レアアイテム
中華屋で、肉あんかけチャーハンを大盛りで、食べた俺は、簡易錬金釜を買って家に帰る。
簡易錬金釜は、1回錬金したら壊れる代物。
携帯鍛冶セットの錬金版みたいなところだ。
俺は、家に帰ると早速、簡易錬金釜に持っているスケルトンの骨とマッドゴーレムの泥を全て入れる。
「素材をこんなに入れても大丈夫ってどういう仕組みなんだろうか?」
『そういう魔法が組み込まれているんですよ。』
「魔法ってすごいな!」
『…今、すごくあほっぽかったのですけど大丈夫ですか?』
「…うるさいな。」
トレントとマッドゴーレムたちにスケルトンの魔石を与える。
マッドゴーレムの2体が進化した。
進化したマッドゴーレムは体が石になっていた。
『驚きました。材質的に言えばストーンゴーレムですね。』
「驚くような進化なのか?」
『人くらいの大きさなのが珍しいんです。普通のストーンゴーレムって、3mくらいありますからね。その半分程度のストーンゴーレムは普通ないですよ。』
「…それはいいことなのか?」
『いいことかどうかはわかりませんが、珍しいです。』
「小さい方が、強いの?」
『知りませんが、普通、小さいと弱いですよね。』
「…そうだよな。」
ストーンゴーレム2体は、申し訳なさそうにこちらを見ている。
まあ、最初から戦力にはしていないからいいか…。
『錬金術LV2→LV76になりました。』
『何か出来たみたいですよ。』
「わかってる。」
俺は、異空間牧場を出ると、簡易錬金釜のあった場所に丸い夜空を詰め込んだような色の光る玉があった。
どうやら、錬金釜自体も変化して、この玉と融合したらしい。
「…これって何?」
『…わかりません。少なくともあなたの知識の中で聞いたことも見たこともないレアアイテムです。』
「使い方くらいわからない?」
『使うと念じれば使えると思います。』
「…使ってみるか。」
『自爆系のアイテムだったら、終わりですよ。』
「…そうだな。念のため、スライムもどきの狩場で使おう。」
『どうなっても知りませんよ。』
「不思議と嫌な感じはないんだよ。だから多分、大丈夫だと思う。」
『…まあ、レアアイテムなら鑑定後に、すり替えとかされても嫌ですからね。使うのも賢い選択かもしれませんが…。』
夕方のスライムもどきの狩場の奥で、俺は、ポケットからオーブを取り出して使う。
念じるとオーブが光って消えていく。
一気に情報が頭に押し込まれる。
それにともなう激痛。
俺は、たまらず意識を手放した。
目を覚ますと、もう夜だった。
『大丈夫ですか?』
「…全然、大丈夫じゃない。妹を止めないと…!」
俺は、家に走りっていく。
『どんなアイテムだったんですか?』
「3日間の未来を体験する。そういうアイテムだった。」
『…それは、めちゃくちゃなアイテムですね。…何か大変なことになってましたか?』
「そうならないように止める。今日なら、間に合う!」
家に帰ると、俺は、妹の部屋へ直行する。
荒々しいノックのあと、部屋に入れてもらう。
「何、兄貴?」
「プロになるのはやめろ!」
「は?もう無理だって…。何を今更。」
「ちょっと、レアアイテムで、未来見てきた。それで、言ってる。プロになるのはやめろ。」
「わけ、わかんないって。そんなアイテムなんてあるわけないし。」
「あるんだよ。偶然できたんだ。」
「…本当に?冗談じゃなく?」
「冗談でこんなこと言わない。3日でえぐいことになるからやめとけ。」
「…わかった。ちょっと、一緒にプロになる友達と相談する。」
妹はしぶしぶと言った感じで、連絡し始めた。
結局、妹たちはプロになるのをやめた。
高校にも行くそうだ。
俺の見た未来では、妹たちは、3日後の初任務で失敗し、大怪我を負って再起できなくなってしまっていた。
ボロボロの姿で、病院のベッドで、泣きながら謝る妹。
父と母の痛ましそうな顔。
そんなもの見たくないし、そんな未来は認めない。




