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リミックスⅠ  作者: E..
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27/29

それぞれの買い物【前編】

 美空、ジュリアの寮の部屋で美空が服に着替え、整える。

「よし! これでオッケー」

 寝ぼけながらジュリアが起きれば、普段着ないようなおしゃれな服を見て、聞くと買い物とのこと。

「美空ちゃん、おはようございます。今日はやけに早いですね」

「今日、先輩達にお父さんのプレゼントの買い出しに付き合って貰うの」

 しょぼしょぼな目を擦りながら、そういえば理美もだったなとも思いながら、こんな服を着るのだからどんな先輩と出掛けるのか気になるところ。

「そうなんですか、どの先輩ですか?」

「神崎先輩とフィン先輩」

「ふぇぇぇ、いってらっしゃいです」

「うん、行ってきます」

 美空が出た後、もう少し入って寝ようと掛け布団に包まった時、覚醒した。

「もう少し……ダメです! これは一大事です!」

 大慌てで桜夜に連絡。


 ジュリア

[大変です! 桜夜ちゃん! 一大事です!]

 桜夜

[ごめ、ねむ、おやす]

 ジュリア

[このままでは下手すると大騒動になるのです! 美空ちゃん、買い物の手伝いを神崎先輩達とするのです!]

 桜夜

[……バレなきゃ良くね?]

 ジュリア

[今日は理美ちゃんも社員さんと買い物ですよ! 万が一遭遇して勘違い起こしたらどうするんですか!]

 桜夜

[おも、いや一大事だな]

 ジュリア

[なら、理美ちゃんが動いたら行きますよ!]

 桜夜

[現在なう、丁度支度を終えた理美が誰かと連絡中]

 ジュリア

[わたしも準備始めます、あなたも支度を始めなさい]

 桜夜

[りょ、了解でありますジュリア軍曹!]


 そんなやり取りをしてるとは思っていない理美が話し掛ける。

「そろそろ出掛けるよ」

「う、うん、ところで何処で買い物すんの?」

「なんで? まぁその辺、いや都内のここだ」

 わざわざ場所を教えてくれた。

 若者が出入りする店が多い区だ。

「そうなんだ、あたしらも丁度出掛ける時出会うかもねぇ」

 万が一出会っても良いようにわざと行き先が一緒と付け加える。

 理美も最初疑うも、まあジュリア達とかと思ってあまり気にしていない様子だ。

「まあゲームセンターもあるし暇なら出掛ける場所でもあるからねココって、それじゃ私もう待ち合わせの時間だから」

 そう言って理美は出て行った。

 同時に大急ぎで着替え出す桜夜だ。


 冬美也はゼフォウと共に美空よりも先に出て駅まで向かう。

「なんで、待ち合わせ寮じゃないんだ?」

「当たり前だろ! 見られると余計拗れるだろうが!」

 まだ若干喧嘩中。

「……えっなんで?」

「理美ちゃんと拗れている今、決定的なのを突き付けられたら、理美ちゃんが悟って去ります」

「――はっ!」

「今気づいたのお前!」

 だから美空が詳細の待ち合わせは気を遣って駅でって話になったのにどうしてこうも鈍いのか。

「嫌がらせで他の子達と食べてたけど、お前ずっと理美ちゃんのいる席見てただろ?」

 ゼフォウは見ていた。

 冬美也が他の子達と食べている時もずっと理美を探し、いたと思っても声は掛けれず大人しくただ見守るだけの姿を。

 当の冬美也は本音では一緒に食べたかった。

「一緒に食べたいと思っても、連絡しなかったからその」

 最初の連絡だけは入れるべきだとゼフォウが何度も言うし、下手に詳細聞いて自分が虚しくなるのを分かっていた為あえて聞かない行動を取ったが、結局なんの連絡だったかは知らない。

「だーかーらー理美ちゃんの連絡だけは答えろって言ったんだ。我慢するにしたって詳細くらい言わない奴が1番悪い、俺だって詳細伝えて良いならやったけど、胸糞悪く感じるから辞めた」

「ぐぅも出ないし申し訳ないって思ってるけど」

 振られた側ばかり頼った人間がもっとも悪いのだ。

 だからゼフォウは笑う。

「半分言わなくて良かったよ、嫌がらせ成功」

「てめ……いや、お前に任せたオレが全面的に悪い、理美も悪くないんだ。素っ気なくしないでちゃんと連絡してくれたのに」

 ムキになる冬美也だったが我慢して、落ち込む中、詳細を聞かれ、大人しく答えた。

「なんて来たんだよ? 内容まで教えてくれなかったし、グループじゃなく個人連絡だし」

「我慢するから1度話し合おって、距離を置くのは賛成なままで話して欲しそうだったけど、理由が理由で」

「あー話せば拗れなかったやーつ」

「うっせ! 分かってたよ! こうなるのを!」

「買い物終わったら連絡しな、バートンがいつも先越してたからいじけてたった」

「1番書きたくねぇ内容だなそれ」

 本当にその内容だけは書きたくないと思ってた時だ。

「お待たせしましたー!」

 美空が普段着ない可愛らしい服でやって来た。

 まるでデートのようなコーデ。

「やっほー、かわいいね」

「ありがとうございます、フィン先輩」

 普段通りのゼフォウ、隣は未だ引きずったままの冬美也。

 そのせいか、冬美也は服装を褒めるとかもなく、早く行って早く帰りたいのが非常に伝わる。

「どこに向かうんだ?」

 直後に、ゼフォウが冬美也の脇腹に攻撃した。

「ふみくーん、せめて、褒めなーい?」

「えっ? えっ? えっと、普段と違って良いな?」

「棒読みちゃんがよぉ」

 喧嘩がまた始まってしまう。

 その2人を見ていて美空が思った。

『理美ちゃん、実はこの2人の纏め役だったのかな?』

 とりあえずもう行ってしまおうと思い2人を誘導する。

「まあまあ、もう行きましょ」

「お、おぅ」

「ほら行くぞ」

 やる気の無い冬美也を無理やりゼフォウが連れて、駅へと入った。


 同時刻、理美はその付近で待っている車を見つけて、扉を叩く。

「おまたせー、蛯名、七瀬さん」

 蛯名と言われた金色に染めた短髪で耳に複数ピアスを開けた男性と七瀬と言われた長い茶髪をアップした女子大学生が乗っていた。

 運転席に座る蛯名が言う。

「あら、思ったより早いわね」

 続けて後ろから七瀬も言いながら、助手席に座る理美の頭を撫でた。

「おー理美ちゃんお久しぶり」

「今日はごめんねぇ、私の買い物に付き合わせて」

 蛯名的にはそのまま理美が勝手に決められたら絶対浮く服しかないのを知っていた。

「良いの良いの、あなたに任せると私生活までゴリゴリの盛り盛りのロリータになるから」

 一緒に回る予定の七瀬が言う。

「普段着買うのと下着ならアタシとだね」

「そうそう、それと買い物終わったら、最近流行りの店の偵察も兼ねて愚痴らせて」

 理美の最後の言葉でやらかしたなと察した2人。

 七瀬が怪しい言葉を使い、蛯名が静かな怒りを漂わせる。

「理美ちゃん、アタシが癒してあげようか」

「そのまま警察に届けてあげようかしらあんたを」

「冗談よ蛯名! あんたが言うとわりとガチで連れてくからやめて!」

 これがなければ、七瀬と2人で買い物も出来ただろう。

 そのまま出発し、運転中に蛯名がもう事情を話せと促した。

「もう、いっそ今のうちに話しなさい理美、このお馬鹿さんやらかす前に」

「う、うぃっす。実は――」

 話せる範囲だけで全てを話す。

 藤浦を捕まえた話は流石にどう見繕って話しても難しいので、あの時の騒動の話だ。

 そこからギクシャク始まって、ようやく落ち着きを見せたから会おうと考えたのにゼフォウの話もして、我慢出来ずに連絡したら余計こじれたという内容にした。

 一通り聞いた蛯名はある1点に着目する。

「――なるほど、きっと、彼、先生に先越されてヤキモチやいているのね」

「あの、先生関係なくない?」

 確かにあの時バートンが助けてくれたのは本当だ。

 しかし冬美也がいたかどうかは別だが、でも距離を置く案に賛同したのはあの辺りで間違いない。

 それでも一緒に居たいと泣いて見せたり、ある程度の行動も嘘ではないが、やはり助けに入った時も何故かバートンが自分を助けるような形を取っていた。

 でも流石に考えすぎだろうと思っていたが、七瀬が小粋に笑う。

「大ありだよ、きっと先にかっこよく救いたかったんじゃね? まだ青二才のガキンチョの考えるのも容易だよ」

「えぇぇ……別に気にしなくて良いのに」

「気になるんだよ、いっちょ前になったつもりのガキンチョ程」

「話し合おうって言わず、もう少し自分はあなただけって含みのある言葉を変えてあげるのもありだけど、気をつけなさい理美、こういう時、脇からかっさらう泥棒猫がいるから」

「あっ……まぁいるよね」

 藤浦の事が片付いたら、結構積極的に迫っている子達が多いのも事実だ。

 こちらからアプローチを掛けるべきか。

「泥棒猫ってのは一番厄介なのは友達だった場合が結構あるんだよね。それで人間不信になった子達をアタシ見て来たし」

「それ、食ってないわよね」

「ふふふっいつでも慰めてあげるから」

「よし、近場に警察署見えて来たから、ちょっと七瀬を引き取ってもらうわ」

「だから冗談、冗談だよ!」

 どうして怒らせる事を平然とやってのけるのだろうか。

『蛯名いる所でもうやらないが普通では?』

 理美まで呆れかえってしまう。

 でも確かにそうかもしれない、一応頑張って大丈夫と気にしないような言葉を選び送ってみた。

 

 それなりに混んだ電車内。

 美空をなんとか席に座らせ、ゼフォウと冬美也は立って目的の駅まで過ごす。

 冬美也が暇でスマホを見ていると、理美からの連絡に驚く。

「うぉう!」

 危うく落としそうになる位だ。

「どうしたんだよ、そんな慌てて」

 ゼフォウが面倒くさく言う中、冬美也は正直にスマホの画面を見せながら言う。

「理美からloinで、冬美也が一番だからなのと来てくれただけで嬉しかったって内容なんだけど」

 内容を見たゼフォウはすぐに分かってしまった。

「悟られましたなこれは」

「はっ?」

 どう考えてもパニックを起こしていた理美がここまでの考えなんて持っていないだろうが、きっと保健室のやり取りだけでなく、色々話を聞いていて勘付ける人間に、相談したに違いない。

「お前がバートンと居合わせたのは見てないだろうけど誰かがアドバイスで入れ知恵したかもなぁ」

 冬美也もその話を聞き、バートンと何があったかを話す前に距離を置く話にすり替えたまで話していると考えていれば容易だ。

 勘付かれてしまった恥ずかしさと苦しさで落ち込む中、席に座っていた美空が心配になって聞く。

「先輩どうしたんです?」

「なんでもない、ところでどこまで乗るの?」

「次で降ります」

「そうか、分かったありがとう」

 すぐに返すべきだったが、今すぐは無理だ。

 仕方がないので、既読だけ付けてそのままスマホをポケットに仕舞う。

 そんな中、理美からもう一通連絡が来ているのに気付かなかった。

 

「うーん、やっぱり既読スルーされてる……」

 既読は付くがやはり反応が無い。

 もし今日会えたらきちんと誤解を解きたいと書いたのだが、中々そのきっかけをすぐにはもらえないだろう。

 蛯名は言う。

「仕方がないわよ、幼馴染の1人をあなた振ったんでしょ? 俺からすれば、結構踏ん張ってるわねその子」

 ゼフォウの事も一応話していたが、普段通りに接しているのだからきっと無理しているのが間接的だがよく分かる程だ。

 それでも頼ってしまう自分がいる。

「一緒に居ても流石に連絡しはもうダメだし」

 七瀬も流石に喧嘩した話を聞いている為、これ以上余計な種を撒きたくない理由も分かった。

「また喧嘩されたくないもんねぇ」

 蛯名が街は街でももっとも栄えている中心街に着くのを教えてくれる。

「そろそろ中心街中入るわ、どの辺に止める?」

 理美は駐車場なら何処でも構わないし、支払いも自分持ちだ。

「駐車場代は私出すからどこでも」

 普通なら大人として払うのがと言われるだろう。

「了解、ただの子供だったら支払いを拒否するけど、ちゃんと主人であるからねあなたは」

「うっす、我儘聞いてもらっているので、ガソリン代もお昼代ももちろん支払います」

 今回理美のお願いによるものであり、車まで出してもらっている。

 その辺弁えていた。

 ただ、下手に人前でお金を渡されると何言われるか分からない時代だ。

 ちょっとした噂だけならまだしも、手軽な掲示板が進化したSNS、誰が載せるか分からない。

「流石に子供からお金もらうと色々何言われるか分からないからねぇ今の時代」

「仕事用品なら、領収書で降りるんだけどねぇ」

「もう仕事着って事にしない?」

「しないしない」

 それこそ、横領だろう。

 適当な空いていた駐車場へ止めた。

「それじゃ買い物行きますか」

「まず何処から行きますお嬢」

「とりあえず、今の子達が着てる服から」

「なら、すぐそこのビルにあるから行きましょう」

 目的のビルへと向かう。


 一方、ジュリアと桜夜も目的地へ到着した。

「ここからだと、場所分からんな」

「なので、軽い気持ちで遊び場を写し、あっちにも送って貰い特定する作戦であります!」

「別の区の街なら?」

「このまま理美ちゃんに送り、場所送って貰い、それとなく尾行します」

 ちょっと探偵気分でなんかノリノリだ。

 ところが意外な事が起こった。

「何してんの2人共、そんな険しい顔をして?」

「フィン先輩⁉︎」

 なんとゼフォウが居たのだ。

 その後を冬美也が追っていた。

「どうしたんだ、急にどっか行くなよ」

 何かを面白い事を思い付いた顔になるゼフォウは、すぐさま2人を巻き込みどっかへと連れて行く。

「俺、用事思い出しちゃったから2人で仲良く遊んでなぁ」

 冬美也は追いかけようとするが、駅の人混みの中消えてしまい、これ以上深追いしたら美空とも逸れると察し、諦めて戻って行った。

 連れて行かれた2人は慌てる。

「うぇちょっとちょっと⁉︎」

「こ、これは由々しき事態です‼︎」

 少し離れた位置でゼフォウは分かって問いただす。

「どうせ、尾行でしょ、なんのつもりで?」

 桜夜はなんて話せばと考えている最中、ジュリアはもうノリノリで逆に問いただし返したのだ。

「あっ……」

「フィン先輩はなんでこの間理美ちゃんだけ呼んだ理由を教えてくれたら、教えます」

「ジュリアちゃん策士だねぇ、良いよ。俺告ってフラれたんだよ。で、本命がグッダグダ言うから今、マジでぶん殴りたい気分のまま居ても嫌だったんで、君らの尾行を楽しもうと思って、そっちは?」

 前半の本音はそうだが、実際はもう嫌気さして逃げ出した時にたまたま異様な2人組を見つけたのがきっかけである。

「何故、私が尾行犯だと分かったのですか?」

「んっ? そんなサングラスした子供、普通日本に居ないと思うよ?」

 2人共サングラスだが若干おもちゃなのがよく分かるので、興味本位で近づけば見覚えのある2人だ。

 ジュリアは今更ながら気付く。

「はっ‼︎ 確かに」

 ゼフォウは少しズッコケるが、何故来たのかを予想する。

「いや、気付こう。で美空ちゃんの尾行かい?」

 まあこれが普通だし、妥当な予想だったが、ジュリアは言う。

「いえ、両方」

「両方?」

 どういうことなのだろうか考えるもどうやらジュリアなりの気遣いだと分かるが、妙なノリノリなのは一体事なのか。

「そうです、理美ちゃんと美空ちゃんが出会ってしまい、微妙な空気と雰囲気で友情破壊及び恋愛崩壊だけは阻止したいのです」

 ちょっと引くがでもこっちに乗っても損はなさそうだ。

「本当にノリノリだなおい。暇だし俺も乗るわ。少しお灸吸わせないと気が済まない」

「両方?」

 冬美也だけなら分かるけども、やはり振られた腹いせがもろに出ている。

「んっ? どうだろね、分かっていたら冬美也だけ追い出したんだけど」

 言葉のあやだろうか、本気で思っていなさそうだ。

「あー」

「これは嫌がらせの類ですね、ですがこちらに入った以上一緒にいて貰いますよ」

「はいはーい」

「んじゃ、美空にもりりみのも写真送っておくんで写真送って貰うよう催促しておくんで」

「うぃー」

 3人で写真を撮って美空と理美に送った。

 

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