違和感
翌日、ヤッキーと足子はいつものように教室にいた。ただ、ヤッキーは一晩中、彼女の首の怪我について思いを巡らせていたが、あまりにも不可思議な傷であったため、どうしてもそのことを本人に聞いてみたかった。しかしそのために彼女を深く傷つけてしまうのは不憫であるため、もどかしさが常に彼の中にあった。ふと彼女が僕に急に話しかけてきたので驚いたが取り直した。
「ねぇ、ヤッキー。」
「あ、うん?」
「やっぱり首のこと気になるかな。」
彼女が先に切り出してくれたので、彼は思い切って問うてみようとした次の瞬間、ニアが話に割って入ってきた。
「よう!元気そうじゃん!」
「あぁニアか。おはよう。」
「あれ?その首の包帯どうしたんだ?」
ニアは思いがけず、彼の思っていたことを直接彼女に伝えたので、彼も息を呑み彼女へ向いた。取り調べのように迫られた彼女は困惑の表情を浮かべながらも包帯を取って、首周りの傷を露わにした。
「やば!かっこいいじゃん!ネックカット?」
「お、おまえ!」
ニアの不躾な一言に彼は咎めたが、足子は不敵な笑みを見せた。彼はその表情に今までの不安がスッと消えていった。また、彼女はその問いにハッキリと答える。
「これね、ビヘッデド。」
「ん?ま、まさか・・・」
「うん。そういうこと。交通事故起こしちゃったんだけど、私にはある程度の治癒能力があるから。」
ニアはキョトンとした表情を浮かべていたが、彼は、足子が無事でいられたことが何よりもホッとしたと同時に、新たな不安の種が大きくなっていった。
「足子、僕の前から急にいなくなったりしないよな?」
「ヤッキー・・・。」
見かねたニアは、お互いの方を肩を叩いた。
「なにシンミリしてんだよ!二人とも!ていうかさ、こんな人が多いところでそんなの見せていいのか?」
「心配ないよ。またへんなことが起きてる。周りを見て。」
不思議に思った2人はキョロキョロと教室中を見回すと、生徒同士の談笑や授業の準備など、特に変わった様子はなかった。
「どういうことなんだ?」
「私たちに対して、明らかに無関心になってる。」
「あー言われてみれば。」
そして、ニアは訝しげな表情を浮かべ考え込んだ。
「ニア、どうしたんだ?」
「うーん、まぁな、なんかこの感覚、懐かしいような気がするんだよなー」
「別にいつもと変わらないじゃんか。中学の時同じ目にあったのか?」
「いや?どちらかというとイジられキャラだったし、こんなに自分らに無関心って不思議なんだ」
足子は、ただ黙って聞いているだけだった。彼には、彼女に何かしら心当たりがあるのではないかと思い問いかけた。
「足子、なんかまた不思議な能力を隠してたりしてないか?」
「いや、デジャブなんて珍しいことでもないだろう。」
ただそう言い残すのみであったが、彼女にも何かを感じているのではと思わざるを得なかった。




