新たな鍛錬
睡眠学習空間にて。
『3力操作はかなり、完成してきました。これ以上はやっても無駄な領域です。』
「無駄ってことは無いだろう?」
『失礼しました。これ以上は、鍛錬が無駄になる可能性があります。』
「どういうこと?」
『今は、2秒に絞っての最大化身体強化と、薄く引き伸ばしての30分間の身体強化が可能になっています。』
「うん。」
『まず、敵を殴ることを考えてください。1秒にも満たない時間の身体強化を行えば、当たる瞬間の判定がシビアになりますよね?』
「身体強化している間に当てないといけないけど、あまりに短い時間を設定すると、当たらない可能性が高くなるってことか。」
『その通りです。そして、もう一つ薄く引き伸ばしての身体強化は、薄くしすぎれば、ほとんど効果が出なくなります。』
「現状の最適な身体強化は、1点集中2秒と薄く引き伸ばしての30分ってことなのか。」
『そういうわけです。』
「じゃあ、これからここでは何をするの?」
『状況訓練をしていきます。』
「状況訓練?」
『要するに組手ですよ。』
すっと空間に絵の具が落ちるように、目の前に俺と同じくらいの身長の真っ黒い影のような人が現れる。
『まずは、同じ体格で、攻撃をさばいていってください。身体強化は、30分の持続の方でやってください。』
言うなり、顔面を殴られ、吹き飛ぶ。
次の一瞬で、元の位置に戻される。
また顔面にパンチ。
俺はそれを避けきれず、かする。
さらに腹にずしりと左手のパンチを受ける。
次の一瞬で、元の位置に戻される。
また顔面にパンチ。
…。
俺は、構えを覚えた。
とりあえずガードすれば、パンチ3回は、耐えられることはわかった。
『次は、ガードだけじゃなくて、一発当ててみましょう。』
…そんな感じで、状況訓練という名の組手は続いた。
朝を迎える。
『完成は、1人相手で、あらゆる攻撃を捌いて倒せるようになることなので、2週間はかかりそうですね。』
学校へ行く妹とすれ違う。
妹がちらりとこちらを見てつぶやく。
「兄貴、今日はなんか隙がない?」
俺はそれに気づかずあくび混じりに、朝食を温めるのだった。




