課外学習10 クラリッサとユーザリアのこと
班を離れて、クラリッサと、話をすることになったので、広間の隅に移動する。
「私のことわかった?」
「…わかんないって。」
「だめですねー。」
「だめなのか?」
「だめだめです。本当は、気づいてほしかったんだけど、私が未熟だから、仕方ないか…。」
「勝手に完結しないでくれって。」
「あなたが着ている天千里の制服とロータスの制服どう?」
「ああ。いいだろ?めちゃくちゃかっこいい!」
「どこがいいの?」
「あれは、完成してるんだよ!制服の完成形があの作品と言っても過言じゃない!」
「…ありがとう。おばあちゃんに伝えとく。」
「…あ、そういうことか。」
「そういうこと。おばあちゃん、最近、誰も制服作りに来てくれないって、寂しがってたの。だから、久しぶりにいい仕事ができたって、喜んでいたわ!」
「…それは、わかんないって。」
「本当は、雰囲気とかで、気づいて欲しかったんだけど…。っていうわけで、制服大事に着てね!」
「わかってるよ。」
「…ほら、気の利いたセリフで締めて!」
「クラリッサさんは、家族思い?なんだなあ。」
「なんか、やっぱりダメダメじゃん…。」
クラリッサさんは笑った。
「さんはつけなくていいよ。クラリッサって、呼んで。私は、常連さんって呼ぶから。」
「そこは、俺も名前で呼んで欲しいんだが…。」
クラリッサと別れて、コンディションは最高だ。
モテ期ではなかったが、女子と仲良くなるのはうれしいものだ。
錬金工房に向かう。
オロチの鱗を加工している錬金専攻の2人がいる。
俺は、空いているスペースで、倉庫の骨素材とゴブリンを集めて来て、錬金釜の1つにぶちこむ。
綿密に作り込み、出来たのは、真っ白いインゴットっぽいもの。
それを持って、鍛冶場に移動する。
多分、ユーザリアは、1人で、オロチに挑戦するだろう。
その時、子鬼の嘆きでは、ダメージを与えられない。
だから、オロチにダメージを与えられる武器を作ってやらないといけない。
俺は、いい意味で、ユーザリアを信用していなかったのだ。
「あいつは、絶対、隠れてやるやつだ。」
ここまで、協調していることの方が奇跡に近い。
10時間の徹夜で、作った武器をユーザリアに届けたのは、朝の6時のことだった。
俺は、それを渡して満足した。
「悪いな。」
「悪いのか?」
「いや、どうだ?」
「自分のやりたいことするのに他人の顔色ばかり見てたら動けないだろ?」
「…違いない。楽しんでくるわ!」
ユーザリアは、付与専攻の生徒のところに向かう。
俺は、それを見送り、シャワーを浴び、着替えて、朝食の準備が進む広間へ先に移動し、座ったまま、仮眠をとった。
皆、3日目の朝食はピリついていた。
それぞれが、自分のやりたいことをどんどん進める雰囲気で、昨日までのクラス全体で、目標へという雰囲気ではなくなっていた。
こういう雰囲気も悪くないと思う。




