周りの話
「ユウ、悪い。明日からしばらく、ギルドに行くわ。」
「わかった。僕も付き合うよ。」
「うん?」
「僕もギルドに付き合うよ。…実は、昨日、入ったんだ。天千里のギルドに。」
「本当に?」
「本当に。…事情があるのは何となく気づいてたよ。それについて、詳しくは聞かないけどさ。それ含めて、パーティとしてなんとか出来ない?」
「それって、どういうこと?」
「…だからさ!細かいことは聞かないから、パーティ活動も続けようよってこと!」
「…わかった。ありがとう。じゃあ、明日また、レッドスケルトン狩り行ってからギルドまで付き合ってもらっていいか?」
「もちろん!じゃあ、明日は9時に集合ね。」
ユウはそれで電話を切った。
俺は、苦笑する。
余計な気を使わせてしまったな。
それに、俺も余計に気を使っていたみたいだ。
それが、気恥ずかしく、照れくさい。
そして、多分、2人とも待ち合わせ時間より早く着いてしまうんだろうと思うと、明日が楽しみになっていく。
結局の所、俺にとって、ユウとの時間はすでに大切な時間になっていたのだ。
天千里のギルドマスターは、今日、所属が決まった2人の情報を確認する。
生産工場から戻った鍛冶士の青年と、いい感じに成長期に入った今後の活躍が期待出来る少年。
点数をつけるなら、鍛冶士の青年が、話題性という意味で80点、期待の少年が実力と成長率で60点。
それくらいに思っている。
話題性というのは、生産工場を脱獄したことと、あいつを回復させたこと。
「っていうか、危険指定されてあれだけ削がれた荒神を完全回復ってどうやったんだろうか…。エリクサーでも治るものじゃないんだけどね。」
俺たちの知らない所での評価は、評価する者にしかわからないのだ。
生産工場から、1人の鍛冶士の青年を家に送ったあと、スーツ男こと、荒神の二つ名を持つ彼は、最前線にいた。
「あいつ、どうしてるかな?」
スーツ姿の荒神は、鍛冶士の青年の間抜けそうな顔を思い出す。
不思議と笑みがこぼれてくるのは、彼に再びの自由に戦える力を戻してくれた相手なので、仕方ないことだろう。
「あいつなら、また変なもん作るだろうから、また、会うだろうな。」
スーツ姿の荒神は、巨大な5つの首を持つ龍の無惨な遺骸の上に座って、笑った。
「京志郎と宮子さんから連絡もらった時は驚いたけど…。まあ、とりあえず良かったね。息子さん、無事に天千里に入れて。」
「かなり無理に繋いでもらったみたいでありがとう。」
「京志郎にはあと11くらい借りがあるから、まだまだ頼ってくれって。」
「じゃあ、その借り全てで、あいつの手助けしてやってくれないか?」
「わかってるよ。そこは、もうしっかりさせてもらいますとも!」
父と電話をしていたいわゆる父のツテの天千里のギルド職員。
彼は、今日も、俺を陰ながらサポートしてくれているのだとか。




