雨と友人
夜中にユウに通信する。
「雨、やまないな。」
「明日も、コンディション悪いかもね。」
「どうする?」
「仕方ないよね。」
「あ、うち来る?」
「何すんの?」
「別に何もないけど…。ゲームとマンガくらいならあるぜ。あと、面倒な特別課題もある。」
「…行く。」
「じゃあ、レッドスケルトンの荒野の入口で、待ち合わせな。」
「わかった。」
「あ…!」
「…何?」
「俺、友人呼ぶの初めてだなあと思って。」
「それなら、僕も、友人の家に行くの初めてだよ。」
「そっか…。」
少しの沈黙。
「気まずいこと言わないでよ。」
「…悪い。」
次の日、レッドスケルトンの荒野の無骨な入口に、傘を持った2人の姿があった。
「ただいま。友達、連れてきた。」
「おかえり。…え?」
「…お邪魔します。サクラユウです。」
「いつも息子がお世話になっています。お昼食べていく?」
「母さん、お昼は外食するからいいの!」
「そうなの?残念ね。」
「ユウ、行こうぜ。」
「失礼します!」
午前中に、魔法の課題を済ませる。
「4元素が、土、風、水、火。1番、適正の多い属性だな。」
「それより、上位に希少な雷と氷の2元素。元素外で、光と闇。」
「さらに、上は、よくわかんないけど、星、死、滅びの属性だっけ?」
「あとは、聖属性と空間属性。」
「ややこしくなってきた…。聖属性と、空間属性ってなんなんだ?」
「一応、星、死、滅びが同じくくりで、その対極にあるのが、聖属性ともいわれているね。空間属性は、時間属性と対になっているのでは、と言われているんだけど、時間属性は世界が矛盾しちゃうから、残念ながら、この世界の法則上存在できないみたい。」
「星と死と滅びの違いは?」
「全部、体力、魔力、精神力を同時に削る属性で、削り方が、星は、一撃で、死は、毒のように徐々に、しかも、それでいて、削れた部分はもどらず、滅びは、星のように一撃だけど、削れた部分はもどらずだね。」
「ユウ、ほんと、なんでも知ってるのな。」
「なんでもではないよ。知っていることだけだよ。」
「とりあえず、レポートは、これでいいや。ちょっと、休憩しない?」
「全然、疲れてないけど…。」
「俺が疲れたの…。」
ユウのこと異空間牧場に案内していい?
『ユウさんですか?別に反対はしませんよ。でも、秘密とかって、明かされた方はストレスに感じることもありますよ。』
そういうもんなの?
『みなさんに、打ち明けられるくらいどうでもよい秘密になってからの方がいいと思います。』
そうか。
『最終判断はあなたです。お任せします。』
今日はやめとくよ。
結局、午後まで部屋で休憩し、定食屋に行くことにする。
「なんで、ここなの?」
「近いし、美味しいぜ。」
「おすすめは?」
「カツ丼とか?」
「じゃあ、カツ丼にしようかな。」
「俺も同じのでいいや。」
食事を食べ終わって…。
「なあ、ユウ。今日、楽しかったか?」
「普通に楽しかった?かな。」
「…ならいいか。」
「何さ?急に。」
「いや、なんか、変に緊張しちゃって…。」
「君が呼んだのに?」
ユウは笑っていた。
「笑うことないだろ!」
「ごめん。君って、変なところ真面目だよね。学校行くか決める時とかも、そうだったよね。」
「なんかあったっけ?」
「いや、僕にそこまで、気を使わなくてもいいのに、僕が嫌なら高校はいかなくてもいいって言ってたよ。」
「それは…。言ったかも。」
「僕だって、君のことは大切に思っているから、もう少し信頼してくれてもいいんだよ。」
「いや、信頼していないわけじゃなくて…。」
「わかってるよ!…今日は誘ってくれてありがとう!」
「…おう。」
「今度、雨の日は、うちに来る?」
「…お邪魔します。」
なんだか、気恥ずかしい。
そんな、雨の日の休日の午後だった。




