長い廊下
ふと窓を眺めると、雲の合間からから光が差してグラウンドを煌めかせていた。周りの生徒が思い思いに散っていき、残ったのはヤッキーと足子、そしてニアだった。ニアがいることが気にかかった彼は問いかける。
「なんで残ってるんだ?いつもはさっさと帰るのに。」
「あぁ、あの後さ、私もオカルト部にはいらないか?って部長さんに誘われたんだよねー。」
「あぁそうか、まぁお前も暇つぶしにはちょうどいいんじゃないか?」
「それと君、急に裸足で走り去って、泣きながら戻ってくるなんて、どーしちゃったんだい?」
「そんなの僕の勝手だい!」
「フハハハハ!まぁ行こうぜ!」
彼は、彼女らが準備する間もなくさっさとオカルト部に向かった。ニアと足子もさらに後ろから 続く。
「ヤッキーってさー、意外と寂しがりやなんだろうなぁ。かわいいよねぇ、男子は。」
「うん。」
「てかさぁ、なんか虐めたりなんかしたの?」
「私は別に・・・。」
「まぁ、あいつも足子に気があってあんな涙ながしたわけじゃないか?そのへんはどうなの?」
「うん。でもあんなの初めてだから・・・。」
「足子もウブだねぇ。そういうときは抱いてやればいいんだよ。」
「・・・・。」
足子は俯いて、ニアと歩調を合わせる。ニアは足子を見ながらいじらしさを隠しきれないでいた。廊下は、いつも以上に長かった。ヤッキーの姿はもう見えず、奥が暗く収束していた。いくら歩いても、階段にすらたどり着かない。ただ、同じ教室を何度も何度も通り過ぎた。次第に、窓から入る光が廊下に影を落とし、薄暗い森へと誘われるような気配が辺りを包んだ。ニアはその違和感に気づきはじめた。
「おい、足子。なんか廊下長くないか?」
足子はハッと我に返ると、すでにオカルト部の扉の前にいた。
「足子、何か考え事でもしてたのか?」
「う、うん。まぁ。さっきまで何が起きてた?」
「いやぁ、まあさ、あんまり深く考えるなよ。私も別に困らせるつもりで言ったわけじゃないんだからさ。」
足子はおもむろに時間を確認すると、慌ててオカルト部へ入った。ニアもため息をつきながらあとに続いた。そこには、すでに2ペアの足の裏が露出していた。片方は大きくて薄汚れている。もう片方はすでに乾いた清楚な足である。顔を見上げると、睨みつけるようにこちらを覗いていた。その奥に簡素なギロチン台が黒く影を伸ばし、鋭い刃が光を反射していた。足子はうろたえてその場に立ち尽くしていた。ニアも目を丸くした。彼女らをジジェイは見咎める。
「さっさと来なさいよ!もう足も結構しびれてんだから!」
すかさず足子は答える。
「これ、どうするの?痛いの、嫌だよ。」
「まぁ待ってなさいよ。まずは、いつものように祈りましょ?」
呆気にとられた二人だが、裸足でマットに上がり、足子は、ギロチンの方を振り向きながら座り、前を向いた。ニアもそれを見つめながらジジェイの隣に正座した。そして不気味に佇む死の塔を前にいつもの通り祈りを捧げた。




