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レイと魔法と奇妙な日常  作者: 沖田 了
第二章 イーストテッド篇 ハル救出作戦
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第三十一話 目が覚めて

 目が覚めた。

 レイはあのガラクタだらけの部屋のベットに横になっていた。

(なんだったんだあれは…?)

 レイは夢の内容をはっきりと覚えていた。まるで実際に精神の世界へ行ってきたかのように。

 しかし、精神の世界などどこにもないし、悪魔もいない。


「アリス…。」


 レイは夢で出会った少女の名前を口にした。悪魔で魔王でさまよえる魂である彼女の名前は初めて聞いたはずだ、どこか懐かしい感じがした。


 レイがそんな風に夢の内容を思い返していると、突然ドアをノックする音が聞こえた。そして、レイの返事を待つことなく、そのドアは開いた。


「おはようレイ、よく眠れたか?」


 そう言って部屋に入ってきたのはミクルだった。なんだかとても久し振りな気がする。実際は別れて数時間しか経っていないのだが。


「おはようミクル。

 できれば僕が返事するまで待ってて欲しかったけどね。」


 レイは無遠慮なミクルに文句を言いながらベットから這い出た。

 変な夢を見てはいたが、体の疲れがすっきりととれ魔力も回復しているので、よく眠れていたようだ。


「僕が寝てからどけくらい経ったんだ?」


「う~ん三時間ちょっとかな。

 もともと婆ちゃんのホットミルク飲んだら一晩の徹夜くらい何でもないんだけどな。

 レイの場合は魔力が回復しないといけなかったからなぁ。」


 二人は話しながら廊下に出てキッチンがある部屋へ歩いている。


「その事なんだけどさ、ミクルのお婆さんって僕が魔法使いだって分かってたんだよ?

 別にミクルが話したわけでもないよな。」


「あ~、そう言えば昨日はバタバタしてて説明出来てなかったな。

 俺の婆ちゃんはマジックアイテムの仲介人なんだよ。だから魔力とかの探知能力はそこそこあるんだよ。」


「マジックアイテムの仲介人?

 なんだよそれ。」


「詳しいことは朝飯食いながら話すよ。

 キッチンにはマジックアイテムもあるし、百聞は一見にしかずって奴だよ。」


 ミクルはそういうとキッチンのドアを開けた。


「な、なんだよこれ。」


 そのキッチンを見てレイがすっときょんな声をあげた。

 しかし、それもしかたがないだろう。なぜから、キッチンで変な生き物が動き回っていたのだ。いや、生き物ではないだろう。それらは人形やぬいぐるみなどだ。そんなものが部屋中を歩き回っていたら誰だって驚くだろう。


「あら起きたのかい?

 もう少し待ってるんだね。すぐ朝ご飯を作るから。」


 レイを見てそう言ったお婆さんの横を八本足の蜘蛛のようなものがカタカタと歩いていった。

 レイはその様子を呆けたように見つめていた。キッチンにはそのような奇妙な人形達が至る所で歩き回っている。


「レイ、やっぱりおめぇマジックアイテム見たことねぇのか。」


 ミクルはどこか納得したように言った。


「うん…。僕の師匠はマジックアイテムを使わない人だったから。

 それにしても、これがマジックアイテムなのか。僕のイメージと全然違うよ。

 マジックアイテムって言ったら空飛ぶ箒とか絨毯とか、魔神のランプとか透明マントとか、とにかくこんなヘンテコな物だとは思ってなかったよ。」


「あ、違う違う、それ自体がマジックアイテムって訳じゃねぇ。

 あれは仮の姿だぜ。」


「仮の姿??」


 ますます意味が分からなくなった。

 ミクルは、目が点になりかけているレイを見ると、う~んと少し首をかしげてお婆さんに向き直った。


「婆ちゃん今仲介できる?」


「今かい?まぁ出来ないことはないけどねぇ。

 それじゃあコイツのを持っておいで。」


 お婆さんはそう言うと足下にいた八本足の人形の頭を掴んだ。人形は慌てたように足をバタつかせたがお婆さんはそんなことお構いなしだ。


「分かった、ソレだね。」


 ミクルはそう言うとまた廊下へ戻った。


「ったくあの子は…。

 レイあの子がかえって来るまでにご飯食べなさい。」


 お婆さんは目玉焼きとソーセージがのった皿とパンを一つをレイに出した。

 昨晩初めて会ったばかりなのに随分近しい口調だ。ミクルに話しているのと何ら変わりがない。


「あ、はい頂きます。」


 こちらはまだ固さが残っている。

 レイが椅子に座ると一匹(数え方が匹なのかは定かではないが)のぬいぐるみが近づいてきた。


「ブタ?」


 そのぬいぐるみは二足歩行のブタのような格好だった。

(なんなんだ?)

 ブタのぬいぐるみはレイをじっと見つめている。それにつられてレイもブタを見た。


「じっとしてないで受け取りなよ。せっかく持ってきてくれてるんだからさ。」


 そんなレイを見かねてお婆さんが声をかけた。


「持ってきてくれた?」


 レイは首をかしげてもう一度ブタのぬいぐるみを見た。すると「あっ」という声を上げた。

 さっきは気付かなかったが、ブタのぬいぐるみはその小さな手にフォークとナイフを握りしめていたのだ。

 ブタはそれをレイに差し出した。


「あ、ありがとう。」


 レイがぎこちなくお礼をすると、ブタもペコリと頭を小さく下げて下がった。


 レイはブタに渡してもらったフォークとナイフで朝食を食べた。慣れない道具だったが、なんとか食べれた。

 そう言えばレイにとって久し振りの食事だった。目玉焼きの黄身は少し堅かった。

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