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霧の荒野とスケルトン

『妹のプロを応援する。…意外と大人しい結末になりましたね。社会性があれば、どうしても周りに合わせてしまうもの。仕方ない気もします。』


「なんだ?不服なのか?」


『いえ、あなたは、自分が主人公になるタイプではないのだなあと改めて思っただけです。』


「…いけないか?」


『悪いわけではないですが、つまらないとは思います。』


「お前は、俺に何を求めているんだか…。」


睡眠学習空間での話し相手はこいつだけ。

割とトゲのある言い方しかしてこないのは、こいつの性格だろうな…。


今日も、睡眠学習空間で、3力操作を訓練する。


ギリギリの操作を覚え、今では、拳だけの身体強化や、身体強化の強弱まで、出来るようになった。

まあ、睡眠学習空間の外では試したことはないのだが…。



そうして、次の日。


『マッドゴーレムの素材はかなり集まりましたし、次の狩場に行きませんか?』


「…わかった。」


『文句の1つでも出ると思ったのですが、いやに素直ですね。』


「マッドゴーレムの素材で出来る装備やアイテムじゃ、妹を守れないと思うんだよ。」


『それは、感覚的な問題ですか?』


「そう。なんか、出口のないトンネルに入っていくような感じ。」


『そうですか…。まあ、理由はさておき、前向きなのは、いいことだと思います。』


「それで、次の狩場には何がいるんだ?」







薄暗く太陽の光を霧が覆い隠す荒野。

俺は、土色のマナメタルフライパンを持って、舗装されているまっすぐな道を道沿いに設置された灯りを頼りに走っていく。


道に湧いているスケルトンを倒しながら進む。

スケルトンは、もろく、すぐに砕けていく。


「湧き効率は悪いのな。」


『道を外れると帰れなくなるので、注意してください。』


霧は深い。

来た道も隠れてしまっている。

道灯りに時々、付いている看板は帰りを迷わないようにするためにあるのだろう。


誰もいない空間を奥へと進む孤独感、景色が変わらない退屈感、戻れるかわからない不安感。

例えるなら、深海に潜っていくような感覚。

奇妙なことだが、それらを不思議と悪くないと感じる。


『もともと、あなたは、1人が好きですからね。』


「お前がいるから、完全に孤独というわけにはいかないかな。」


『おやおや、それは残念でした。』


スケルトンは、人の骨のようなモンスターだが、本物ではない。

石のようなモンスターが、石と別物のように、見た目が似ているというだけらしい。

ちなみに、ゾンビは架空の存在だ。

死体は動かない。

このファンタジーのような世界において、死は意外と固定的なもののようだ。


「なあ、この先には何があるんだ?」


『この先?整備された道の終わりの話ですか?』


「ああ。」


『その先に行って戻ってきた人はあんまりいないみたいですよ。』


「…急に怪談っぽくなってきたな。」


『世界の終わりがあるとも、別の世界があるとも、大量のモンスターがいるとも言われています。』


「なんでも知っているようなお前で、確実なことが言えないなんて珍しいこともあるんだな。」


『私は、あなたの知っていることしかわからないですよ。』


「俺の知っていること…?」


『そうです。それらの記憶を分析したり組み合わせたりして、伝えているだけです。』


「そうだったのか…。」


意外な真実が発覚した。

聞いてみないとわからないものだ。


『そろそろ来た道を戻りましょう。また、お昼ごはん食べられなくなってしまうのはあんまり、良くないですよ。』

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