表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レイと魔法と奇妙な日常  作者: 沖田 了
第二章 イーストテッド篇 ハル救出作戦
52/66

第五十話 解き放たれる白き光

 ライミズ王国イーストテッド市のライムベル親兵基地で戦闘が繰り広げられている。この戦闘の火蓋が切られてから、一体どれほどの時間がたったか。

 それが分からなくなるほど、二人の闘いは長引いていた。


 レイがダクトを放つと、セリエーヌはそれをかわして切りかかる。レイはメイルで逃げるか、プロウの盾でその攻撃を防いだ。

 お互いに息つく暇なく攻撃を仕掛け、また相手の攻撃を防いだ。


 親兵達は、二人が衝突する度にざわめいた。だが、その親兵の中にセリエーヌを心配しているものはいない。

 別に、セリエーヌが部下から慕われていない、と言いたいわけではない。確かにセリエーヌは、部下を大切にしない。だが、その絶対的な強さに部下達は憧れ、尊敬していた。

 なら何故心配しないのか?

 それは、セリエーヌの信条に関係する。


 真の強者は勝てない相手には挑まない


 それは、セリエーヌの信条であり座右の銘であり、生き様だ。

 そのセリエーヌが自ら望んで闘いを仕掛けたのだ。なら負ける筈が無い。

 それが周りを取りは囲む親兵達共通の考えだった。

 そして戦況も、その想像通りに進んでいた。



 それは、レイの何回目の攻撃だったか。お互いに相当な回数攻撃を仕掛けていたので、それを数えることは出来なかった。

 その時も、レイはダクトをセリエーヌに放っていた。単調な攻撃だが、レイが使える魔法の中で最も攻撃力が強いのがダクトだった。

 しかしレイの放ったダクトは、セリエーヌの前方の地面に当たった。


「どうした、精度が落ちているぞ。

 そんな攻撃が私に届くと思ったら、大間違いだぞ。」


 セリエーヌはそう叫ぶと、レイのダクトが削った地面の穴を飛び越えレイに斬りかかった。


「メイル」


 セリエーヌの剣が目の前まで迫り、避けることが出来ないと判断したレイは、メイルを使ってセリエーヌの後ろへ回り込もうとした。

 だが、出来なかった。

 セリエーヌの剣がレイの左肩から右の腰にかけて大きく振り下ろされた。

 一拍遅れてレイの体から血飛沫が吹き上がった。

 その血は、セリエーヌの顔へ大量に飛び、顔の半分を真っ赤にした。


「うそっ……

 どうして……」


 レイは右手に握る杖を見つめながら、ゆっくりと倒れた。

 決闘の結末としては、実に呆気ないものだった。


「やはり貴様は、実戦経験が乏しすぎる。

 魔力が底をついたのに気付かずに敗れた魔法使いなど、そうは居まい。

 確かに貴様は強くなった。だが、傲りが過ぎる。

 私は、このイーストテッドの親兵の長だ。この国の三大都市の一つ、その基地のトップなのだ。

 つまり、全ライムベル親兵のNo.3と言うことだ。

 あと五年もしたら、或いは倒れていたのは私かもしれない。貴様にはそれほどの素質があった。

 残念で仕方がないよ。」


 そう言って、セリエーヌは剣を振り上げた。


「とどめだ。

 この私とほぼ対等に渡り合った貴様に敬意を表する。

 天晴れ!」


 セリエーヌの剣は、レイの首目掛けて振り下ろされた。

 レイはピクリとも動かない。意識を失っているのか、それとももう既に……。

 しかし、そんな事は関係ない、セリエーヌの剣が振り下ろされれば、レイの"生"に望はなくなる。

 セリエーヌの剣は、地面を削りながらレイの首へと向かっていった。


 ………が、レイの首が斬り裂かれる事はなかった。

 セリエーヌの剣が、レイの首と紙一枚あるかないかという距離で止まったのだ。まるでレイが見えない鎧でも着ているかのように。


「そんな馬鹿な。これではまるで……。」


 セリエーヌは狼狽した声で呟いた。

 先程までは何も見えなかったレイ首から、白い光が溢れ出し輝いている。

 それは、レイのダクトの光、セリエーヌの剣が纏う光と同じ光だった。


「やはり、現れてしまったか。

 初めて合ったときから不思議だったんじゃ。

 魔法使いの力と、勇者の力、その両方が一人の少年から発せられていたんじゃからな。」


 背中から発せられたその言葉に、セリエーヌはあわてて振り返った。

 周りを取り囲む親兵達は、またどよめいた。

 さっきまで、レイとセリエーヌの二人しか居なかった円の中に、一人の老婆がどこらかともなく現れたからだ。


「貴様は、魔法騎士隊総帥ペンズ・ミルネバ!」


 その老婆の姿を目で捕らえたセリエーヌは、驚きの声を上げた。

 セリエーヌの口から発せられた名に、親兵達はまたもざわめく。

 だが、当の本人である老婆は小さく顔の前で手を振った。


「"元"が抜けとるぞセリエーヌ。

 私はもうそんな大それた名の役職には就いておらんよ。

 今はしがない街の仲介屋さんさ。」


 そう言って笑う老婆とは対称的に、セリエーヌは忌々しそうに眉に皺を寄せていた。

 その間にも、レイから発せられる光は増えていた。初めは首だけだったその光は、既に体全体を包むものになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ