真冬ちゃんの告白
真冬ちゃんはこれまで見たこともないくらい真剣な目で俺を見ていた。
そのくりくりした目は、同い年の千秋と比べてもどこか幼く思えたが、ある程度中身を知った今となっては、その幼さも内にある大人びた部分を覆い隠す演技のように思えて、どこか妖艶に見えてくる。
桜色の唇は何か言葉を紡ごうと微かに動き、すぐに止まった。
俺は俺で一日で二回目の告白を受けるという妄想すらしたことのないシチュエーションに、まともなリアクションなど取れそうもなかった。
こちらが何も言えずにいると、真冬ちゃんは拗ねたように頬を膨らませた。
「言っておきますけど冗談とかじゃないですからね。本当に大好きですよ」
「⋯⋯あ、ありがとう……えっと⋯⋯」
「野暮な質問はやめてくださいね。せっかくのムードが台無しになっちゃいますから」
真冬ちゃんはさらに近づいてきた。
吐息が混ざり合うような距離に真冬ちゃんの顔があり、彼女の顔の造形がはっきりとわかる。
夏希さんとは違う方向性で美しく整った顔立ちは、見れば見るほど吸い込まれそうな魔性を感じた。もしかしたらこの辺りは母親譲りなのかもしれない。
「ああ、でもやっぱり言っちゃいますね。本当に私も最近好きになったんですよ。それまでは真冬ちゃんのお兄さんで、何となくからかって楽しい人くらいの認識でした」
「ああ⋯⋯だろうね」
「でも、私のために何だかんだ下心なしに支えてくれてる姿を見ているうちに、こう……私のものにしたいなって⋯⋯」
「ロマンチックな空気漂わせてる中悪いんだけど、発言が肉食系すぎやしないですかね?」
「そのぐらい本気だってことですよ。さ、お兄さん。目を閉じてください」
「おい、待て。何勝手に先に進もうとしてんだ?今はどっちも告白するだけって空気だったろ?てか、直登もさりげなく目を閉じてんじゃねえよ!」
いかん。真冬ちゃんに言われるがまま目を閉じてしまっていた。普段の言動とのギャップがそうさせるのだろうか。
すると、真冬ちゃんがいつものような不敵な笑みを見せた
「空気なんて知りませんし読みません。奪ったもの勝ちです」
「さっきの雰囲気台無しじゃねえか!よーし、そっちがその気ならやってやんよ!さ、直登。目を閉じろ」
「あ、お姉さんがやると卑猥なのでアウトです」
「どんな理屈だよ!あと卑猥の遺伝子は間違いなくお前のが濃いからなっ、あっ!」
「わわっ」
突然姿勢を崩した夏希さんに巻き込まれ、二人は俺の上に覆い被さってきた。
柔らかな感触から姉さんの怒った声が聞こえてくるまで、それほどの時間はかからなかった。




