ニアとの一日
彼らはまず、布を買うのに適当な店に入った。ヤッキーは直に床に足を触れていて、その冷たさを感じていたのだが、周りの人に溶け込んで、自らの変質性を観察した。2人の土人が文明に迷い込んだような姿をしてみっともなかった。そして、地に足がつかないような、気持ち悪さがずっと残った。一方のニアは、意にも介さず、布をじっくりと見ていた。
「なぁヤッキー、どれがいいと思う?」
「あぁ、どれかなぁ?」
確かに布を見ているのだが、頭に入って来なかった。ふと、足の甲がザラッとしたので、下を見ると、ニアが足で踏んでいた。それは彼に温もりをもたらした。そして、絵柄がスッと見えるようになった。
「ニア・・・。首子なら黒っぽい色がいいんじゃないか?」
「それは、イメージ通りすぎるだろ!ピンクか赤だね。」
「なんで血の色なんだ!間を取ってオレンジなんかどうだ?」
「あーいいかもね。」
気づけば、羞恥心もなくなった。店員に頼んで、布を適当な長さに切ってもらい、金銭に余裕のあるニアが支払った。
「なぁ次どうする。」
「適当にメシ食ったあと、ゲーセン行こうぜ。」
テナントが立ち並ぶ通路で、たこ焼き屋が目に入ったので、お互い6つずつ買った。その後、過剰なほどの照明と音で埋め尽くされたゲームセンターへと足を踏み入れた。ニアは釣り銭機を見つけるや否や、一万円をすべて百円に両替して、彼に構わずロボット対戦ゲームの筐体へ駆け込んだ。彼もあとに続いた。彼女は早速、コインを投入していた。
「おいニア、そのゲームいつもやってるのか?」
「そうそう。中学にいた頃まではね、近所にあったから。」
「少しプレイしてるとこ、見てていいか?」
「ついてこれるかな?」
彼女の言ったことが最初は理解できなかったが、画面を見るや、自機に向かって光線やら銃撃やらが右から左から容赦なく振り注ぐが、ニアは華麗にかわして敵機を自身のサーベルで貫いた。はっきり言って何が起きているのか分からなかった。
「すげーな。ニアってもしかして全国レベルのゲームプレイヤーなのか?」
「まぁな。久々にやって順位はかなり落ちてるけど、最高で100位以内に入ったこともあるぜ!ちょっとやってていいか?」
「あぁ、お前のやってるとこ見てると飽きる気がしなさそうだからな。」
彼女は、相変わらず口汚い言葉を発し、ペチペチと床を鳴らしながら、夢中になってプレイした。彼はそれを分からないなりに野球中継さながら実況して、場を盛り上げた。気づけば5000円分使い込んでいた。
「ふぅ疲れた。」
「もう2時間ぶっ通しでやってたからな。」
「もうそんなに経つのか?」
彼らは、自販機で適当なジュースを飲み干して、残りのコインをすべてUFOキャッチャーに使い果たしたが、何も取れることはなかった。しかし、ニアは満足げだった。
「なんか久々で楽しかったわ。」
「プリクラとか良かったのか?」
「そんなん興味ねぇ。」
「そりゃあそうか?」
脳も疲れ切った頃、彼女はふと、ある提案をしてきた。
「なぁ、ちょっとネカフェ使わないか?」
「何をするんだ?」
「まぁまぁ、とりあえずお互い、フラット借りてね。」
「まさか!」
「うん。家には足子がいるだろ?それに、どうせお前らの性分だと、やったことないだろうからな。な?いいだろ?」
「お前はいいのか?」
「まぁまぁ、とりあえず行こうぜ。」
彼は、彼女に手を引っ張られ、目的のネカフェへと向かった。また、ふわふわとした感覚が彼を襲う。今度は、これから身に起こるであろう初めての体験を想像したとき、不安が彼を襲ったのだ。彼は黙ってついて行った。そして、ニアに言われるがまま、個室を借りた。
彼は暗い空間で扉を眺めていた。それでも不安が心を満たし、暇を持て余すことはなかった。ただ、鼓動だけが強く響いた。少しずつ慣れてきて下を向いたり、汚れた足裏を眺めたり、手持ち無沙汰でいると、スタスタと廊下から音が響いてきた。まもなくガラリとドアが開くと、髪を濡らしたニアがスリッパを脱ぎ、ドアの鍵を閉めて、服を脱ぎながら上がり込んできた。
その裸体は、ただ無言で身体を密着させながら、彼の服を脱がせた。彼は後退りしながらも、彼女に抵抗することはなかった。上半身を剥がし、下も貪るように脱がせていった。そして、彼を身体で押し倒し、お互いの頭をモニターのあるデスクの下に埋めた。彼女はとても熱かった。ただ彼女は夢中で腰を動かした。耳元で静かに喘ぎ声を漏らした。彼の眼の前は淡いピンク色に満たされていた。ニアは柔らかかった。彼女は女であることを身体で確かめた。それから二人は夢中になり、最終的には果てた。
ヤッキーはおもむろに、ニアの後ろに周り彼女の足を膝に乗せ、マッサージを施した。
「気が利くじゃない?」
「僕が足フェチなの知らなかったのか?」
「うん?何となく。」
「それに僕はシャワー浴びなくてよかったのか?」
「お前が雄臭くて堪んなかったんだよ。ほらもっと強く押してくれよ。」
僕は容赦なく彼女の土踏まずをグリグリと押すと、彼女は一瞬足を引いたので、やりがいが持てた。ふとニアは語り始めた。
「今日は大丈夫な日だと思うからいいけど、中学の頃はもっと酷かったなぁ。」
「うん?」
「私はやりすぎたんだ。あんましいい思い出じゃない。そのせいで遠く田舎の学校に行かされたし。」
「あんまり無理して話さないほうがいいさ。嫌な思い出は、いい思い出で消し去るのがいい。」
「そんな簡単な話じゃないけどなぁ。」
しばらくして、飽きも出てきた頃、二人は服を来て退店し、足子たちのもとへ帰った。




