79 学校の日常
「今日は、買い物付き合ってくれない?」
俺は、1つ年下の友人ユウと一緒に、ロータス学園に通学している。
そして、これは、5月の中旬のある平日の会話の始まりだ。
「いいよ。何、買うの?」
「錬金釜と鍛冶関係の魔道具。」
「どっかに、工房かりたの?」
「それはまだ。とりあえず、自分用のを確保したいと思ってさ。」
「ふーん。そういうものなの?」
「そういうものかな。俺にとっては。」
これは、ごまかしであるのだが、ユウはそれに気づく様子はない。
錬金釜と鍛冶魔道具を買う本当の目的は、俺の持っている能力:異空間牧場を使って、夜中に装備づくりをすること。
俺は、ユウをはじめ、まだ誰にも、異空間牧場のことを話していない。
だから、ユウが置き場も無いのにモノを買うことに、疑問を持ったのは、当然なことである。
なぜ、俺が、仲が深まったユウにも異空間牧場のことを伝えていないのかと言うと、魔力も精神力も無く使える能力である異空間牧場は、かなり希少なのものなので、余計なトラブルの元になる可能性もあるからで、いつかは、話をしたいと、考えてはいるが、今はまだ、その時ではないとも思っている。
学園につくと、中学部のユウとは、わかれる。
俺は、高等部の自分のホームルーム教室に向かう。
選択授業や、課外学習で、割と多くなった知り合いや友人と挨拶を交わし、ながら自分の席を目指す。
俺の席は、最近、たまり場になっていることが多い。
俺を待ちつつ、意見交換する交流場所になっているのだ。
今日のお客は、他クラスの錬金専攻の2人と、このクラスの錬金専攻の女子2人の計4人。
錬金の話で、盛り上がっている。
俺は、席につき、カバンを置く
錬金が圧倒的に、うまいのは、別クラスの2人だ。
2人は、俺より、丁寧で、最終的な形にピントを合わせて作ることができるのだから、腕前を認めざる負えない。
「授業の予習をしようという話なんだけど。あなたは来る?」
「行かない。」
「なんで?」
「俺は、1限が、戦闘職の技の授業だからな。」
「あなた、生産職なのに、まだ、戦闘職の授業とっているの?」
「気になるし、勉強になるからとっているのさ。いいだろ?とっても。」
「別に駄目とは言わないけど…。じゃあ、私たちだけで、やるからね!」
「ああ。それでいいよ。」
「参加したくなったら、いつでも来ていいよ。第二錬金室ね。」
「わかった。」
結局4人は、担任教師がやってくるまで、俺の周りで、話をしていた。
担任教師がくると、4人は、さっと各々の場所に帰っていく。
俺は、やっと静かになった席まわりで、仮眠を始めるのだった。




