第三十六話 修行は大変
最近話しが多少迷走しています。
第二章の結末は決まっているんですが、それまでの道のりがまとまっていません。
読みにくい箇所や、訳わかんないって所があれば報告お願いします。
遠くでも、近くでもひっきりなしに猛獣が叫び声を上げている。
「どうしよう…。」
レイには不安しかなかった。
それでも、今のレイに出来ることはただ一つだ。
(早くこの修行終わらせて、強くなって、ハルを助けないとな。)
ここまでくるとレイも流石に吹っ切れていた。開き直ったという方が正確だろうか。とにかくやる気はでていた。
「とりあえず武器になりそうなものはないかな。」
地面をみると、手頃な大きさの石が四、五個ほと転がっていた。それ以外にこれといったものは見当たらない。
「仕方ないな。」
レイはその石ころをポケットに突っ込むと体を起こした。
(とりあえずこっちに行ってみるか。)
レイが向かうと決めた方向は先ほどミクルが走っていった方だった。
そこには道がない。ミクルが通った後だけ枝が折れたり、草が踏みつけられてへしゃげたりしている。レイはその後をなぞるように歩いていった。ミクルが残した形跡を見失わないようにそっと歩いていった。
そうすればいつかは追いつくことができるだろう…。
しかし、レイの浅はかな考えは脆く崩れる事となった。
行けども行けども、歩けども歩けども、ミクルの気配は全くないのだ。ミクルが折っていった枝の跡もとっくの昔に見失い、レイはあてもなくジャングルを歩いているのだった。
(くそ、なんなんだよ。なにが修行だよ。こんな事が考えて行動するってことなのか?
お婆さんのことを信じるんじゃなかった!)
レイの心はどんどん卑屈に、どんどんネガティブになっていった。それもそのはず、なんとこの修行を始めて、既に10時間が経過していた。時計を持っていないレイにとっては倍以上に感じるだろう。しかし、不思議と空腹にはならなかった。体も、歩き疲れてもおかしくないのにそんな兆しは全くない。
しかし、延々と続くジャングルに嫌気が差していたレイは、その事に気付かなかった。
(そういえば。)
レイはある違和感を覚えて、立ち止まった。レイは今まで、ただひたすらに歩き続けてきた。ひたすらに、歩き、続けてきた。そう続けてきたのだ。一度も立ち止まっていない。それが意味すること、それは、レイは一度も猛獣に遭遇していないのだ。
(おかしい。なんでなんだ。)
そんな風に考えている間も、猛獣の声はレイの耳に届いている。
しかし、その姿がレイの目に写ることはなかった。
もちろんジャングルに入ったからといって、必ずしも猛獣に遭遇するわけではない。しかし、ここは本物のジャングルではない。ミクルのお婆さんの家の一室だ。
この部屋はマジックアイテムで作られた空間であって、修行の為に作られた空間だ。
つまり、普通よりも危険に作られているはずだ。
それに、ひっきりなしに聞こえるこの叫び声。すぐ目と鼻の先にいてもおかしくないようなくらい近くから声が聞こえることだってある。
それなのに、レイは猛獣どころか、蛇や虫さえも見ていない。
明らかにおかしな状況だった。
(お婆さんはここがマジックアイテムの中だとは言わなかった。この部屋がマジックアイテムだって。)
レイは当たりを見回した。
代わり映えしない風景があった。本当にあれから一歩も移動していないのではと思うほど代わり映えしない。
「目で探しても見つからない、もっとすごい力…。」
レイは、お婆さんが別れ際に言った言葉を反芻した。
(僕にあるすごい力っていえば魔法しかないよな。)
しかし、今のレイに魔法は使えない。魔法を使うための杖は、お婆さんに二つにされレイの手元にはない。
(くそっ、すごい力ってなんだよ。)
ここに猛獣がいない以上、肉体を鍛えると言っていたお婆さんの言葉はどうも怪しい。
お婆さんの狙いはなんなのか、レイには分からなくなっていた。
(目で探すなってことだよな)
レイに分かるのはそれだけなのでとりあえず目を閉じてみた。
しかし、なにも変わらない。
(あの箱はどこだ、あの箱はどこだ、あの箱はどこだ、あの箱はどこだ、あの箱はどこだ…)
レイは強く"思った"。
ミクルが持って行ったあの箱を探そうと心の中で強く念じたのだった。
すると、目を閉じて真っ暗になったレイの視界に映るものがあった。
まるで、昨日見た夢をもう一度見ているような光景だった。
レイの目に映ったもの、それは小さな光だった。それは、だんだんと大きくなりやがてレイの視界全てを覆い隠した……。
「やっと起きたかい。案外時間がかかったね。」
レイが目を開けた先にいたのは、眠たげな目をうっすらと開けたお婆さんだった。
レイはどういう訳かベットで横になっていた。
「修行はこれにて終了だよ。」
訳が分かっていないレイにお婆さんは、ニヤっと笑ってそう言った。




