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まずは偵察してみよう

 お母様とお話した後、やはりアーロンとラモーナ様の滞在予定が伸びることになったと聞いた。それに伴って、アーロンも滞在中我が家の子供達と一緒に勉強することになった。・・・主にお兄様やエステバンと。この年齢だと少しの年齢差も大きいんだよなぁ。

 私も一緒に学びたいところだけど、魔術操作の訓練くらいしかアーロンと同じレベルに達していないのだ。身体能力の差が顕著に表れる剣術・体術はともかく、座学はいけるかなと思ったんだけどな。

 それにしても動乱の中で育っているアーロンが、少し年下の私ではなく、少し年上のお兄様と座学の進度が一緒ってすごいと思う。お兄様は辺境伯の跡取りとしてそれなりに厳しい教育を施されているし、わが兄ながら能力も高い。苦しい状況の中で、そのお兄様と進度が一緒なのは、ラモーナ様のご尽力と、アーロンの努力の賜物だろう。

 そして、魔術操作の訓練は同じレベルなのは、私の努力の賜物だ・・・!・・・魔力操作の授業に向かう度にメリッサあたりが何か言いたげな表情で見ている気がするが、きっと気のせいだ。

「その意気込みがあれば」

とか何とかメリッサとお母様が言い合っているのが聞こえた気もするが、きっと気のせいだ。

 誰かを助ける力を手に入れるためには、物理的な力、しかも肉体的成長がものを言う剣術よりまず魔術操作を覚えることが早い。そう判断して、私が特に魔術操作の訓練に力を入れがちなのは確かだけど。・・・前世ではフィクションの中でみることしかできなかった不思議な力を操れるようになったことで、テンション爆上がりだったのも否めまい。

 さておき、魔術操作の訓練以外は別行動となりがちな私は、今久しぶりに隠密行動をとっている。お昼寝と称して部屋で1人になった後、タイミングを見計らって部屋を1人で抜け出したのだ。・・・リィンはついてきてるけど。

 そして、向かった先は、子供達が剣術の練習に使っている訓練場だ!私も使っているけど、この時間にここを使っているのは、お兄様とエステバンで、今はアーロンも合流している。

 アーロンとそのお母様の剣術を巡るすれ違いを何とかしたいと僭越ながら思った私だけど、その前にアーロンの剣術訓練の様子を見ておこうと思ったのだ。

 私もいつも使っている訓練場だから、訓練中どこが視界に入りにくいのかわかっている。私は、リィンを従えて訓練場の備品の影からお兄様達の訓練を覗き見ることにした。

「やってる」

 私の読み通り、お兄様、エステバンとアーロンが剣術の訓練中だ。そして、彼らからは私は見えていない。私は、3人の訓練の様子を張り切って盗み見た。

 ふむふむ。なるほど。

 お兄様とエステバンは、騎士型の訓練をガンガン受けてきている(私もだ!・・・まだまだ超初期段階だけど)のに対して、アーロンが受けてきているのはあくまで身を守るための訓練だ。その差は経験値としてあるにしても、アーロンの剣術は・・・。

 アーロンには、エステバンほどの才能はないかもしれない。前世のゲームの記憶からもエステバンのポテンシャルはとても高い。そのエステバンと比べるのは酷だけど、もしかしたら、ラモーナ様は、アーロンに騎士としての適性はあまりないとみたのかもしれない。ご自身もすごい騎士だったと聞いたし。

 だから、ラモーナ様は、アーロンの教育にあたっては、物理で戦うというよりは、頭脳で戦うよう導こうとしているのかもしれない。・・・ふむ。それはそれで一理ある、とは思う。アーロンの頭脳のポテンシャルはすごいようだし。

 だけど、それでも騎士としての訓練をしてもいいと思うんだけどな。ぶっちゃけてしまうと、お兄様だってエステバンほどの才能はない。しかも将来は辺境伯となることが見込まれていて、騎士として戦うよりは、領地を治める者となるだろう。

 それでも、我が家では、お兄様の希望もあってお兄様はエステバンと同程度の訓練をしている。何よりお兄様は、お父様とお母様と、適性のお話とか将来の見通しとかお話ししたうえで訓練を受けている。

「うーん・・・」

 思わず腕を組んで唸ってしまったけど、とりあえず、ある程度見ることができたので、お兄様達に見つかってしまう前に、今は退散することに決めた。

 リィンとこっそりと来た道を戻りながら、私はアーロンのお母様とお話したいなと思ったのだった。

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