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リミックスⅠ  作者: E..
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32/33

計画

 それから数日が過ぎ、一向に理美とは仲違いが続いていた。

 いつもゼフォウが間を取り持ってくれたから最終的に程よい距離が取れ、過ごしやすかった。

 まだゼフォウとも仲違いを起こした為、他の女子達からも声を掛けられても自分じゃ対応しきれない。

 これほどゼフォウに助けられたのだと後悔した。

 やはり自分が招いたせだと思い、あまり頼らない様にしていたのだが――。

「流石に頼れよ、凶運野郎」

 ゼフォウは嫌味を言いながらも助けに入る。

 あんな事があってから、イケると思われているのだから、誰かが止めに入らないと終わらない。

「……だって、お前に頼り過ぎたオレが悪いから」

「あーもう‼︎ 俺がセッティングしてやる! このままグダグダグダグダやられてもこっちが嫌だ」

 返って状況を悪化させるのだから、いっそ面と向かって話し合ってもらった方がこちらにとっても都合がいいのだが、当人である冬美也はあまりいい顔をしなかった。

 と言うより出来なかった。

「オレ、あまり考えてなかった」

「今もだろうが」

 こっちの今の気持ちも考えてほしいと言いたかったが、冬美也が言いたかったのは違う。

「管理者はずっと生死を繰り返す。忘れ去られてしまうのは管理者達じゃない、自分達なんだって」

 一体どういう意味だとゼフォウは思ったが、とりあえず聞いてみた。

「お前……だぁからどうしたぁ?」

「この間、一さん達にご飯奢ってくれた時に」

 一瞬で大体の内容が把握できたゼフォウは言う。

「ほう、あの時か、理美ちゃんはその段階じゃないから、まぁおいおいでの流れになったので、今回は1番の問題としてお前に話をふったら、余計拗れたか」

「……はい」

「馬鹿だなぁお前はぁ、そんなんで拗れるって馬鹿じゃねぇ?」

「馬鹿って言うな馬鹿って何度も!」

「いや馬鹿だからそれ、俺らよりも長生きしている連中なら鼻で笑われるレベル」

 何故それを言うのか分からない。

 しかも散々ボコボコに言われ、徐々に本調子へと戻ってくる冬美也は不服だ。

「おい」

 よしよし戻って来たなと頷くゼフォウは自分も本調子に戻っている。

「忘れられたくないならまず大事にしろ。まずは仲直り、俺がセッティングしてやる。後は美空ちゃんをある程度俺が面倒みてやるから、喧嘩すんなよ」

 さっさと仲直りしてもらわないと、またうじうじの面倒くさい冬美也は本当にごめんだ。

「分かっている、でも、あれから数日会えるタイミングが減ってるんだが」

「大丈夫だ問題ない、こう見えて理美ちゃんのスケジュールは本人から聞いてるから」

「なんでお前に話して……そら話すよなぁ」

 また面倒くさい事になりかけてしまった。

「戻ってこい」

 こうしてゼフォウの後押しで冬美也は覚悟と言うより腹を括る。


 一方では——。

「りみりみは仲直りせんの?」

 寮の部屋で2階から覗く桜夜が言う。

 最初こそ驚いたが、いつもやっているのでもう慣れた。

 そして誰の事かと聞いてしまう。

「えっ? 誰に?」

 すぐに桜夜は怒った。

「神崎先輩だろうがぁぁっぁ」

 気まずさが際立って、何とかしないとと感じるも、実のところ忙しいが丁度ピークになってしまい、ほぼほぼ今の現状を蔑ろにしていた。

「あっ……最近話していないからちょっと」

 本音はこのままではダメなのをハッキリと分かっている。

 でも、冬美也が悩んでいるのに結局自分は役に立っていないのが分かってしまった。

 それに美空に対しても正直嫌悪感を感じている。

 だからこそ、全て解決しないといけないと分かっているのに、どうして今、自分は仕事を選んでいるのだろうか。

 そんなのを知らない桜夜が言うと言うか聞いてきた。

「ダメじゃん、てかりみりみ、最近ずっと学校終わったらいつの間にか部活もせんでどっか行くし帰って来る時とそのまま泊まってたりと何してるん?」

 あぁこう言う時の最近は共働きが普通だが、ここでは世のお父さんみたいな言い方になっている自分がいる。

「仕事だよ、でも私居なくても進むんだけどね」

「なら学校を優先」

 桜夜の言う通りではある。

 でも、仕事をしている理由があるのだ。

「一応勉学が苦手なら現場で社会に慣れろがうちの家訓だから」

「どんな家訓よ」

 こっちが知りたい。

「でも、話せば分かるんじゃね? あの先輩だし」

 冬美也なら多分話せば理解はしてくれるが、果たして冬美也の悩みを解決出来るかとなる。

 で、蝶子の話を思い出して項垂れてしまった。

「分かってるけど、あまりねぇ、時が経つのをって訳じゃないけど、当たって砕けるにしても、今砕けたら絶対学校と仕事に力入らなくなるだろうし」

 これは未来が見える訳ではない。

 ただ、そう感じるだけだ。

 この直感の時にやったら多分碌なことにならないのは明白。

 桜夜は言う。

「よくモヤモヤで仕事出来るな」

 それに対しての回答はこうだ。

「やらなきゃいけないと分かっている別の事をしているとモヤモヤって案外分からないから」

「要は現実からの逃避」

「そうとも言う」

 真顔で返すと、桜夜はこのままだと取られるぞと言おうとした時にゼフォウからのloinだ。

「もうりみりみはぁ、どうする——っとフィン先輩からloinだ」

 他の人にloinを送るゼフォウが珍しいなと思っていたら、なんかこっちの話の様だった。

「フィンから?」

「ねぇ、りみりみ、今度の休み」

 でも、いの一番がまさにこの休みに掛かっているのだ。

「ごめん、これが1番の仕事で断定ではないけどそれが決着つけば終わるピークが」

「えぇぇぇ、なんか仕事ばかりの優先してるお父さんみたいになってて、嫌われるぞ娘に」

「へいへい、こんなデカい娘持っていない筈なんですがねぇ」

 結局、仕事を優先した。

 居なくても回るが、最後まで見て覚えろが家のモットーとも言える。

 実際、今それよりも事件に等しい事となっているのは言えなかった。

 

 ——次の日の放課後、理美は兄、颯太が迎えに来ており、今日は部活もせず行ってしまう。

 その間、冬美也と言えば、やっぱり他の女子から絡まれていた。

 すぐ、ゼフォウがそれとなく引き離す。

「はいはーい、ごめんねぇ、いい加減シャッキとしろや!」

 人気のない場所へと移動した後、未だに凹んだままだ。

「オレより、仕事なんかな……?」

 言いたい気持ちも良く分かる。

 だが、現状からして若者でも分かっていた。

「生きる為なら仕事だな」

 そう生きるには愛より金が必要。

 流石に冬美也は突っ込んだ。

「生々しいわ」

 ゼフォウは誰かにloinとやり取りしながら、仲直りさせようとしていた。

「現実受け止めろ、後なんか今度の休み、理美ちゃんには無理矢理にも休み取らせるわ」

「どうやって? この前仕事って姉崎経由で来たんだろ?」

「実は俺も颯太さんのloin連絡先持ってるし」

 いきなり画面を見せられ、驚いてしまう。

 本当に颯太のloinだ。

「ふぁ⁉︎ お前ら仲良かったんか?」

「仕事出会う機会あったから交換した」

 ゼフォウはピースした。

「いや、お前、夜の仕事がメインだろ? なんで⁉︎」

 知っているとしてもそんな仕事してたかと驚く中で、ゼフォウは前に小さいパーティーで挨拶回りの際出会ったようで、それとなく交換に持っていったようだ。

「ん? 今、表の仕事もやってんだよ。そん時は理美ちゃん居なかったから、学院でお世話になってるって話になってその流れ交換した」

「どんな?」

 仕事の内情を教えたら面倒になりかねないので、そこは言わずに話を進める。

「話すの面倒だから言わん。ともかく、今颯太さんに連絡して、事情も説明込みだから理解はしてくれる筈だ」

「……オレの情けない状態を」

「当たり前だろ! お前の間抜け面のまま放置してても良い事ねぇし!」

 振られた腹いせで放置したが、ここまで酷い状態になるとは思っても見なかった。

 冬美也を放置したら碌な事にならないと分かった以上、さっさと仲直りしてもらいたい。

 ただ問題は理美の方だ。

 余計な事を考えていなければ良いのだが……。


「あーまだ喧嘩してるのかよ、お前……」

 車の中、駐車場にて、颯太が呆れていた。

 一体誰がと、理美は思いつつ、顔が歪む。

「別に喧嘩なんかしてない、でも放置したらよくないってのも分かってるけど、あんな風にしたからなんて謝れば良いか分からないだけで」

「はいはい、言い訳は良いから、次の休みはちょっと冬美也と話して来い」

「えっ、でももう」

「コラボメニューも付いてくる景品ももう決まったんだし、後の細かいのはその担当に任せれば良い」

 言いたい事は分かる。

 だが違う。

「そうじゃなくて、誰と連絡したの?」

 誰と連絡を取っているかだ。

「ん? フィン君、お前らがぐっだぐだなの何とかしたいと」

 確か前に挨拶した時、loinを交換した時間なんて無かった。

「いや、なんで知り合いに? あ、あの時?」

「違う違う、お前と関係の無いパーティーの挨拶回りで」

 ゼフォウ、一体どんな仕事やってるんだろうか?

 あの怖い人達だからもっとやばい仕事ばかり受け持ってると思っていた。

「そうなんだ、でも、これ出るって約束反故って良いの?」

 理美からすれば、あまりそれだけはしたくない。

 しかし颯太としてはこれ以上無理して仕事を覚えて実践するより、子供の時間を優先するべきと考えての事だった。

「大丈夫だろ? 俺も目を通す約束してるし、子供なんだから」

「えーなんか気が引ける」

 颯太は言う。

「大丈夫だ問題ない、今日のだって飲食店とゲームバーサーカーのコラボで使う予定のアイテムがちゃんと連動するかチェックだし、本当は無理に連れてこなくても良かったんだが……」

「何?」

「最近、データ吹っ飛んだ事件あって」

 あの時、そういえば言っていたなと思い出す。

「あれだよね、嘉村さんと颯太兄が言っていた何か見ていたデータが次の日ぶっ飛んだって言う」

「そうなんだよ、とりあえず降りるか、もうすぐ時間だ」

 車から降り、会社へと入る時、一瞬何か気配を感じた。

「……?」

 自然と気配のする方へ目を向けるが、車も多く止まっている為、よく分からない。

 颯太が理美の様子に気付く。

「どうした?」

「あっいや、なんか人の気配が」

「ここ、最新ビルで事故なんて起きていないんだが怖い事言わないでくれ」

 怖がりだっけと言おうと思っていたが止めておく事にした。

 ところが、ずっと透明になって理美の頭の上居たメリュウが颯太の意外な反応を見て言った。

「元ヤンが何か言うておる」

「しっ!」

 急に恥ずかしくなった颯太は咳払いして、歩き出す。

「……! さっさと行くぞ」

「でも、颯太兄、帰りここに戻ってくるじゃん」

「いらん事言うな」

 笑いながら話し合うまま、駐車場と連なるビルへと入って行く。

 ゆっくり何かがこちらを見る。

「ちっ」

 舌打ちをしながら、苛立ちを見せるもいつの間にか消えてしまっていた。


 数時間後——。


「ねぇ、なんでトラブってるのよ。帰れなかったんだけど」

 結局簡単なチェックと思っていた筈が、バグ発見により、改善させる為に理美だけ無駄な時間を過ごしてしまった。

 お陰で、電車どころか食事もほぼせず、帰る羽目となる。

 颯太も謝るも実は最近、怪しい事が起きているとの事だ。

「すまん、まさか連動にバグが見つかるとは思っていなかった」

「まぁでも良かったじゃん、颯太兄がいたからすぐ見つけられたんだし」

「最近、多いんだ。なんか消えたデータの件から、意味の分からんバグやデータが移動してたって言う……つか、なんか意図的に感じる」

 理美は笑いながらこんな事を言う。

「もしかしたらさ、データ消した犯人がデータやバグ起こしてたりして」

 実際、そんな奴居たとしても、バレるのも時間の問題だろうと気に求めていなかった。

 颯太からすれば、そんな器用な事をする人間なんてデータベースを見れる権限も含めれば自分だけだ。

「おいおい、止めてくれよ、出来るの多分俺だけだから」

「犯人逮捕」

「おい」

 冗談でやっているので、お互い気にしていない。

 颯太が車のドアノブを触れ、ロックを解除している際、メリュウは言う。

「あの気配した場所の車が無くなっている」

「なら、ただ帰る人がたまたま私達を見てただけじゃん」

「違う、その去った後に血の匂いがある」

「……!?」

「おいか」

「止めとけ、多分もう追い付けない」

「気付いてたなら」

「見えてたとして、追いかけられるか? 車だったら、颯太を振り切って」

「それもそうだね、見えてたとしてカーチェイスされても正直、酔うだけだし」

「どうした? 乗らないのか?」

「乗るよ、もし、某探偵みたいな犯人を車で追いかけるってなったらどうする?」

「久々にぶっ放して、警察をも撒いて追いかけてやるけど?」

 流石、元暴走族、何度も警察から撒いた実力者である。

「危ないなぁ」

 事故りはしないが、周りに危害加わりそうなので絶対にやめておこう。

「仕方がないから、またモッティで良いか?」

「うん、それでドライブスルーだねぇ」

「それしかないだろう」

 今本当は食べられる程の食欲は無かった。

 でも、こうでもしないと疑われそうだったからだ。


 同時期、夜、寮室内。

 ずっとloinを見ていたゼフォウが、颯太からだろう返事をもらっていた。

「——と言う事で、颯太さんから無事、理美ちゃんを休ませる事とあいなりました」

「お、おう」

 想像以上に早いので冬美也はちょっとドン引きしている。

 ゼフォウからすれば、もっと早くやるべきだったと若干後悔めいた事を言い出した。

「てか、もっと早く連絡すれば良かった」

「でも、理美まだ怒ってそうなんだが」

 熱も冷めぬ内に叩くものだろうと言う目で言う。

「お前がそもそも、無神経に美空ちゃんとデートするからだろ? 俺も止めなかったのが悪かったが」

「……デートじゃないし」

 買う手伝いをと言う話だったのでそう思っていただけの、罠に嵌ったカエルの様だ。

「理美ちゃんからはもろデートだろうが……場所とか諸々こっちで決める! 良いな!」

「なんでお前がそこまで」

「面倒くさいから!」

 本当に面倒くさいからこれ以上面倒を起こされる前に決着を付けたかった。


 理美はと言えば、結局休みを貰ったが、どうすればと思っていると、loinが入る。

 

 フィン

[理美ちゃん、今度の休み、空いてるよね?]

 理美

[どっかの誰かさんのお陰で]

 フィン

[それでさぁ、その日、10時に遊び行こう]

 理美

[別に良いけど、冬美也はどうしてるの?]

 フィン

[強制的に参加させます、あなたに拒否権はありません、良いですね]

 理美

[ごめん、やっぱり1人で過ごすわ]

 フィン

[冗談だよ! やめないで!]

 理美

[こっちも冗談だよ。冬美也とゼフォウだけなら良いよ。こっちも1人で行くから、場所教えて]

 フィン

[理美ちゃんありがとねぇ、それじゃ、場所等々は写真で送るから見てね]

 理美

[うん、こちらこそ、それじゃお休みなさい]

 フィン

[はーいお休み]

 

 loinを見終え、画面を落とす。

「さて、寝ますか」

 消灯だったし、こっそりシャワーを浴びて、布団に入って寝ようと思っていたが、深夜までソシャゲをしていた桜夜は起きており、なんなら、理美のベッドから光を感じたのか、わざわざ覗き込む。

「おっ? 進展在り?」

 まだ起きてたのと言う呆れもあったが、そもそも最初に探りを入れる為に桜夜から経由での話だったのだから、そっと嫌みを添えつつ、絶対美空に言うなよと圧を掛ける。

「……どっかの誰かさんが教えたからだよぉ」

「分かってるって美空に言わないけど、どこか行くかくらいは教えて、下手にそこ突っ込んでいく可能性もあるから」

「へいへい、バラしたらコラボ行ってやんない」

「うぉぉぉおぉぉぉ気を付けます」

 本当に一緒に来てくれると思っていなかったようで、一緒に行けると分かると元気になっていた。

 ただ、グループ内でのコラボだし、粗品もそこまでレアさもないクリアファイル、何が良いんだろうか。

 ウキウキになるのは良いが、明日も早いのだから寝ないとまた寝坊するのではと心配になった。

 

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