オカルト女
目の前に現れた女子に対して足子さんはただ黙っているだけだった。そして、一方も気恥ずかしそうにうつむくだけだった。これだと話にならんと呆れたヤッキーは、君だれ?と問いかけると、ただ戸惑って、顔を横に振るだけだった。このままだと逃げていきそうだったので、足子さんに用事があるなら、何でも聞いてくれるよ、と笑顔を作ってみせると、体を硬直させながら、足子さんに問いかける。
あ、あなた。裸足よね。単刀直入にいうと、あなたは何者なの?
私?普通の女子高生。
そんなわけないでしょう?裸足で学校を歩くものが現れたとき、裸の幽霊が現れて廊下を濡らしていくって、そういう言い伝えがあるんだよ。
ネットでは、そういう言説はあるけど、取るに足りない話。
目の前の女子は、オカルトに趣味がありそうで、自分の知識を話すときは饒舌に見えた。それに対して、禅問答のように足子さんは淡々と答えていった。そして、足子さんは核心に迫った。
君、超常現象に興味があるように見えたけど、不思議を明かしたいと言っておきながら、荒唐無稽な言説を並べてむしろ真実から遠ざかる。哀れだと思うよ。
オカルト女子は、自分の見られたくない暗部をえぐられたような怒りが沸き立つのが、ヤッキーからもハッキリわかった。顔を真っ赤にして手を強く握って、足子さんを睨みつけるのだ。みかねたヤッキーは、彼女をなだめるついでに、聞いてみた。
まぁまぁ、それよりも名前聞いてなかったね。
あなた、彼女と何か関係があるわけ?いちいち癇に障るんだけど。
悪かったよ。僕はヤッキー、彼女は、とりあえず裸足だから足子さんって呼んでる。
ふーん。私はG・H・I・Jでジジェイって言うの。
彼女は名乗ったとき、ヤッキーと足子さんを見下すようにニヤリと笑った。前髪から僅かに彼らを覗いていたのが見えた。ヤッキーは、彼女に尋ねた。
目的はなんだ?
とりあえず、足子さん?を私一人しかいないオカルト部にぜひとも参加してほしいのだ。
オカルト?興味ない。
足子さんの一言にジジェイはムッとしたが、足子さんは表情を変えず言い放つ。
私は、科学がどうしても解明できない宇宙の果てとか、意識はどこから生まれてどこへ消えていくのか、という超科学、あなた方オカルトさんたちに言わせれば超オカルトという世界を追いかけているの。仮面舞踏会をやっている場合ではないのだ。
あんた!知ったような口聞くんじゃないよ!
急に地団駄踏んで、足子さんに怒鳴ったが、彼女は表情一つ変えないので、不気味に思い取り直し、提案を突きつけてきた。
じゃあ、あなたが解けない謎っていうの見せてほしいんだけど。
それは構わない。ただ、あまり現実世界に干渉を起こしたくないから、学校の裏山の神社がいいのだが。
あそこは私の眷属が祀ってある神社だぞ?
構わない。
ヤッキーは勝手に話が進んでいくのを咎めた。
いつ行くんだ?放課後は暗くなるぞ?
休日で構わない。
上履きはどうすんの?
決着をつけたら買う。
まぁいいけどさ。
結局、今週の土曜日、ヤッキー、足子さん、ジジェイは、裏山の山頂の神社で落ち合うことになった。




