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レイと魔法と奇妙な日常  作者: 沖田 了
第二章 イーストテッド篇 ハル救出作戦
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第二十九話 夢の続き

「これは名刺と呼ばれるものです。まぁ自己紹介を簡単にするためのものですね。

 異なる世界では一般的に用いられていますよ。」


「ことなるせかい?」


「あ、それは…。」


 レイの言葉を聞いて、アリスがしまったという顔になって言った。


「今は説明出来ないんです。すいません。

 それより、他に気になることがありますよね。その質問にはお答えしますよ」


 言葉を濁した感満載なアリスだが、確かにレイには気になることがあった。


「そうだ聞きたいことは山ほどあるよ。魔王ってなんだ、スラヴェルってなんだ、君は一体何者なんだ?。」


「……。さっき答えたはずの質問が混じっている気がするのですが、まぁいいでしょうお答えします。

 ですがその前に。」


 アリスはそう言うと右手を鳴らした。

 すると、先ほどまでアリスの後ろにいた大量の悪魔達が消え、変わりに柔らかそうな椅子が現れた。


「立ち話もなんですから座りましょうか。

 それと、落ち着いて話せないので手下のものは下がらせました。」


「き、君は魔法が使えるのか?悪魔なのに。」


 突如の出来事にレイはうろたえて言った。今目の前でアリスが使ったのはどう見ても魔法だった。


「ああ、そうですねぇまずはそこから説明しなければいけませんね。」


 アリスはそう言うと、おもむろに懐からまた紙を取り出した。今度のものは先ほどの名刺よりも大きいものだった。


「すいません。私あがり症なので読みながら説明させていただきます。どうぞかけてください。」


 どうやらカンペのようだ。アリスはそう言うとレイにいすを勧めた。


「それはいいんだけど。なんで君はそんなに低姿勢なんだよ。

 見たところ僕と君はそれほど歳が離れているようには見えないけど。それに、君ってお姫様なんだよね。とてもそんな風には見えないんだけど。」


 レイは勧められたら椅子に座りながらこう訊ねた。ずっと敬語で話してくるアリスを不思議に思っていたからだ。ちなみに椅子座り心地は最高だ。



「そんな、エルバム様に敬語を使うのは当然のことですよ。」


「エルバム様?僕の名前はレイ・エルバレムだけど…。」


「そうじゃなくてですね。

 はぁ、説明する事が多すぎて困ります。」


 アリスはそう言うとまた指を鳴らした。

 するとレイが驚いたように自分の口に手を当てた。


「無礼をお許しください。しかしエルバム様の質問にいちいち答えていると埒が開きませんので、少しの間黙っていてもらいます。」


 アリスはそう言うと手元の紙に目を落とした。

 レイは何か言いたそうなのだが、口が開かずくぐもった音が出るだけだった。


「え~っと、何から説明すれば良かったんでしたっけ?」


 そんなレイの様子が目に入っていないかのごとく、アリスはレイを無視して手元の紙を読んでいる。


「それじゃあまず、私達の事について説明しますね、ってきゃ。」


 レイを無視して話しを進めていくアリスに腹が立ったのか、レイはアリスの頭を小突いた。

 そのためアリスが突然、驚いたような声を上げたのだった。


「もう、なんで何度も私の話しを邪魔するんですか。

 なんですか?言いたい事があるなら言ってくださいよ。そんな身振りじゃ分かりませんよ。」


 アリスは、不器用な踊りでも踊っているかのようなレイに怒ったように言った。


(アリスのやつ、今さっき僕に魔法かけたこと忘れてる?!)


 レイは必死に伝えようとジェスチャーを続けた。

 するとアリスがはっしたような表情になって、左を鳴らした。


「どうもすいません。そう言えば話せなかったんでしたね。私うっかりしてましたてへ。」


「うっかりしてたじゃないよ。

 普通こんな短時間で忘れないだろ。アリスの頭の中にはブラックホールか何かがあって、記憶を全部吸われてるとでも言うのか。」


「そんな、いくら私でも頭の中にブラックホールがあったら気付きますよ。」


「でもそうとしか考えられないよ。」


 レイは怒っているのだが、アリスには全然こたえていないようだ。


「まぁいいよ。

 アリスが説明してるときは極力口を挟まないようにするから、魔法で喋れなくするのは勘弁してくれ。」


 結局折れたのはレイだった。

 これ以上話すと本当に話が先に進まないと確信したからだ。


「そうですか、それじゃお願いしますね。」


 それ言ってアリスはまた紙に目を落とした。

 どうやら本当に忘れっぽいようだ。


「あ~、もう。めんどくさい。

 エルバム様が一番聞きたいことから聞いてください。いちいち考えて説明するのはめんどくさいです。」


 めんどくさがりでもあるようだ。

 しかし、レイに敬語を使っているわりに尊敬しているのかどうか怪しい。


「投げやりだな、そんなのでいいのか?」


 アリスの態度が気になり、レイは驚いたように訊ねた。


「いいんですよ。どうせ一夜じゃ全部説明するのは無理でしょうし。」


「そうかい、それじゃあ聞かせてもらうけど…。」


 と、レイはここで一旦言葉を止めた。

 改めて考えてみると、気になることが多すぎて何から聞くか迷ってしまったのだ。

 精神の世界のこと、異なる世界のこと、アリスのこと、魔王のこと、エルバム様のこと、悪魔のこと、などなど…。

 さっきから頭には多くの"?"が次々に浮かんでいた。

 正直、アリスに怒ったせいでよく考えれていない。

 しかし、疑問は一つづつ解決していかなければならない。レイはゆっくりと口を開いた。


「"ココ"についてもう少し詳しく教えてくれるかな。」


「やっぱりそこが気になるんですね。

 わかりました、それでは今日は、ここがどこなのかをお話しましょう。」


 そう言うとアリスは話し出した。

(この段階まで来るだけで疲れた…。)

 レイは椅子に座り直しながらそんなことを思っていた。

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