてるよ」「死ね」と続き、男女の嘲笑が起こったからである。これは紛うことなききゃつら、この20年の長きに渡って私を追い続けている男女2組のストーカーども、就中その1組の声と知れる。耳に馴染まされたそのいやらしい声音と定型4フレーズの文句からして、また、また、またもやの〝へっ付き(引っ付きなどという生易しいものじゃ最早ない、へっ付きなのだ)〟に間違いはなかった。確めようとして一度ならずドアをノックしたが決して出て来ない。間違いなく中に居るにも拘らず、である。そしてこのパターンもすっかり私にはお馴染みのパターンで、きゃつらは絶対に私の前に顔を見せないのである。特に私の部屋に隣住し出したこの1組は、私に〝へっ付いて〟どこに住まっても必ずニート化するのが常で、必要な買い物とか以外は一切外に出て来ない。部屋の中でトドと化し豚と化して一日中ゴロゴロとし、人様が汗水垂らして働いている最中も、朝昼晩お構いなくナニに勤しむか、あるいは私の書いた小説類を霊視盗作し、どこかのネット誌に投稿掲載とかをしているのだ。もう間もなくこのアパートのどこか別の部屋に引っ越して来るだろう、もう1組とも合わせ、正真正銘、人間の屑どもであった。


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