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レイと魔法と奇妙な日常  作者: 沖田 了
第二章 イーストテッド篇 ハル救出作戦
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第四十二話 SECONDミッション

 ライムベル親兵の基地は、騒然としていた。白昼の奇襲に、屈強な男達が武器も持たずに本部から走り出ていた。

 レイ達が一階を集中的に攻撃したため、二階以上にいる親兵は逃げ出すこともできていない。

 なんとか逃げ出した五百名の親兵達が、本部の下で呆然としている。

 そのため、彼らの後ろに立っている二つの影には全く気が付いていない。



「予想以上にうまく言ってるな。」


 声音を抑えた声で、そう言ったのはミクルだった。

 二人とも見つかりにくいように体制を低くしている。


「うん、それじゃあ始めようか。

 囮なんて本当に大丈夫なのか?」


 レイも、ミクル同様抑えた声で聞いた。


「大丈夫だって、ミクル様をなめるなよ!」


 心配そうに訊ねたレイに、ミクルはドンと胸を叩いてそう言った。


「それよりおめぇも気を付けろよ。分かってるだろうけど、女の子のハルちゃんが収容されてるのは、一番右の建物だからな!忘れるなよ。」


「分かってるよ。お婆さんの作戦もちゃんと覚えてるから。

 それじゃあハルが見つかったら合図するから。しくじるなよ。」


「それはこっちのセリフだぜ。まぁお互いに頑張ろうぜ。」


 二人はお互いに心配し合って、二手に分かれた。

 レイは三つある監獄の内、一番右側の建物へ、ミクルは親兵に見つからないように本部の裏側へと回った。

 これらは全てお婆さんの作戦によるものだった。




 作戦②救出係りと囮に分かれろ!

 お婆さん曰わく、


「陽動が効果的に働けば、親兵達が慌てふためいて侵入なんて朝飯前だろうね。

 ただ、相手をなめちゃダメだよ。何てったって相手は戦闘のプロだ。すぐに侵入者がいることに気付くだろうね。

 そこで、お前達は二手に分かれるんだ。

 ハルちゃんの救出係りと、囮にね。

 ハルちゃんが、ライムベル親兵の基地に捕らえられてるとしたら、多分一番右側の監獄にいる。あそこは、女の犯罪者専用の監獄だからね。

 救出係りは、一番右側の監獄へ向かいハルちゃんを救出するんだ。

 そして囮は、ハルちゃんを救出する間、精々目立って親兵の目を引きつけるんだね。

 役割は、ミクルが囮でレイが救出係りでいいね?ミクルは、ハルちゃんの顔を知らないからね。

 いいかい?この作戦はどれだけ早くハルちゃんを見つけられるかに掛かってる。つまり、レイが頑張らないといけないんだよ。

 ハルちゃんは救出出来たけど、ミクルが捕まりました。じゃ話にならないからね。

 分かったかい?お前さんがしっかりしなきゃいけないんだよ。

 黒魔煙を初めて見た時みたいに慌てふためいてちゃダメなんだよ。

 大体お前さんはちょっとしたことでいちいちリアクションが………(割愛)。」


 だ、そうだ。




 確かにこの作戦②は、今回の救出作戦の中で一番重要だ。だけど、だからといって、これほど念押しされるのも、信用されていないようで心外だった。


 レイは、ミクルと分かれるとすぐに、ハルが捕らえられているであろう監獄に向かった。

 女犯罪者専用と言っても、建物の造りはレイが捕まっていた監獄と同じようだ。

 半分以上が地下に埋まった監獄と、一つだけ地上に突き出た、親兵達の休憩部屋兼入り口がある。

 レイは、足音をたてないように入り口の扉まで走っていくと、ドアノブに手を掛けた。その時、レイの脳裏に昨日の情景が浮かんだ。


(そういえば、昨日監獄から出ようとした時、スキンヘッドの親兵と鉢合わせしたんだっけ……)


 中と外との違いはあるが、レイにとって監獄の扉に良い印象はなかった。


(お願いだから誰もいないで下さいよ……)


 レイはそう願いながら、恐る恐る扉を開けた。親兵の一人くらい、レイにとって敵ではないが、無駄な騒ぎを起こして作戦に支障が出るのは避けたかった。

 レイの願いが通じたのか、幸い部屋の中には誰もいなかった。

 レイはホッと胸をなで下ろし、階段を急いで下っていった。

 しかしその時、人が居ないと安心仕切っていたレイの目に、赤いものが映った。それは紛れもなく、ライムベル親兵のあの制服だった。


「うっ………。」


 あまりの驚きにレイは、少し声を漏らしてしまった。


(迂闊だった、囚人を見張るなら普通地下にいるよな……)


 遅めの後悔をしながら、レイは親兵に気付かれないように息を押さえた。

 心臓が痛いほどに脈打っているので、息を押さえるのは至難の業だ。しかしその後、レイの心拍数をさらに跳ね上げる出来事が起こった。


「お、交代か?

 いつもは休憩時間ギリギリまで休んでるくせに、今日はえらく早いな。なにか良いことでもあったのか?」


 なんと、階段の下にいる親兵が話しかけてきたのだった。

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