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レイと魔法と奇妙な日常  作者: 沖田 了
第三章 イーストテッド篇 決戦、ペンズ卿
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第五十二話 明かされる真実

「全てを説明するには、まず私達の素性から話さないとね。」


 ミルネバはマグカップをハルに渡しながらそう言った。

 ここは、イーストテッドの一角にある一軒家。入り口に[マジックアイテム仲介屋]の看板が置いてあるあの家だ。

 ミルネバ、ミクル、ハルの三人は台所のダイニングテーブルに座っている。

 レイは、奥の部屋で治療中だ。

 ミルネバの持つ最も強力なミーユ(治癒魔法)のマジックアイテムを使ってい治しているそうだ。

 その間、三人はミルネバの特製ホットミルクを飲みながら、話の続きをしていた。


「私はの名前はペンズ・ミルネバ。さっきのセリエーヌの話を聞いていたかもしれないけど、私は元魔法騎士隊全隊の総帥をしていた者じゃ。

 そしてこの子はミルク。私の孫じゃ。

 ちなみに、この子と君を助けた男の子は同じ子だよ。」


 ミルネバはミルクの頭にポンと手を置いて言った。

 どうやらこのオレンジ髪の少女と、レイと共に捕まっていた少年は同一人物のようだ。


「やっぱりそうだったんだ。でも、どうして?ミルクちゃんは、その、コレなの?」


 ハルは恐る恐る左手の甲を右頬に当てた。

 ハルが言いたいのはオカマなのか、と言うことだろう。


「ち、ちがうよ!ハルちゃん変な妄想しないで!」


 ミルクは真っ赤な顔になって否定した。


「それじゃあどうして男の子になってたの?」


「それは、ちょっと事情があって言えないんだけど……」


 ミルクはそう言って俯いてしまった。

 そんなミルクの頭にまた手を置いてミルネバはこう言った。


「それなら大丈夫。アレはもう手には入ったから、話してもいいよ。」


「手には入ったってどういうこと?

 あ、もしかしてお婆ちゃん私とレイがライムベル親兵基地に侵入してるときにお城に行ったの?」


「おや、お前さんにしてはよく頭が働くね。

 その通りだよ、お前さんらが騒ぎを起こしてくれてる隙に、私はあのドラ息子の城に行ってきたんだよ。」


 そう言って話す二人に、ハルはたまりかねたように割って入った。


「ちょ、ちょっと待って。

 話が全然分かんないよ。アレってなに?お城?ねぇ何の話をしてるの?」


「勝手に話を進めてしまって悪かったね。

 実を言うと私とミルクは、前々からあるものを盗み出そうとしていたんじゃよ。」


 ミルネバのその言葉に、ハルが驚いた声を上げた。


「え?盗み?

 じゃあお城とか、アレとか言ってたのは……」


「アレって言うのは盗みたかったもの、それで、そのアレが置いてあったのがお城ってこと。」


 戸惑うハルにミルクが駄目押しをした。


「そ、そ、そ、それって、ダメなこと何じゃないの?」


 ハルはあたふたしながら二人に聞いた。

 そんなハルを見てミルクが「ぷっ」と吹き出した。


「なんでここで笑うの!」


「いや、ちょっと思い出し笑いしちゃった。

 だってハルちゃん、レイと同じこと言うんだもん。可笑しくって。」


 ミルクはそう言ってまた笑った。

 ハルの頬がプクッと膨れる。


「まぁ急にこんな話しを聞いてもしても、戸惑うだけじゃろうが少し我慢して聞いてくれるかな。

 実は、私の息子つまりミルクの父親、そいつがこの東部を治めている貴族なんじゃが。」


「え?貴族?ここを治めてる?」


 ミルネバの説明に、ハルの頭には多くの"?"が浮かぶ。


「そうさ。この街の住民からはペンズ卿と呼ばれとる。

 そいつが本当にダメな男でね。

 王国議会の命令は無視するわ、住民に重税をかけて己は至福を肥やすわ、気に入らないものは直ぐに捕まえて、ろくに裁判もせずに極刑を言い渡すわ、本当にやりたい放題なんじゃよ。」


 ミルネバはそう言ってホットミルクを一口飲み、ふぅと息を吐いた。


「そこで、私とミルクはそのダメ男を失脚させようと考えたんじゃよ。」


 そう言うとミルネバは淡々と話し出した。





 私のドラ息子がここに飛ばされてきたのは、丁度五年前のことじゃ。

 その少し前に、中央でへまを踏んでここの統治を任されたのじゃ。所謂左遷じゃ。

 あやつはその事がきっかけで変わってしもうた。

 左遷と言っても、この国の三大都市の一つの統治貴族になったのじゃ。収入は中央で細々とやっていた時の三倍に跳ね上がった。

 あろう事かあのドラ息子は、その事に味を占め毎晩、毎晩宴を開いたんじゃ。

 毎晩、女、酒、女、女、女、酒のどんちゃん騒ぎ、家族を顧みる事もなくなってしもうた。


 そして、さらなる悲劇が起こったんじゃ。

 丁度一年前の事じゃ、あのドラ息子はとうとう正気を失いおって、あろう事か自分の女房を手に掛けたのじゃ。

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