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リミックスⅠ  作者: E..
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33/33

横領犯

 エンジニア部門で颯太は1人、あるプログラムをあらかた見直ししていた。

「……やっぱり意図的に誰かがいじっている」

 エンジニア達も、最近の出来事でてんやわんやだ。

 やはり誰かがいじっているが分かる。

 こうなると目が痛くなって、目頭を押さえ少しでも楽を取ろうとした。

 今の今まで大丈夫とはいかないが、出来るエンジニア達のお陰でここまで来れたと言うのに……。

 秘書の才斗が入って来た。

「颯太社長いる?」

 才斗に気が付いたエンジニアの1人が報告する。

「あっ才斗さん、今日もやられました!」

「またか、被害は?」

「なんとも、とりあえず運営自体は大丈夫なんですが……会計用に作られたプログラムがいじられたんで、罠張ってはいたんですが」

 才斗は足跡が無いのを気掛かりに、他に話したのかと尋ねるとそれはないそうだ。

「誰かに話したり」

「は、無いです」

「なら、外部の犯行じゃないな」

 ここで内部犯行として判断した。

 流石に何故と思うが、罠に掛からないなら分かりやすい。

「えっ?」

「考えてみろ、外部なら多少分かるのに一切無いなら」

「で、でもこれ! 俺1人で」

「分かるが、癖って言うのは見えない。他人からしかな。外部だったらもっと規模が大きくなるし、足跡どころじゃなくなるぞ」

「……!」

 驚くエンジニアに才斗の声で席から立って戻って来た颯太が言う。

「身内しか居ないんだよ、外部攻撃も疑ったけど痕跡ゼロ、外部でそんな腕の立つが居たらスカウトもんだな」

「分かるんですか?」

「こればかりは変人レベルだから」

 一応こちらのエンジニアも出来るが、そこまでの境地に至っていない。

 他にもちらほら居るにはいるが、目の前に居た。

「悪かったな変人で、それで気配があったって言うから防犯カメラは?」

 頼まれていたのだろうカメラの録画はどうだったかと言えば、不可能だったようだ。

「分からない、って言うのは些かかなぁ」

 意図的に切り取られた箇所があったのは分かったが、これは颯太も知っている内容。

 他にも調べつくしたが、やはり同じだった。

「そっちもか?」

 しかし、無事だったのがあったが、正直あまり利口とは言えない。

「だが、別の隠しカメラって言うの? そこにね?」

 隠しと言う言葉に颯太が引く。

「おっかなぁ、犯罪じゃん」

 怒り混じりに才斗は突っ込む。

「あんたが仕掛けた奴だよ」

 その瞬間、フラッシュバックが颯太に起きる。

 あれは4年前、理美が夏休みの研究と表した見学しに来ていて暇そうと言うか、こっちも暇だったので、簡易隠しカメラをある場所に設置、録画もちゃんと出来るようにしたのだ。

 あの後父、友吉に怒られたが、あのままになっていたのか。

「……あっ、暇だったから、作った奴、まだ動いてたんだ忘れてたぁ」

「社長、こわっ」

「まぁ、あの部署全員知っているし、何かあった時用に皆、録画を保存してくれてたんですよ、経理部で」

「いや、分かっているのになんで内部が……あっそっか」

 颯太は場所を知っている人間は除外して、知らない人物が犯人。

「そうなんだよ、4年前の出来事知らない奴で、経理部ではない」

「内部犯行ならそれより後から3年前からになるし……既に顔バレてるんだ。後はこっちで対処するからお前らがんばれよぉ」

 更に内部犯行で顔も写っている。

「後は修復頼むわ」

「はい、分かりました」

 そう言って、颯太と才斗は部署を出た。

「……ふむ、この人か、確かに隠しカメラをセットしたのは知らないな」

「ですが、彼女、プログラムを知らない筈ですが」

「知らないとは?」

 丁度そこへ、琴がやって来る。

「あっ見つけた。社長、今回の件、ちょっと複雑ってのをお伝えに」

「複雑!?」

「実は——」

 耳打ちをする中、才斗と琴が辺りを見渡す。

 何か居る。

 だが姿が見えない。

「……あぁなるほど、こればかりはもう手に負えないな、警察と相談しよう」

 颯太はこれ以上手に負えないと判断。

 すぐにスマホを取り出し、電話を始めた。

 と同時に、才斗と琴に指示をする。

「とりあえず、お前らは例の女性を確保、良いな?」

「了解しました」

 そう言って、颯太は別の方向へと歩き出し、琴が誰の事と聞けば、これの事と軽くスマホ画面を見せる。

「普通に呼べば来そうですね」

「バレたって分かっちゃうから、俺が行くから外で待っててね」

 才斗は知っている琴が何仕出かすか分からない事を。

 ちょっと前に表立ったニュースとかにはならなかったが、誘拐未遂があった。

 未遂と言うか、未遂の前に全滅させたのだ。

 琴1人で。

 たまにある。

 仕事が出来ると知ってから敢えて、晴菜からの打診により理美の教育係からこちらの秘書として迎えたのだが、まさかの武力行使タイプだと知ったのはそれからしばらくしてからだ。

 あの時もそう、脅迫状を送り付けた輩がいた。

 警察沙汰を避けていたら、友吉が車いすと言う理由で舐めていたのだろう。

 本当に襲って来た時があったが、その前にいつの間にか琴が倒していた。

 勿論、この後叱られはしたが、皆裏でどうせなあなあにして巡回切り上げた時に襲われてるだろうと口々に言われていたのは内緒だ。

 その後も度々遭って、その都度琴が殲滅、そう殲滅した。

 だからこそ、下手に加減なしにやられたら別の意味で警察沙汰になってしまう。

 一応、万が一を備えてと言うか、頼むから大人しく来てくれる事を願うしかない。

 経理部の部署へと足を運ぶ。

 こっちもこっちでやはりあのせいで、せわしなく仕事をしている。

 才斗が近くに座っている人に聞く。

「すまん、佐東亜紀さんいる?」

「居ますよ、佐東さーん」

 すぐに呼んでくれただけでなく、まだ自分が呼ばれたのに気付いてない。

「はい? どうしました?」

「ここだとちょっと、別の部屋で」

「分かりました」

 佐東は大人しく付いて来てくれる。

 部署の外で、琴が待っていた。

 ふと、気配を感じる。

「小狐丸、私今動けないので、ちょっと見てきて下さい」

 狐と言うより、白い狼が現れた。

 小狐丸は鼻を動かし、ある事に気付く。

「うむ、理解した。しかし、これあまり良いものではないぞ。まがい物の気配だ」

「成るほど、お願いします」

 琴が納得と共に小狐丸に任せた。

 才斗と大人しく佐東がこちらに出て来た。

 後は小狐丸がその気配を辿り、見つけてもらえればと思った時、佐東がいきなり頭を押さえ叫び出す。

「あっ……あぁっぁああああぁぁぁ!!」

 驚く才斗と琴はすぐさま動き、佐東を捕まえる。

 部署内からもその声に驚き、皆、外を覗く。

「大人しくしてください、ちょっとお話——」

「だずげでぇっぇぇぇぇぇ!!」

 捕まえた影響で、こちらが悪いように見える。

 普通油断して放しそうなのだが、反って締め上げた。

「あまり叫ぶとここで、あなたの罪状話しましょうか?」

「ぎゃああぁぁぁぁぁ!」

 締め上げているのだからそりゃかなり痛い。

 皆ざわめく中で、才斗はある提案をした。

「締めるより気を失わせちゃおう」

「才斗さん、あなたも対外ですね」

 流石の琴も驚きを通り越して呆れていた。

 見ている周りに才斗と琴が言う。

「ほら、皆、これは逃げ出そうとしたんであって、決して無理矢理した訳じゃないんで!」

「横領の件を聞こうとしたら、逃げ出しと言うか暴れたんでこうなっただけです。決して無暗に捕まえてません」

 隙を見て逃げようとするので、更に手を強めると流石に痛かったようで佐東は我に返る。

「あだだだだだだ!! どうなってるの!?」

「叫んで逃げようとしたから」

 本人は一体どういう状況か分かっていない。

「ふぁ!?」

「はいはい、それじゃそのまま、ちょっと行こうか、聞きたいことあるから」

 優しい声だが、才斗の目が殺意に満ち溢れ怖い。

「は……ぃ」

 大人しく従うしかなかった。

 

 社長室にて——。

 颯太は今までの横領の資料と隠しカメラの動画を見せ、一通りの説明をしたのち、佐東に問う。

「——と言う訳で、これ君だよね?」

「……はぃ」

 息を詰まらせながら佐藤は罪を認めた。

 琴はなんとなくこの人が出来る程の度胸も知識も無い気がした。

 だから、これは知識と促した奴が居ると判断出来る。

「あなた、これ改ざん出来る程の腕無いのに良く出来ましたね?」

 案の定、やはり教えてもらった様だ。

「お、教えて、貰ったから」

「だからって、お金は?」

 一体何処で使ったのか、どれ位の金額を降ろしたのか。

 とりあえず、颯太は会社のお金を返すなら警察沙汰にはしない流れで促す。

「お金返してくれるって言うなら、罪に対しては警察沙汰にはしないけど、流石にこのまま置いておけない、良いね?」

 ただ、やはり罪は罪、罰は与えないと他に示しが付かない。

 それなのに才斗がこんな風に促してしまう。

「教えてくれるなら、それも不問するよぉ」

「才斗第一秘書? それ親父との相談だから無理です」

 一度出来ると癖になった者は、どうせまたやると琴が睨みを利かせる。

「ダメですよ。こういうの覚えちゃうと今度姑息な方法でお金降ろしちゃうから」

 あまりにも怖く、誰の目も見れない佐東は正直に話す。

「……すいません、最初、上手く行くはず無いって言って断っていたんですが、なんか段々、その方が良いって思うようになって」

「それって誰かに唆されたって事ですか?」

「はい、元々あぁ言う改ざんも良く分からなかったし、ここみたいな大きくてもプログラムに強いエンジニアを率先して雇っている会社だから、そもそも出来る筈無いと思ってたんですが、なんか後から来た方がそれに詳しくて、改ざんにやけに詳しくて、それで」

 颯太は聞いて呆れながらそれでやったのかとため息と共に聞く。

「……実践したと?」

「まさか! 先にも言いましたが断ったんです、断ったのにその人見てたら出来る気がして、その人の為ならなんでも出来ると思うように」

 琴だけこの流れ、なんか嫌な感じを察した。

 マインドコントロールみたいなモノと、判断するのなら簡単だ。

 彼女みたいな大人しめで少し目立たない感じはカッコウの獲物だと自分でも判断出来る。

 だが、教えてもらってもアレだけの技術を口だけで結構出来る程の能力がまるで見えない。

 消し方だって、会計用のプログラミングだってこうも容易くイジるにはかなりの知識が必要だ。

 それを彼女に丁寧に話、実践するなんてタイミングなんてあっただろうか?

 颯太は誰に教わったのかを問うと、佐東は名前を呼ぼうとするも名が出て来ない。

「で、その人は誰?」

「その人は……あれ? その人、そのひ、あれ、あ、あれ?」

 どういう事かと、颯太と才斗が不思議がる。

 小狐丸が壁からすり抜け、やって来た。

「琴、見つけたがそいつ逃げられた」

 バイブすら鳴っても無いスマホを取り出し、琴は自然を装う。

「ちょっとすいません、連絡が」

 音にすら気付かない程、切羽詰まった状況、颯太は気にしないで話を進める。

「おー行ってこい、こいつもう少し話詰めてご両親にも出てもらうことになりそうだし」

 出て行く琴を見つめる才斗だったが、佐東の言葉にこちらを見た。

「ひっ……私の両親、数年前に事故でもう。それに身内と言う親戚も居なくて」

 才斗は両親か理解ある身内が居れば良いだろうが、まあ勘当はされど、金のくめんはしてくれると思っていたがそうも行かない様だ。

「……そう、でも一括で払えは言わないから」

「どっかに飛ばしてとりあえず天引きの方が良いんじゃね?」

 颯太の言葉が恐ろしさを感じる。

 それでも警察沙汰にはしないだけ有難い。

「なんでもします! 体売るなり臓器売るなり何だってやります!」

 佐東はもう腹を括り、何でもすると言った感じだ。

 颯太と才斗は流石にそんな事をすれば捕まるし、夜の仕事だって違う。

「ウチ、B国じゃねぇよ」

「後、夜の仕事は居酒屋しかないから」

「ならマグロ」

「それも管轄外、嘉村グループは農業にも手を伸ばしてるから、そっちだと思うぞ」

「海外に飛ばしたら女性危ないしな」

 佐東の非を認めた上での腹の括り、外で聞いている琴からすれば少し見直した。

 スマホに耳を当てながら、小狐丸に問う。

「さて、小狐丸どうしたんです? 逃げすなんてあなたらしくもない」

「すまん、あっちも気配を察知したのだろう、いきなり走り出して、こっちの方が速いとタカを括ったせいか、いつの間にか」

「あらま、でも多分彼女だけじゃ無いはず、加害者であり被害者は」

「とりあえず、ジルにでも話せば良いんじゃないか?」

「そうですね、とりあえずloinにでもしておきますか」

 琴は至ってシンプルの横領している女性を調べてと何とも分からない内容をloinを送ると意外とすぐに来て、驚くと共に何か慌てた内容だ。

「はっ? 夜職とは違う、事務員の女性が惨殺って?」

 この瞬間、佐東と才斗と颯太が無事か慌てて確認しに戻る。

 まだ話し合い中だ。

 罪を認めて金を戻すと言うし、何より彼女はこれからの事を考えている。

 目もあの時と違いハッキリとしているし、後は間違いないまがい物を利用した真犯人がいると言う事だ。

 同時に彼女みたいな加害者になった女性達を消そうとしている。

 守らなければ——。


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