女子会をしよう
アーロン達の旅路の安全を図るのとはまた別の意味で、アーロンとラモーナ様の間を取り持つことは難しい。特に今の幼児の身であれば。
ということで、私はまたお母様の力を借りることにして、お母様にアーロンとラモーナ様との間にある剣術に関わるわだかまりについて話をしてみた。
すると、お母様も気になっていたらしい。
「確かにお2人の間には少しすれ違いがあるみたいなのよね」
「うん」
「あのような状況の中でラモーナ様は、よくアーロンを守られていると思うのだけれど」
ラモーナ様が悪いというわけではないのだと思う。もちろんアーロンが悪いわけでもない。
「おはなししたいの」
だから、私はラモーナ様とお話してみたいのだ。お母様は、どこまで踏み込んで関わるのか迷っていたようだけど、私の言葉に頷いてくれた。
「少し3人でお話してみましょう」
ということで、今日はラモーナ様、お母様と私でお茶会だ!前世の言葉で言えば女子会だ!
「お招きありがとう」
ラモーナ様が、お茶会のセッティングと共にお待ちしていた私に視線をあわせて言ってくれる。
「はい」
何だかもじもじしてしまう私に、お母様が、
「まあ、珍しいこと」
と笑ったけど、だってこんな風にちょっと大人扱いをしてもらったことなどないし、それに、
「ラモーナ様がすてきなんだもの」
私の言葉に大人2人は微笑んだ後、ラモーナ様は、
「ありがとう」
とまた言ってくれたので、私はすっかり舞い上がってしまった。
ふわふわとした気持ちで席についたところで、メイド達がお茶を注いでくれる。目の前にはおいしそうなお菓子。丁寧に入れられた紅茶。
舞い上がってはいたものの、ラモーナ様の前である。ついでに言えば、クラリッサも控えている。お作法に気をつけて食べて、飲んでいる間に気持ちが少しずつ落ち着いていった。
「アーロンが一緒に学んでくれて、パーシヴァルとエステバンにも良い刺激になっているようで、ありがたいわ」
私が落ち着いてきたのを見計らって、お母様が子供達のことに話を向けた。
「こちらこそアーロンにとても良い影響があるようで、ありがたいと思っています。ただ・・・」
お母様の言葉に嬉しそうに微笑んだラモーナ様だったけど、ためらうように言葉を切った。
「ただ?」
お母様が促すと、ラモーナ様は手にしていたカップとソーサーを置いて、お母様と改めて向き合った。
「剣術の鍛錬にアーロンがついていけているのか心配なのです」
全く体の成長が追い付いていない、何なら基礎訓練と素振りに終始(たまに実践という名のチャンバラごっこ)している私と一緒に訓練することは考えられないから、アーロンは、剣術と体術の訓練をお兄様とエステバンと一緒にやることは当たり前のように決まった。
だけど、
「剣術の鍛錬については、あまりついていけないようでしたら、これまでどおり1人での鍛錬に戻してやろうかと思うのですが」
そうラモーナ様は言う。
お兄様とエステバンの迷惑になるのではないかという心配と、アーロンがついていけないことで辛い思いをするのではないかという心配の両方をされているみたいだ。
ふむふむ。ちょうど良い話の流れではないでしょうか。今こそあのお話をするときだ。
私とお母様は目くばせを交わしたのだった。




