足フェチの本懐
女の子が羨ましい。女そのものに価値があるからだ。僕が素足で上履きを履いても誰も見向きもしない。きっと、野人とか、臭いやつとしか思わないだろう。
ヤッキー、おはよう。
あぁ、おはよう。
ヤッキーは足子さんから挨拶をしてくれたことが意外に思えた。彼女は普段何を考えているか分からず、内に籠もりがちだからだが、しかし、この前、手を繋いで帰ったのだから彼女にも人との付き合い方に慣れてきたのだろうと、親心に彼女の成長を嬉しく思えた。
ヤッキー、靴下履かないんだね。
まぁね。裸足に慣れたし、足子さんばっかりじゃ不憫だろ?
足子でいいよ。
足子さん、あらため足子は、無表情でそう答えた。しかしその奥に温かいものを感じた。そして、足子が上履きを履いていてホッとした。彼女にも道徳を感じる心はあるのだ。そうすると、もっと彼女と対等に接するべきかもしれない。そう思い直していた矢先に、オカルト女のジジェイが現れるやいなや、足子が座る机の前で正座をし、目を閉じて手を合わせたのだ。それに上履きも履かずに、薄黒く汚れた指先からカカトまで晒しながら周りの目も気にせず、ずっと同じ姿勢のままだ。足子は困惑した表情を浮かべ、ヤッキーもジジェイの真剣な祈りに、口を挟む余地がなかった。他の生徒は、怪訝なまなざしを彼女に向けつつ、足を踏まないように避ける。ただ彼女には、並々ならぬ思いが感じられた。
思えば彼女を見つめ続けると、廊下の雑踏や、クスクスと笑う声、さまざまな雑音が消え、ただその祈りに吸い込まれていく。むしろ、それが心地よい呪文になり、気づけば祈りに見入っていた。ふと、ジジェイは立ち上がった。彼女は恍惚な表情を浮かべ、つぶやく。
足子様・・・。
足子様?
足子は困った顔をしてヤッキーを見た。その様子にジジェイはハッと思い取り直す。
あ、ごめんなさい。足子。私、決してあなたに祈ってるわけじゃないから。あなたが取り込んだ眷属に祈ってるわけね。
そうなんだ。上履き、履いたほうがいいよ。
長いスカートから伸びた細い脚は、くっきりとしたアキレス腱に、皮膚に浮き出た5つの骨の先に長い指先と、何物にも染まっていない透明な爪を晒していた。ジジェイは足子の一言に、顔を赤らめながらも、見下すような目で足子に言い放つ。
別にあなたなんか関係ないのよ?もともと私が従えていたオロチ様に祈りを捧げるのには必要なの。あ、そうだ。あと今日オカルト部に来てね。来なかったら呪いをかけてやるんだから。
そういうと、そそくさと立ち去ってしまった。面倒ごとが片付き、ふぅとため息をつく足子にヤッキーは言う。
行くのか?
うん。暇だし。
ヤッキーは思った。ジジェイの足は美しかった。それに、素足で上履きを履く足子もかわいらしい。女の子が羨ましい。




