浮気者
真冬ちゃんのお母さんが買い物を終え、立ち去ってから、俺は二人の手引きで下着売り場を脱出した。
ほっと一息ついて少し時間が経ってから、二人が買い物袋を片手に出てきた。
「⋯⋯お待たせしました」
「⋯⋯お待たせ」
「いや、そんな待ってないから大丈夫」
二人は少し頬を赤く染めていた。なんだ、一瞬しか見れてないから何があったのかよくわからん。
「それにしてもなかなかのスリルでしたね。危うく見つかるところでした」
「ほんとだよ!しかも直登の前で裸になるなんて!これなら見つかったほうがマシだったんじゃねえか!?」
「まあまあ、どうせいつか見せる可能性が小さくても残ってるんですから」
「いや、勝手に可能性低くしてんじゃねえよ!いくらでも見せたるわ!!」
「マ、マジすか!?」
「このドスケベがぁ!!!」
さすがにこれで怒られるのは理不尽すぎやしませんかね⋯⋯。
「お姉さん、情緒不安定に見えちゃいますよ」
「くっ、お前のせいだっての!あと三分の一くらいお前の母親!」
「失礼な!全部お母さんのせいです!」
「清々しいくらいになすりつけたね」
「そもそも何が初めてのTバックですか!あれをお兄さんとお姉さんに聞かれてる時の私の気持ちわかりますか!?」
「あー⋯⋯」
「まあ、想像すると⋯⋯しんどいな」
俺だったらドラゴンボール集めてその時の記憶消してしまうかもしれない。いや、さすがに無駄遣いがすぎるか。
しかし⋯⋯Tバックか。
「おのれ⋯⋯一体何を考えてるんですか、あのババアは」
「落ち着け。言葉が汚くなってんぞ」
「これが落ち着いていられますか?アレをお兄さんに見せるつもりでいるんですよ、きっと」
「それは絶対阻止しないとな!!割とマジで!!!」
「あれ、お兄さんどうかしましたか?そんな両腕を広げてTを形作って」
「ちょっ、おま⋯⋯わかりやすすぎだろ⋯⋯アタシ達の前でよくそこまで他の女に下心丸出しにできるな⋯⋯ひくわー」
「ご、ごめんなさい!違います!違います!これは、その⋯⋯作戦なんです!」
「どんな作戦なんですか?」
「今は⋯⋯ほら⋯⋯まだ早いというか」
「やっぱただの下心じゃねえか!何が作戦だよ!それで誤魔化せると思うなよ!」
「お兄さんの浮気者!熟女マニア!」
「マニアではないわ!てか、あの人熟女って感じしないじゃん!真冬ちゃんのお姉さんでも通るよ!」
「あら、ありがとう」
「「「っ!!」」」
突然割り込んだ声に振り向くと、さっきいなくなったはずの真冬ちゃんのお母さんがそこにいた。




