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不整合の真実

翌朝、全員が目覚めた頃、足子はかしこまって何かを話したげにしていた。そのため、ヤッキーは彼女に笑顔を向けた。すると、多少緊張が解けたのか、話を始めた。


「私は、この世界を生み出したと過去に語った。」

「ん?なんじゃそりゃ?」


ニアが、怪訝な顔を浮かべると、首子は山での出来事を簡潔に伝えると、半信半疑に納得した。足子は続ける。


「そして、その中心たる御嶽山の御嶽神社をまさしく震源地として異変は続いている。」


その話に、首子は反論する。


「あの山はね。前にも話した通り、歴史の深い神社なのよ?あなたが作ったなんて到底信じらんないのよ!」

「それはあなたに話した。過去と未来、そして今、すべては一つだと。」

「あんたはそういう抽象的なことばかり話すから理解しにくいのよ!一体どういうわけ?」


首子が、執拗に問い詰めるので、ヤッキーはまぁまぁと宥めた。ニアも、身体取り戻す話だから我慢しようぜ!と諭したので、一旦場は落ち着きを取り戻した。そして、足子は気を取り直して、話を続ける。


「これから話すことは理解し難いのかもしれないけれど、遥か昔の高校生になる直前の私がそこにいて、私の居心地のいい世界をまず作り出した。それが世に言う御嶽神社。そこから世界はどんどんと広がり始めたの。ただ、私が最初に作り出した世界にも関わらず、常にあの神社の付近から世界が破られ始める。」

「それが、あの無関心とか、もっといえば足子自身の超能力に繋がってるわけだな?」


ヤッキーが語ると、首子もすかさず口を挟む。


「もしかして、あのとき見た誘拐犯や地獄沼、呼ばわり山も、世界が破られた結果って言うわけ?」

「うーん。むしろ、蛇の眷属の方かなぁ。私自身の幼少期がダブって蛇に変えたわけだし。むしろ、言い方は怖いかもしれないけど、あなた自身が誘拐された世界線が自然だったのかも。」

「は・・・。まさか。地獄沼の少女は私自身なの・・・。」

「何の話だぁ?」


ニアが口を挟むが、首子はどうしようもない不安に駆られ、目の焦点が合わなくなった。それを見た足子は、彼女を諭す。


「今の時点では考えすぎかもしれないと思う。事実、過去のニュースでは遺体が見つかったって話だしね。」

「でもそれが、あの幽霊と同一人物とは限らないじゃない!私にはね。誰かに森の奥へ連れて行かれた記憶があるの。それがダブった世界の記憶なのだとしたら、子供の頃から始まった母親の無関心、それに私がオカルトにハマった理由が、ダブった私を探しに行くんだったら、色々と辻褄が合うじゃない!」

「その過程を証明するためにも、呼ばわり山へ行かなければならないね。」


ヤッキーは話についていけないながらも、ふと疑問に思ったことを口にした。


「そういえば、不整合が何とかとか山で言ってたと思うけど、何をもって不整合なんだ?」


足子はそれに明確に答えた。


「それは端的に言えば私や首子が言う通りダブり。統合できない自分。私の場合、今のところ神社にいた私。でもあと何かが足りない。」

「それが私なんじゃなくて?」

「首子ではなく、私自身。」


ヤッキーは、彼女らに一言、エールを送った。


「見つかるといいな。もう一人の自分に。」

「うん。」


足子はひと言だけ答えた。ただ、ヤッキーはニアが黙っているのが気になった。彼女には彼女なりの秘密があるのだろう。そう思わざるを得なかった。そして彼は、そのまえに大事なことを足子に問いかけた。


「まず、どこに行くんだ?」

「うーん。」


足子が腕を組み、迷っていると、首子がすかさず答えた。


「あの誘拐犯はどうかしら。」

「あの人は確かすでに死刑執行されているはず。」

「ぐ、そうだったかも。じゃあ地獄沼はどうかしら?」

「うん。あなたの身体的統合を目指せるかもね。そして、御嶽神社、最後に旭岳だね。」

「なぁなぁ、あんまり誘拐とか死刑とか怖い話はやめようぜ?」


ニアが不安げな様子で彼らを諭したので、一旦その話は切り上げた。そして、本日は家に戻り、明日に向けて準備するという運びになった。首子は、足子が一旦持ち帰ることになった。

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