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「じゃ、じゃあ、俺はここで⋯⋯」
さすがにここに入るのはマズイと思い、その場を引き返そうとすると、真冬ちゃんのお母さんがこちらを振り返った。
「っ!?」
それに反応するように慌てて俺は棚と棚の隙間に隠れた。あ、入っちゃった。
すると、夏希さんと真冬ちゃんが俺を隠すようにその近くに立つ。
「と、とりあえず出ます!」
「いや、待て。今動いたら間違いなく見つかる」
「お兄さん、我慢してください」
「⋯⋯ラジャー」
二人にそう言われては仕方ない。
ただ、この状況は思春期男子的によろしくないというか、何というか⋯⋯。
夏希さんと真冬ちゃんがぴったり背中をくっつけているので、二人の柔らかさやら何やらがしっかりと伝わってきてやばい。
あと夏希さんからは柑橘系の爽やかな香りが、真冬ちゃんからはほのかな甘い香りが漂ってきてやばい。
⋯⋯今さらながら何だかクラクラしてきたんだけど。
最近一緒にいる時間が長すぎて、告白されるまで意識するタイミングが減っていたが、二人とも本来なら自分がこうして関わっているだけでも奇跡なくらいの美少女なのだ。
あれこれ考えていると、真冬ちゃんがこちらを振り向いた。
「やばいです。こっちに来ます」
「くっ!」
夏希さんは俊敏な動きで何やら手につかみ、俺達を試着室に引きずり込んだ。
「ふぅ⋯⋯危なかった。試着室が意外と広くて助かったわ」
「お姉さん、何で手に下着持ってるんですか?」
「いや、何も持たずに試着室に入るわけにいかねえだろ」
「まあ、確かにそうですけど」
「ていうか、こっからどうするんですか?」
「とりあえず中で時間潰すか」
すると間近に足音を伴った声が聞こえてきた。
「あの、試着をしたいのですが」
「あ、はい!あら、こっち使われてるわね。それでは、こちらの試着室へどうぞ〜♪」
「「「⋯⋯⋯⋯」」」
一旦息を潜める。うっかり声が聞かれてしまったら一発でバレてしまいそうだ。特に真冬ちゃん。
静かになったせいか、店内のBGMや客の会話がよく聞こえるようになった。
さらに言うと、隣の試着室から衣擦れの音が聞こえてきて、緊張感が爆上がりする。やばい、想像力を遮断しないと、色々妄想が炸裂してしまいそうだ。
「⋯⋯年甲斐もなく派手なので選んでしまったかしら。あの、従業員さん、これどう思います?」
「あら、お似合いじゃないですか〜!年下の男の子だってイチコロですよ〜!」
「これにします。Tバックなんて初めてですけど」
Tバックという言葉に急に目の前が真っ白になってしまった。




