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渋谷少女A―続編・山倉タクシー  作者: 多谷昇太
第二章 デュランス河のほとりで

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気にかかる女の子

だいたいこのアパートは独身者が条件の筈なのだがお構いなく男女で住み、それどころかこの2組以外の仲間のチンピラどもを呼び寄せては〝たまり場〟ともする。その契約違反行為や況や又借りの事実を家主(代行不動産会社)に訴えても、諸氏は信じられないだろうが一切シカトされるのだ。理由は此奴らストーカーどものやらせ元、いわゆるヤクザの親分が不動産・建築及び土木関係の顔役、金満家で、業界や家主たちに至って顔が効くからである。このことは長年に渡る私の体験からハッキリ云えることで、その業界の勝手さ加減、カルテル度たるや嫌悪に堪えず痛憤やる方ない。店子の基本的人権などお笑いでしかなく、賃貸の契約条項など店子次第でどのようにでも変形適用され、無視されてしまうのだ。人間の生活に絶対必要な衣食住、就中「住」がこのように家主側の恣意のままにあるならば蓋しネットカフェ生活者が増え、ホームレスが増える道理である。この土地や建物などの不労所得者どもが、どれほど日本の実体経済のマイナス要因となっているか、格差の元凶となっているか、いずれ項を変えて論じたいが今は小説の展開に戻ろう。

 差し込む鍵穴も開けるドアもつっかえ軋ませながら部屋に入る。このコロナ下ゆえに念入りに手・顔を洗い、うがいをして、こちらもいつものようにインスタントコーヒーを淹れる。6畳1間の畳の上に寝転んでコーヒーを飲みタバコを吹かすがどうにも落ち着かない。あの女の子の顔が目にちらつくのだ。まさかとは思う。まさかあの連れの男が誘拐犯で、あのまま隅田川の畔にまで連れて行って、よからぬことを女の子にしはすまいな…などと危惧されて仕方がない。パソコンでツイッターなどを見ると今日日お隣の中国を始め世界中で子供の誘拐事件が多発していると云うではないか。

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