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レイと魔法と奇妙な日常  作者: 沖田 了
第1章 はじまり
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第十三話 旅立ちの決意

 夢を見ていた。

 ショートカットの可愛らしい女性が、僕の手を引っ張って歩いている。

 どこかの花畑のようだ。

 ピンク、黄色、赤、白、色とりどりの花が一面に咲いている。

 すると、レイの手を引いていた女性がいきなり止まって振り返った。

 そして子供のような笑顔で僕に話してきた。



「レイちゃん、レイちゃん早く起きて。」



 レイが目を開けるとそこには、自分に馬乗りしているハルの姿があった。


「レイちゃんって呼ぶな。それから、そこをどいてくれないか、起き上がろうにも起き上がれないんだが。」


 レイは眠りを邪魔され、とても不機嫌そうだ。


「あ、ごめん気付かなかったよ。」


 ハルはレイの言葉に素直に従って、レイの上から降りベットに腰掛けた。


「でも、ホントに大変なことがあったのこれ見て。」


 そう言ってハルが渡したのは新聞だった。それは、つい最近レイにとってショッキングな記事が載っていたライムズ通信だった。

 あの時と同じように、新聞の一面にその記事が載っていた。



[国王軍ノミシアで惨敗]

〈先日アステカによる反乱に対し王国議会が派遣した約5万人の国王軍が破れていたことが分かった。戦死者は2万人を越え、この反乱による死者は3万人に達した。

 この反乱による怪我人は8万人を越えている。

 今回の戦闘ではアステカにも被害がでている模様。しかし、戦闘後ノミシア市の周りに強力なプロウ(防御魔法)の結界がかけられたらため中の様子が分からなくなっている。

 アステカがノミシア市に進行して以来初めての戦闘だったが国王軍は反乱を止めることが出来なかった。

 王国議会は、今回の失敗を受け早急に次の部隊を派遣するとしている。部隊の規模は未定。〉


 ここまで読んでレイは目を上げた。

 ハルが困ったような心配そうな顔でレイを見ていた。


「確かにこれはマズいな。」


「レイちゃんどうするの。」


 ハルはなおも心配そうな顔をしている。


「どうやらのんびりしている訳にはいかないな。

 ハル、今から旅の準備をしろ。」


 レイはそう言うとベットから降りカバンを取り出した。


「じゃあ出発するんだね、レイちゃん。」


「あぁ、一刻も早く行かないと、ジンが取り返しのつかないこと始めそうだ。」


 レイはそう言いながらどんどん準備を進めていく。


「ハルも早く準備しろ、朝飯食べたら出発するぞ。」


「うん、分かった。」


 そう言うと、ハルは急いでベットから立ち上がり部屋から出て行った。


 レイはパジャマからコートに着替えながら、ベットに投げ出された新聞を眺めた。


 さっきの記事の横には、現国王とその娘の王女様の写真が載っていた。

 その写真の下の小見出しには、(遂に全面戦争か??!)と書かれている。

 まだ情報規制がされていないところをみると王国議会はこの反乱をすぐ押さえられる気でいるのだろう。


「そんな風に、うまく行けば良いんだけどな。」


 レイは一人で呟いた。



 レイが支度を終え廊下に出るとちょうどハルも廊下に出てきた。

 二人とも黒のコートにショルダーバックを一つ提げた格好をしている。

 二人はお互いを見ても何も言わず歩き出した。

 宿をチェックアウトし、タカネ村のからライムズ市へと続く道に向かって歩きだした。

 徒歩での旅に少しの不安を覚えながら二人は歩いていた。が、どちらもその事を口にする事は無かった。そんな些細な不安など吹き飛ばしてしまうような重大な事件が、今二人のいる国では起こっている。

 二人はその事件を止めるために旅立つのだ。出発する前から弱音を吐くわけにはいかなかった。


 しばらくして、二人はタカネ村の端の丘まで来ていた。この丘を越えるとタカネ村から出て、長い長い山道が待っている。

 レイとハルは、丘の上で一度立ち止まり振り返った。

 一週間程しか滞在していない村だが、どことなく今は無き故郷のイサカ村と似ている。

 ここが二人にとっての旅立ちの地になるのだ。


「それじゃあ行くか。

 辛くて、厳しい旅になると思うけど必ず僕らの目的を達成させよう。」


 レイは遠くを見るような目をしてこう言った。

 すると、ハルもレイが見ているのと同じ方向を見て、


「うん、絶対にジンさんを止めよう。私達の手で。」


 こう言った。ハルの声には今まで無かった力強さが少しだが感じ取れた。


 ハルが言うのを聞いてレイは大きく頷いた。そして、二人はまた進むべき道へと向き直り歩き出した。


 この先の道、二人にとって辛いことが多く待ち受けているだろう。それでも二人は大きな希望のために進まなければならない。

 この国のために、そして人類のために。

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