低いステータスの話
「ただいま。」
「「「おかえり!」」」
「夕飯の用意しているから、お風呂入ってきて!」
「わかった。」
俺は、5大ギルドの契約書類と一応もらったそのうちの1つのギルドが運営している学校の資料を置いて風呂に行く。
妹は、目ざとくそれを見つけ、のぞいていたが、俺は、汚すなよとだけ言って、風呂へと急いだ。
妹が、騒いでいたが後回しだ。
今日は、面接で疲れた。
『学校どうします?』
「学校?」
『…あなたの中では、選択肢に入っていないんですね。』
「うーん。」
『高校選びで迷っていたあなたにとっては渡りに船なんじゃないですか?』
「そうかもな。」
『…何か迷うことでも?』
「いや、俺、何のために学校行くの?」
『知りませんよ。』
「そうだよな。」
『行く意味がわからないから行かないと?』
「どうなのかな…。わからない。」
俺は、浴槽に浸かりながら、考える。
学校…。
今世、いい思い出のない学校。
はあ、だめだな。
行きたくない理由ばかり考えている。
風呂から出る。
なんだか、妹がそわそわしていた。
「ユキが、あなたの持ってきた資料を見たようなの。…色々あるみたいだけど、とりあえず、ご飯にしましょう?」
皆で手を合わせて食事をする。
食事が終わる。
片付けを手伝い、妹が、お茶を用意した。
「さて、まず、どうなんだ?最近は、上手くやれてるのか?」
父さんが、話を始める。
「あー。まあ、上手くやりすぎて目立ち過ぎたというかなんというか?」
「よくわからないわ。落ち着いて、1から話をして。」
俺は、色々、包隠さず話をする。
妹は、なんだか、妙な顔で話を聞いていた。
父と母は真面目に聞いてくれた。
「じゃあ、今度は、5大ギルド全てに所属になるのね。」
「そうか…。息子が大出世だな。」
「俺は、そんなに目立ちたくないんだけどね。」
「そういうものよ。見上げる位置に行ったら高すぎて怖くなって降りたくなるの。」
「ちょうどいいところに止まることなんて、できないさ。いつも物足りなかったり、たいへん過ぎたりってな。」
「そんなもんなのかな。」
「わからないけど、今しかやれないことがあるなら、それを頑張ればいいじゃないか。」
「父さんの言う通りよ。」
「…で、兄貴。このロータス学園はどうすんの?」
「…それ。…迷ってるんだよな。前に父さんと進路の話をしたと思うんだけど、俺って、3力かなり弱いだろ?」
「うん。」
「だから、学校行っても、馴染めないと思って。」
「確かに、高校生の3力の平均は、1000くらいだよね。兄貴は、オール1だっけ?」
「今は、体力70、魔力33、精神力33くらい。」
「ほー。めちゃくちゃ上がってんじゃん。」
「大丈夫なの?そんなに上がって。」
「無理はしていないよ。あの武器もあるし。」
「あー、ステータス奪えるやつか。」
「そう。」
「話が逸れてるよ。…ていうか、多分だけど、兄貴って、ステータスコンプレックスでしょ?」
「…。なにそれ?」
「ステータスが低かったり、バランス悪かったりする人が、気にしまくるってやつ。」
「それだな。」
「それね。」
「…なんか、恥ずかしいんだけど。」
「そう、恥ずかしいの。誰にでもコンプレックスの1つはあるんだから、ステータスが低いとかって、気にしなくていいの。個性だもん。」
「お前が羨ましいよ。」
「でも、ユキの言う通りよ。」
「そうそう。気にするな。」
俺は、照れくさくなってお茶を飲む。
それから、他愛もない話をして、過ごし、部屋に戻るころには、なんだか、少し気持ちが前向きに軽くなった。
…ような気がした。




