夏希の告白
告白。
マンガやアニメなどでは何度も観たことがあるが、自分が現実にされると、やはりまったく違う。
告白されたという事実だけで頭の中が満たされ、口や手足が動かない、というか言うことを聞いてくれない。
胸がどんどん高鳴っていく感覚が秒刻みで強くなっていった。
「どした?そんな意外だったか?」
「あ、いや、何というか、その⋯⋯」
意外、と聞かれればそんな感じはしない。
そりゃあれだけ色々接近するイベントがあり、ああいうことを言われていれば、まあ色々考えてしまうのも自惚れではないだろう。
俺は何とか自分を奮い立たせて、夏希さんの目を見返した。
刃の鋭い目つき⋯⋯と最初は思っていた。姉さんの部屋にいる時、初めて目を合わせた瞬間はビビって目を逸らしてしまったものだが、今は素直に綺麗だと思う。その勝ち気な瞳には不釣り合いなくらい華奢な首筋や肩は少し震えていた。
「どした?ぼーっとして?それとも刺激が強すぎたか?」
「⋯⋯かもしれません。ていうか、夏希さんも震えてるじゃないですか」
「バッカ、これは武者震いだよ!別に男に告白すんのとか初めてだし、何ならされたいほうだったから、こんなシチュエーションになるとは思わずに緊張してるとかじゃねえし!?」
「ああ、なるほど⋯⋯そうなんですね」
「な、なな、何がなるほどだよ!!勝手に納得すんな!!!」
夏希さんはいつの間にか肩の震えが収まり、目が静かに潤んでいる。
俺はただただ緊張やら何やらが高まり続ける体を押さえつけるように口を開いた。
「でも、何で俺みたいな奴の事⋯⋯その⋯⋯好きになってくれたんですか?」
「俺みたいなとか言うな。あとんな事いちいち聞くな。野暮にもほどがあるだろ」
「⋯⋯すいません」
「ったく⋯⋯お前といると自然と楽しくなるんだよ。まあ、最初は春香の弟くらいにしか思ってなかったんだけど」
「そのままじゃないですか」
「ああ、そのままだ。でも一緒にいるうちに何かこう⋯⋯いいなって」
「あ、ありがとうございます⋯⋯」
すると左側からひらひらと手が視界を塞いできた。
犯人は言うまでもなく真冬ちゃんだ。頬を膨らませて夏希さんをジト目で睨んでいる。
「はい、時間終了です。前座の方は下がってください」
「誰が前座か!てか、告白の前座ってなんだよ!」
「まあまあ、私もお姉さんと同じくらいの時間で済ませますから」
「⋯⋯じゃあいいか」
いいのか。
すると、今度は真冬ちゃんが真っ直ぐにこちらを覗き込んできた。
「お兄さん。いえ、直登さん。あなたが好きです」




