尾行
結局夏希さんは人気のブロックおもちゃを購入し、千花ちゃんには小さめのサッカーボールを購入してあげた。
「まったくもうお姉さんったら、オモチャ選びに時間がかかりすぎですよ。しかもこのタイミングでなんで◯ゴ買うんですか。組み立てたかったんですか」
「まあな」
「めっちゃドヤ顔⋯⋯まあいいんですけどね。急ぎの用事とかもありませんし」
「真冬ちゃん、次はどこへ行くの?」
「次は⋯⋯っ!?」
真冬ちゃんは何かに気づいたように目を見開き、俺と夏希さんの手を強引に引いて、オモチャ売り場へと引き戻した。
「ど、どうしたの、真冬ちゃん?」
「何だよ?やっぱりお前もオモチャ買いたかったのか?」
「しっ、お兄さん静かに。お姉さん、しっ、しっ」
「さりげなく追い払おうとすんな!ったく、誰から隠れたんだ?」
夏希さんは呆れたように問いかけると、真冬ちゃんは控えめにある人物を指さした。
「「あっ」」
俺も夏希さんもすぐに気がつく。
その人物は何と真冬ちゃんのお母さんだった。
「まさかこんなとこで会うとはな⋯⋯いや、別に不思議でもないか」
「確かに」
同じ生活圏にいるのだから、その街の大きなショッピングモールに行けば、普通に遭遇することも全然あり得るだろう。
真冬ちゃんは息を殺して、自分の母親がスタスタ歩いていくのを見届けていた。
「⋯⋯あの、ちょっと気になるので追いかけてみてもいいですか?」
その言葉に俺は自然と頷いていた。決して下心なんかじゃないことは信じて欲しい。
夏希さんも頷き、真冬ちゃんについてこっそり後をつけ始めた。
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さすがにショッピングモールの中を3人でコソコソ歩くのは逆に目立つので、俺達は並んでテキトーな会話をしながら、少し離れて後方を歩くことにした。
「お兄さん、今日の晩ごはんはどうしますか?私が作りましょうか?」
「え、いいの?」
「⋯⋯お前、作れんのか?」
「任せてください!今までに食べたことのないようなものを作ります!」
「「⋯⋯⋯⋯」」
その言葉に俺も夏希さんも固まった。
あ、多分これ料理やったことないやつだ。
家庭料理で今まで食べたことないやつ作ろうとしてる時点でかなりやばい。
家庭料理はいつもの味が一番良いに決まってる。
俺はその申し出をやんわり断ることにした。
「と、とりあえず遠慮しとこうかな」
「そうだよ、無理すんな」
夏希さんも努めて明るく言った。
だが、それに被せるように真冬ちゃんが「あっ」と前方を指さした。
その場所はなんと⋯⋯女性の下着売り場だった。




