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レイと魔法と奇妙な日常  作者: 沖田 了
第二章 イーストテッド篇 ハル救出作戦
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第二十話 脱獄計画!

「まずは、お互いに何ができるか確認しておかねぇとな。」


 ミクルはそう言うと毛布の下に手を入れて何かを取り出し。


「俺に出来るのはこれだ。」


「なんた?輪ゴム?」


 そう、ミクルが取り出したのは大量の輪ゴムだった。

 ミクルが輪ゴムで出来ることとは一体なんだ。


「それで何するんだ?物を縛るの?」


「ふっふふふ、普通の輪ゴムの使い方はそうだよな。でも俺の使い方は違う。ここでは見せれないけどこいつを使った俺は強いぜ。」


 ミクルは自信満々だ。

 その自信が本物であることを祈る。

 重要な場面で「俺の最終兵器はゴム鉄砲だ。」なんて言い出さないだろうか。いや、ミクルがあれだけ自信を持っているのだ、何か思いも寄らないすごいことをやってくれるだろう。


「分かった期待しておくよ。」


「へへへ、期待しててくれよ。

 それで、おめぇは何ができるんだ。」


 ミクルは大量の輪ゴムを器用にしまうとレイを見た。


「僕は、一応魔法使いなんだけど…。」


「え?おめぇ魔法使いだったのか。

 とてもそうは見えないけどな。」


 余計なお世話だ。

 ミクルはレイの体をゆっくりと見回しそう言った。


「魔法使いならさここから抜け出すのも訳ねぇんじゃないかよ。

 初めっから言ってくれりゃあ良かったのに。」


「それがそうもいかないんだ。」


 レイはそう言って左胸に手を当てた。いつもならそこにあるはずの杖の感触が無かったのだ。


「ここに入れられる前に杖を取り上げられたみたいなんだ。

 杖が無いことにはどうしようもないよ。」


「ちぇ、期待させておいてそれかよ。魔法使いってのは杖が無いとなにも出来ないのか?」


「分からない、杖なしで魔法を使うとどうなるかなんて教わってないし、やったこともないから。」


 レイは、うなだれてそう言った。


「じゃあ、おめぇは何が出来るんだ?」


「少しは戦えると思うけど、魔法が使えないとどれくらい戦えるか、分からないな。」


「そうか、まぁ初めからそんなに期待してなかったからな。気にするな。」


 その言い方は少しヒドいと思ったが言い返せなかった。

 魔法を使えないとこんなにも弱く心細くなるんだと、レイは初めて知った。


「じゃあ脱獄の計画たてるか。」


「それはいいんだけど、まずどうやってこの牢屋から抜け出すんだ。」


「それも全部まとめて説明するから、慌てるなって。」


 そう言うと、ミクルは大切な宝物を披露するのように計画を話し出した。




 まず、この忌々しい牢から抜け出す方法だ。

 まず、この牢について説明しておく。この牢は半分以上が地下に埋まってるんだ。

 あそこにある光取りの窓がちょうど地面すれすれにある。だから、外側の壁を壊して逃げることは出来ねぇんだ。

 つまりだ、この牢屋から抜け出すには、あの鉄の扉を開けなきゃならねぇんだ。

 この牢には、日に数回扉が開く瞬間がある。三回の食事を運ぶときと、週一回のシャワーの時だ。それ以外で扉が開くことはほぼない。

 それで、俺たちが狙うのは、夕食が運ばれてきたときだ。

 普通は給仕婦と親兵の二人がやってくる。その二人さえ何とかすればこの牢からは脱出できる。

 後は、この建物を出来るだけ早く抜け出して、全速力で走る。



 そこまで一気に話すとミクルは、どうだと言いたいような顔をしてレイを見た。


「その計画って、結局はこの牢から抜け出す以外未定ってことだろ。

 そんなのでよく脱獄なんか考えたね。」


 レイはあきれてしまっていた。

 確かに夜なら警備は薄いだろうが、それでも出し抜くのは容易ではないだろう。

 第一、この建物の構造がよく分からない以上、下手に動けば簡単に捕まってしまう。


「うるせぇな、時間がないんだから仕方ねぇだろ。

 俺はどうしても明日までに脱獄しないといけねぇんだよ。」


「明日だって?ずいぶん急な話だな。

 それなら今日脱獄しないとダメなんじゃないか。」


 レイは驚いて言った。

 てっきり、もう少し様子を探ってから脱獄するものだと思っていたのだ。


「ああ、明日までに脱獄する。

 でなきゃ大変なことになっちまう。」


 ミクルは頭を抱えてしまった。


「なぁ頼むよ、俺と一緒に脱獄してくれよ。

 仲間がいれば成功する可能性もあがるんだよ。」


 ミクルはレイにすがりつくように、頼んだ。

 心なしか、ミクルの髪の毛がオレンジ色に変わっているような気がする。

(困ったら髪の毛の色が変わるのか?変な奴だな)


「おんなじ部屋になったよしみで助けてくれよ。」


 なんだか、はじめに会ったときとは印象が違っていた。それほど困っているということなんだろう。


「分かったよ、どうせ断っても君一人で脱獄しようとするだろうからな。

 同じ部屋になった時点で僕に拒否権はなかったよ。」


「ほんとにほんとう?ありがとう、レイ。

 絶対に抜け出そうね。」


 言葉遣いが決定的におかしな気がしたが、喜んではしゃぐミクルを抑えるのに必死で、レイは深く考えなかった。

 今大切なことはそんなことじゃない。


 大切なのは、今日の夕食が運ばれてきたときに、脱獄するということだ。


 だが、この脱獄が後にどんな影響を及ぼすのか、今のレイには知るよしもなかった。

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