倫理と生産
「ニーズヘッグに決まりました!」
妹が、リビングのソファーに立って仁王立ちを決めている。
「…そうか。よかったな。決めては?」
「ニーズヘッグのギルド長のおじいさんが、刀使いで、手入れの仕方とかも丁寧に教えてくれたからです。というわけで、新しい刀を所望する!」
「明日、打つよ。」
「よろしくおたのみ申す!」
今日もユウと格闘オークを倒してきている。
格闘オークはEランクで、森クマと同じくらいの強さなのだが、この素材で、妹の満足する刀を作れるかわからない。
なんの素材で、刀を打つか…。
『異空間牧場の闇の大樹の枝葉と、魔鉱大亀の魔鉱はどうですか?』
「ありかもしれない。闇の大樹はEランクだし、木の枝のインゴット化は、課外学習で、かなりやったからな。」
というわけで、異空間牧場で、素材を回収する。
『農業LV665、畜産LV482、養殖LV482、採掘LV158に上がりました。』
素材は十分すぎるほど集まった。
次の日は、ユウとの狩りは、中止になった。
雨がかなり降っていたためだ。
俺は朝から、妹とニーズヘッグの鍛冶場に行った。
ニーズヘッグのギルドは、天千里のようにビルでなく、広大な土地に広がっていた。
鍛冶場も広く、選ぶのに苦労するくらいだった。
ちょっとした、観光気分で、色々見てまわったので、鍛冶のスタートまでは時間がかかってしまう。
肝心の鍛冶は、4時間くらいで終わった。
出来た刀は、しっかりした物で、妹も満足なようで、すぐに、個人登録した。
吸収と成長の緑刀
ランクA-
能力1:不壊
能力2:生物吸収成長
能力3:装備個人登録
問題は、ニーズヘッグから、帰る時に起こった。
ギルドの門に設置された魔道具が警戒音を発してしまったのだ。
俺も妹も困ってしまい、係の人の指示に従った。
「えーっと。なんかやばい品あります?」
薄い目をした狐を連想させるような雰囲気の若い男の人が、現れ、俺と妹に話を始める。
「さっき作ったやつかな?」
「これですか?」
薄緑の刀身の刀。
狐似の男は、ため息を1つ。
「この刀は、管理指定になります。」
「え?」
「これが?」
「納得いただくために先に説明いたします。この刀は犯罪に使われると厄介な部類の刀です。遺体が吸収されたら残らないみたいです。」
「それは…。」
「確かに、やばそう。」
「しかも、不壊なのが、最悪です。管理を任せてもらえますか?」
「使いたい時は使えますか?」
「申請を出していただければ、大丈夫です。」
「それなら、いいかな。」
「書類の準備をするので、待っていてください。」
「はーい。」
「ちなみに、お兄さん。あれ、同じ物作れたりします?」
「無理です。」
「…よかったです。お兄さんの拘束も必要になるところでしたから。くれぐれもやりすぎには、注意してください。」
「…肝に銘じておきます。」
思いの外、時間がかかってしまった妹の新装備作りは、なんとか無事に終わった。
「兄貴、今日は、ありがとう。早速、明日使ってみる!」
「変な使い方は、絶対やめろよ!」
「わかってるって!」
ニーズヘッグのギルド長のネルドラ・ガーランドは、報告に上がってきた刀の情報を見て、ため息を1つ。
「あいつは、これからも、危ない物を作るだろう。目を光らせておかないといけない奴が多くて困る。」
ネルドラは、降りやまない雨を見ながら、この前面接した鍛冶士の青年とこれからの時代を思い、憂いた。




